イジメ・嫌がらせ
ジタハラ(時短ハラスメント)とは?
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働き方改革で新しく生まれたジタハラ(時短ハラスメント)
長時間労働による過労死が社会問題となり、多くのニュースや新聞などで取り上げられるようになりました。
エクスペディアの調査に寄ると日本の有給所得率は世界の国々と比較した場合、ほぼ毎年最下位を記録しており、2014年、2015年に最下位を脱出しましたがそれでも下から2番目といった取得率の低さに位置しています。
それにより労働時間を短縮する動きが活発になりましたが、それによりジタハラといった新たなハラスメントが登場しました。
ジタハラ(時短ハラスメント)とは
ジタハラとは時短ハラスメントの略称で、時短とは労働時間短縮のことです。つまり働く人の労働時間を無理に短縮するなどの嫌がらせのことをジタハラと言います。
冒頭でも記載した長時間労働などが社会問題として認識されたため政府も「働き方改革実現推進室」を設置し、長時間労働の改善や非正規と正社員の格差是正に取り組むようになりました。
しかしこれにより企業は「労働基準監督署に目をつけられたくない」「残業により企業イメージを損ないたくない」という理由などから社員の残業を減らすようになりました。
そのため、社長などの役員を含め、社員を管理する管理職も定時になると「早く帰れ」「残業するな」と命令するようになりましたが、時短前と仕事量に変化がある訳でもなく、単に労働時間だけが短縮されたことにより「仕事が終わらない」といった声や会社から定時に締め出されるため、自宅や職場近くの喫茶店で残業代のでない残業をする社員が増加するようになってしまいました。
ブラック企業も時短を悪用
ブラック企業の中にはこの時短を悪用しジタハラを行っているケースもあります。「ブラック企業=長時間労働」や「ブラック企業=休日出勤」といったイメージを持っている方も多いと思いますが、上記でも記載したように、「あくまでも社員が自主的に持ち帰り仕事をしており、会社としては残業を認めていない」といった捉え方をすれば、会社として残業代を支払わず、社員を働かせることができます。
事実、職場でなくてもパコンと携帯電話さえあれば仕事をできる職種や業種も多く、定時に会社を出されても仕事を続けることは可能です。
実際には、労働時間内に終わらない仕事量を与えているのであれば、例え上記のように定時に帰らせていても残業代を支払うことになります。
ジタハラが原因
ジタハラが起きてしまう原因には様々な要因があります。例えば「働き方改革」という言葉だけが先行してしまったことも原因の1つです。たしかに長時間労働により過労死やうつ病などは問題ですが、単に労働時間だけを短縮させようとした動きにより、会社の改善が間に合っていないことがあります。また、経営者などの認識不足ということもジタハラが起きてしまう原因とも言われています。
時短を進めていくためには残業時間を削減して行かなければならないが「時短=残業の廃止」と考えている経営者も多いのが問題です。経営者の認識不足により部下が残業すると自分の評価が下がってしまう中間管理職も残業をさまいと帰らせざるおえない状況ができあがってしまいます。
ジタハラによる問題
結局の所、「形だけの働き方改革」や「時短による仕事量の改善」などによってジタハラが発生しており、労働者からは様々な意見が出ています。
生活の圧迫
残業をすることで支給される残業代。働いている人の中には基本給や残業代以外の手当だけでは生活がままならず、残業代を欲しがっている人も多くいます。
また、政府は副業などを進めていますが日本の多くの企業では副業禁止やアルバイト禁止としていることも多く、労働時間の減少は給与の減少へと繋がるため生活が厳しくなったといった意見もあります。
フラリーマンの出現
定時に帰れるようになったのは嬉しいが「早く帰れてもやることがない」「家に早く変えると妻に嫌な顔をされる」と言った方も多くおり、町中をフラフラしているだけのサラリーマン(通称、フラリーマン)が増殖しています。
フラリーマンが悪いことではありませんが、少ない小遣いでやりくりをしている方も多く、そういった方は定期的に飲みに行くこともできません。そのため、家電量販店で買いもしない家電を眺めていたり、コンビニで雑誌を立ち読みするだけと言った方も多く「だったら働いていたい」と言った人もいます。
定時後の問い合わせや注文への対応
会社によっては定時後にもお客からの問い合わせや注文が入るケースもあります。そのため、会社によっては時短をしたくても定時で上がらせられない状況になっています。
シフト制などを導入し社員の労働時間に差をつけて対応するなどの意見もありますが、すでに働いている社員の中には、入社時に提示された勤務時間を望む方も多く、本人が望まないシフトに入れられることをジタハラ同様に嫌がるケースもあります。
企業も悩んでいる
時短に関して悩んでいるのは労働者だけではなく、労働者を雇用する企業も悩んでいます。
ジタハラとならずに労働時間の短縮するには「一人あたりの生産性の向上」と「社員数を増加する」といった2つの方法が主にありますが、前者は取り組んだからといってすぐに効果が出るわけではありません。そのため後者で一人あたりの仕事量を減らすしかありませんが、これも取り組める企業と取り組めない企業が存在しています。
社員が増えれば、それだけ事務所や工場などの仕事場も拡大しなければなりませんし、交通費などの手当負担も大きくなってきます、また、管理職も増やさなければなりませんし、採用するにもお金がかかるうえに、教育もしなければななりません。
そのため、体力のある大手企業であれば取り組むことの可能ですが、体力のない中小企業はすぐに取り組むことができません。
中間管理職も仕事量が増える
ジタハラが問題視されるようになると、社員に仕事を振れなくなった中間管理職が部下に振るはずの仕事を自ら行うケースも出てきているようです。
もちろん、社員と同様に残業できるわけではなく、自宅に持ち帰り仕事をこなさなければならず、残業代もでません。
実際に会社からの無理な時短要求により精神的に追い込まれ自殺してしまった中間管理職の方も存在しています。
全ての人がジタハラで悩んでいるわけではない
時短により全ての人がジタハラで悩んでいる訳ではありません。早く帰れることで家族との時間が増え喜んでいる方や空いた時間を趣味に当てている方もいます。
また、会社によってはすでに改善されており、支払うはずの残業代を別の手当として残業の有無に関わらず支給したり、雇用を拡大し一人あたりの残業時間を減らしている会社も存在しています。
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