ビジネス知識
時短勤務とは?残業や給与など短時間勤務に関する基本13選
スポンサーリンク
時短勤務とは?残業や給与など短時間勤務に関する基本
時短勤務や短時間勤務と言った言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
時短勤務とは正式には短時間勤務と言い、簡単に言えば所定の労働時間を短縮して勤務時間を短くすることです。
会社員は育児はもちろん、介護などの理由で会社に時短勤務を申し入れることができますが、申し出るにはどういった条件を満たさなければならないのでしょうか?また、給与やボーナスは減給されるのか?残業代は支払われるのか?など時短勤務と言った言葉を知っていても意味まで詳しく知っている方は少ないと思います。
ここでは時短勤務とはどういったのものか?と言ったことや上記で記載したような給与や賞与、残業など時短勤務の基本についてご紹介していきます。
時短勤務とは
冒頭でも触れたように時短勤務とは会社と雇用契約を結ぶ際に取り決めた所定の労働時間よりも短い時間で勤務することを指します。
時短勤務によって短縮された所定の労働時間は6時間(通常の労働時間によって、5時間45分から6時間の範囲内で設定)に設定することが原則となります。
ただし、本人が7時間などの時短勤務を希望する場合には無理に所定労働時間を6時間にする必要はありません。
例えば、所定労働時間が1時間のお昼休憩を挟み、朝の9時から夕方の6時までの計8時間とされている会社に勤めている場合、時短勤務を申し出ることで、お昼休憩を1時間挟み朝10時から夕方5時までの計6時間や朝9時から夕方4時までの計6時間に勤務時間を短縮することなどできます。
全ての会社に時短制度は存在する
時短勤務は「改正育児・介護休業法」によって定められており、以前は従業員101人以上の企業にのみ義務付けられていましたが、平成 21年(2009年)に改正され平成24年(2012年)7月1日からは従業員100人以下の企業にも義務付けられたため、今では日本の全ての企業に義務付けられています。
つまり、たとえ社長以外に従業員が1人しかいない会社でもその従業員が時短勤務を望んだ場合には「改正育児・介護休業法」に従って時短勤務を導入する必要があり、社員は時短での勤務を行うことができます。
条件を満たさなければ適用されない
時短勤務は誰でも利用できる訳ではありません。主に下記の条件を満たしている労働者のみ時短勤務を利用することができます。
・3歳未満の子供を養育している
・1日の所定労働時間が6時間を超えている
・日雇い労働者ではないこと
・育児休業中ではないこと
・労使協定により除外された者ではないこと
と言った条件を全て満たすことで時短勤務を会社に申し出ることが可能となります。
基本的には正社員で1年以上の勤務経験があれば時短勤務を行うことが可能ですが、会社に勤めて1年未満の方や、1日の所定労働時間が6時間未満の方は上記の条件を満たしていないため取得することができません。
女性の正社員だけでなく男性の正社員やアルバイトやパートでも時短勤務が可能
上記で記載した条件を満たせば正社員でなくと時短勤務制度を利用することができるため、派遣社員や契約社員、アルバイトやパートと言った雇用形態でも時短勤務制度を利用することができます。
特に派遣社員の場合は派遣先の企業ではなく、派遣元である派遣会社の社員と言った扱いになります。そのため派遣先が変わっても派遣会社が同じであり1年以上など上記の条件を満たしていれば時短勤務の対象となります。
また、時短勤務は女性だけの制度と思っている方も多いと思いますが、男性社員でも上記の条件さえ満たせば時短勤務をすることが可能です。
2種類の時短勤務
時短勤務と一言で言っても2種類の時短勤務制度があります。
1つはこれまで紹介してきた「改正育児・介護休業法」によって定められた時短勤務制度です。そしてもう1つは企業が独自に定めた時短制度です。
例えば上記で記載した法律上の条件では「3歳未満の子供を養育している」とありますが、企業が独自に「小学校に入園するまで」や「小学校を卒業するまで」といったように設定することも可能です。その他にも企業は独自に時短勤務制度を設けることが可能です。
ただし、「1歳未満の子供を養育している」と言ったような改正育児・介護休業法よりも条件が悪くなるような条件にすることはできず、行った場合には違法行為となります。
給与は基本的に減額されるのが一般的
時短勤務によって労働時間が短縮された分の給与は減額されるのが一般的です。
もちろん、企業が給与を減額せずに時短前の同額を支払うと言えば支払ってもらうことが可能となりますが、ノーワーク・ノーペイの原則から基本的には減額されます。
ただし、労働者に不利益となる減給は違法となります。
そのため、例えば勤務日数などに変わりがなく労働時間が単に6時間と短くなっただけなのに対して、給与が半分減額されるなど時短勤務によって減少した勤務時間以上の減額は違法となります。
一般的には8時間の労働時間が6時間と3/4(75%)もなることから給与も3/4(75%)前後となるのが一般的です。
また、基本給以外に支給されていた、交通費や住宅手当などが時短によって無くなるなどの行為も労働者の不利益となるため違法行為となります。
ボーナス(賞与)や退職金にも影響
時短勤務によってボーナスと呼ばれる賞与は減額される可能性があります。もちろん上記同様に3/4以上など、労働者に不利益となる減給は認められません。
しかし、実際にはボーナスは法律によって支給が定められている物ではないため、支給の有無や支給額は経営者の判断に委ねられます。
そのため時短勤務になることでボーナスが支給されなくなったり、他の社員よりも大幅に減額されることが多くみられます。
また、退職金などもその会社に勤める総勤務時間や総支給額などに影響するため退職する際に減額される可能性があります。
もちろん、就業規則等にボーナスの計算方法など明確な支給条件が記載されている場合には、法律によって定められていなくとも会社は就業規則に従ってボーナスを支給する必要があるため不当な減額は認められません。
給与が減っても年金の受給額は変わらない
上記のように時短によって支給される給与などにデメリットが存在していますが、年金に関しては特例措置が受けられます。
年金は社会保険料として毎月の給与から天引きされ支払われています。そして保険料は給与額に応じて変動し給与が高ければ高いほど社会保険料は高くなりますが、年金の支給額も高くなります。
そのため、本来は時短によって給与が減額されれば社会保険料も減額されるため将来受け取れる年金も少なくなりますが、「3歳未満の子の養育特例」によって社会保険料が減額されても減額前の標準報酬月額酬で計算されるため年金が減額されません。
※標準報酬月額酬については「産休の基本15選(条件や期間、給与、退職など)」に記載がありますので時間がある時に合わせて読んでいただければと思います。
ただし、これはあくまでも改正育児・介護休業法に従った期間のみ適用されるため、企業が独自に定めた時短制度によって時短勤務期間が延長されている場合などには対象期間外(延長されている期間のみ対象期間外)となります。
解雇することはもちろん退職を促したり、嫌がらせを行うなどは違法
近年は育休や時短勤務と言った認知度も向上され、企業側にも正しい理解が深まっていますが、中小企業を中心に一部の企業ではその理解が進んでいない場合もあります。
そのため時短勤務を希望した社員を解雇したり、退職を促したりする経営者もまだまだ存在しています。しかし、何度も記載していように時短勤務は改正育児・介護休業法によって定められているため労働者は条件さえ満たせは受ける権利があり、そのような行為は違法となります。
また、経営者だけでなく、一緒に働く社員からジタハラと呼ばれる時短勤務となることで嫌がらせなどを受けることもありますが改正育児・介護休業法によって企業はジタハラを含むハラスメントを防止する措置をすることが義務付けられています。
企業は断れないうえに深夜業の制限をしてもらえる
労働者から時短勤務を希望された場合には「人手が足りない」などの理由があったとしても企業は拒否することができません。
また、労働者が希望する場合には時短勤務期間はもちろん、小学校に入学する前の子供がいる場合には1ヶ月に24時間、1年間で150時間まで時間外労働(残業)を制限しなければなりません。
さらに小学校に入学する前の子供いる場合にも22時〜午前5時の深夜業も制限しなければなりません。
残業時間によって残業代が支払われる
通常、残業が発生した場合には残業代が支払われますが時短勤務の場合には注意が必要です。
例えば、休憩を1時間として10時から19時の8時間が所定労働時間としている会社で、時短勤務によって10時から17時の6時間勤務となっている場合には1時間の残業をしても残業代は支払われません。
詳しくは「退職や未払い、拒否、申請、計算、違法など残業の基本17選」に記載がありますが、残業はあくまでも「1日8時間、週40時間」を超えた場合に支給されます。
そのため時短勤務によって短縮された労働時間を超えたからと言って「1日8時間、週40時間」と言った時間を超える訳ではありませんので残業代は支給されません。もちろん「1日8時間、週40時間」を超えた場合には労働者は時短勤務でも残業代を受け取る権利が発生します。
時短勤務の終了
時短勤務は子供が3歳になると自動的に終了しますが、他にも時短勤務は労働者が希望した期間(例:1年や2年など)が過ぎると自動的に終了します。また、退職した場合や離婚し子供を配偶者が引き取った場合にも自動的に終了します。
さらに、労働者が期間前に取り消しを依頼し場合には時短勤務を終了することが可能です。
自ら請求する必要がある
大企業であれば時短勤務の条件を満たす社員には企業側から知らせてくれることもあると思いますが、基本的には時短勤務は労働者から自ら時短勤務を会社側に希望する必要があります。
そのため「言いにくい」や「言い出しにくい」と言ったこともあるかと思いますが、自ら時短勤務を上司や人事担当者に申し入れる必要があり、申し入れなければ時短勤務をすることができません。
この記事が気に入ったら いいね!しよう