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退職や未払い、拒否、申請、計算、違法など残業の基本17選

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退職や未払い、拒否、申請、計算、違法など残業の基本について
残業という言葉を知らない方は少ないと思います。また、すでに社会人になった方であれば残業をしたことがある方はもちろん、残業代を支給された経験をお持ちの方も多いと思います。
しかし「残業を拒否された場合はどうなるのか」「申請せずに残業したらどうなるのか」「残業代の計算の仕方はどうなっているのか」「退職した後に何年前の分の未払いを請求できるのか」など細かい点まで全て把握している方は少ないと思います。
ここでは残業に関する基本についていくつか紹介していきます。
労働時間は8時間までが原則
労働基準法では1日の労働時間は8時間まで、また週の労働時間は40時間までと決められています。そのため本来は労働者に対して法定労働時間以上の労働をさせることは違法行為となります。
1日の所定労働時間(会社から指定されている労働時間)が8時間(休憩時間を除く)と決められている会社も多いと思いますが、その場合には残業が発生した時点で違法行為となります。
36協定により残業をさせることが可能になる
上記で法定労働時間である「1日8時間、週40時間」を超える労働は違法行為となると記載しましたが、このままだと残業をさせている全ての会社が違法行為をしていることになってしまいます。
この法定労働時間を超えて残業をさせることを可能にするには会社と労働組合、もしくは、従業員の代表者と36協定と呼ばれる労使協定を結び、労働基準監督署に届け出ることで会社側は社員(正確には労働者)に残業をさせることが可能となります。
つまり36協定を結んでいない場合や労働基準監督署に届け出ていない場合には残業させると言った行為を行えないだけでなく、違法行為となります。
残業をさせる場合には36協定が必要で、会社の規模に関係なく例え社員が1人しかいない会社でも違反した場合には「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が課せられます。
ただし、36協定を結び労働基準監督署に届け出を行っていても無制限に残業させられる訳ではありません。「1ヶ月に45時間、1年で360時間まで」と上限が決められていますので、その上限を超えて残業をさせることはできません。
上記の上限を超えて残業させることができる特別条項
しかし時期や業種、職種によっては「1ヶ月に45時間、1年で360時間まで」といった限度では経営が成立しない場合もあると思います。そしてこの上限を超えて残業させるには特別条項を設けることで「1ヶ月に45時間、1年で360時間まで」と言った時間以上に残業をさせることが可能となります。
特別条項付き36協定には上限が設けられていませんが、「1年の内の半分」を超えて適用させることができません。そのため、残業時間が月に45時間を超える日が7ヶ月間続いた場合などは違法となります。
また、「特別」といった言葉がついているように特別な理由がある際に使用できることが前提となります。
つまり「急に発生したクレームの対応」や「年末商戦への対応」「決算時期への対応」「納期に間に合いそうにない仕事への対応」など残業をさせるには正当な理由が必要となります。
就業規則にも記載する必要がある
就業規則とは簡単に言えば「会社のルールブック」といった物になります。
就業規則に「所定労働時間を超え労働させることがある」と言った記載があり、会社から残業の命令があった場合には社員は残業をする必要があります。
反対に言えばそういった記載がなければ会社から残業の命令があっても社員は拒否することが可能となります。
また、「残業を行う場合には所属長に申し出て許可を得なければならない」や「許可なく残業を行った場合には残業代を支払わない」と言ったような記載があればそれに従う必要があります。
こちらもそういった記載がなければ許可を得ずに自由に残業を行うことが可能なうえに残業代をもらうことができてしまいます。
他にも残業に対して様々な記載されていることもありますので、残業をする前に自分の勤め先にどういったルールがあるのか確認しておくようにしましょう。
「残業代が支払われない法定内残業」と「残業代が支払われる法定外残業」
残業といっても残業代が支払われない「法定内残業」と残業代が支払われる「法定外残業」の2つがあります。
「1日8時間、週40時間」と言った法定労働時間を超えた場合に行われる一般的な残業が法定外残業となります。
一方、法定内残業とは会社が定める所定労働時間を超えて行われる残業のことです。
例えば、9時~17時や10時~18時(休憩1時間)と言ったように会社の所定労働時間が7時間といった場合、仮に1時間の残業を行ったとしても法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えていないため会社は社員に対して残業代を支払う必要はありません。
もちろん、会社の所定労働時間が8時間の場合には所定労働時間を超えた時点で法定労働時間を超えるため最初に紹介した法定外残業に該当しますので残業代が支払われます。
残業代の計算方法
上記で説明したように時間外労働や休日出勤、さらには深夜労働など法定外残業が行われた場合には残業代が支給されます。
1日8時間あるいは週40時間を超えた場合
残業時間に対して25%を割増した残業代が支給されます。
22時~5時と言った深夜の時間帯に残業した場合
残業時間に対して50%を割増した残業代が支給されます。
※深夜の時間帯が残業でない場合には25%の割増となります。
月の残業時間が60時間を超えた場合
残業時間に対して50%を割増した残業代が支給されます。
法定休日出社の場合
労働時間に対して35%を割増した賃金が支給されます。
法定休日労働が深夜の場合
労働時間に対して60%を割増した賃金が支給されます。
管理職でも残業がつく場合がある
労働基準法により監督管理者である管理職者には残業代を支払う必要がありません。
そのため監督管理者は残業をしても残業代をもらうことができません。
しかし労働基準法でいう監督管理者ではなく、いわゆる「名ばかりの管理職」である場合には残業代が支給されます。
つまり会社で定められた管理職者が必ずしも労働基準法で言う所の監督管理者に該当するとは限りません。
一般的には課長や部長と言った役職以上の方を管理職と言われることが多く、会社としても課長以上は管理職とすることが多くみられます。
そのため、役職と言った会社が独自につけた役を与えれば誰でも管理職となってしまいます。
しかし労働基準法で定める管理職、つまりは監督管理者とは「ある程度自分の裁量の元に業務が行われている」「経営者と一体的な立場で経営に関与している」「地位にあった待遇を会社から受けている」などの管理職のことを指します。
つまり、上記のような点に該当しなければ、部長であろうと、店長であろうと監督管理者とは認められないため残業代を請求できる可能性が高くなります。
早朝出社も残業時間とみなされる
長時間労働が問題視されるようになったことで会社によっては残業を禁止している所も多くなっています。また、残業をした場合には月や年の評価が下がると言った会社も少なからずあると思います。
そのために定時よりも早く出社し仕事をはじめる方が増えてきていますが、もちろん、そういった場合でも法定労働時間を超えれば残業時間とみなされます。
つまり、残業は必ずしも定時後だけが該当する訳ではなく、あくまでも法定の労働時間を超えて働いた時間が該当します。
掃除や朝礼のために早く出社させる
所定労働時間を9時から18時と定めているにも関わらず掃除や朝礼を行うために30分前など所定労働時間よりも早く出社することを義務付けている会社も多いと思います。
しかし会社からの命令で30分前に出社させられている(強制されている)場合にはこの30分に対しても残業代を受け取る権利があります。
上記でも記載したように残業は必ずしも所定労働時間後に労働を行った場合に発生する訳ではなく「1日8時間、週40時間」と言った法定労働時間超えて労働した場合に支払われるため、掃除や朝礼などの有無に関わらず、早く出社することを会社から強制され法定労働時間超えるようであれば会社側は残業を支払う必要があります。
飲み会も強制されれば残業扱い
忘年会や新年会が毎年開かれる会社も多いと思います。また、新人が入社すれば歓迎会、退職する方がいれば送別会、さらにはそれらとは別に定期的に飲み会を開いている会社もあると思います。
こういった飲み会も強制された場合には残業扱いとなるため法的には会社側は残業代を支払う義務があります。
もちろん、自由参加であれば業務の一環とはならないため残業代は支給されません。
未払いの残業を請求できるのは2年まで
未払いの残業を請求し何百万円もの残業を受け取ったなどのニュースを見たことがあると思います。しかし、そういった残業の請求にも2年と言った期限が設けられています。
つまり、期限を超え時効となった分の残業代は会社側からしてみれば支払う義務がないということになります。
そのため5年間分の残業に対して未払いがあった場合でも請求できるのは2年分であるため残りの3年分の残業に対しては支払われない可能性の方が高くなります。
退職した後でも未払いの残業代は請求できる
未払い残業代の請求は社員でなくなっても請求することができます。そのため転職や定年で会社を去り在籍していない状態でも請求することが可能です。
在籍中には残業代の未払いがあっても請求しにくいこともあるかと思いますが、退職した後からでも請求することは可能ですので未払い残業があれば検討する価値があります。
ただし、この場合も上記で説明したように請求できるのは現在から2年分までとなります。
みなし残業が支払われていても残業代が支払われる場合もある
みなし残業代とは最初から残業することを前提とし、給与の中に残業代が含まれている給与制度のことです。
つまり、残業するしないに関わらず残業代を含めて給与が毎月支払われます。
しかし、みなし残業として何時間含まれるかは会社ごとに異なりますが、仮に10時間のみなし残業が含まれている場合には10時間を超えて残業した場合には10時間を差し引いた分の残業代を会社側は支払う義務があり、社員は受け取る権利があります。
そのため仮に15時間の残業をした社員に5時間分の残業代を支払わければ違法行為となります。
また、注意したい点はみなし残業代を差し引いた給与が都道府県体で決められた最低賃金を割ることが基本的にはできないと言った点になります。
最低賃金は残業代を含まず計算する必要があるため、最初からみなし残業として支払うことが前提とされても差し引いた給与が最低賃金を下回る場合には違法となります。
サービス残業は違法行為
本来支給されるはずの残業代が支払われないサービス残業。サービス残業のことを最近はサビ残などと略されることもあり聞こえがいいですが、支払われるはずの残業代が支払わないためサービス残業は違法行為です。
残業申請しなくとも残業代がでる
大手を中心にある程度社員のいる会社であれば残業する場合にはあらかじめ上司などに残業の申請を行い、許可を得てから残業を行うよう制度化している会社もあると思います。
また、反対にそういった申請制度がなく、個人の裁量で残業を行っている会社や誰も帰らないので仕方なく勝手に残業を行っている社員の方も多いと思います。
しかし、就業規則などに反して社員が勝手に残業を行った場合でも会社は社員から未払いの残業を請求されば支払わなければならない可能性の方が高くなります。
会社側としては「社員が勝手に残業した」「社員が無断で働いた」と言った解釈をしてしまいがちですが、過去の判例ではそういった現状であった場合には「会社側は黙認していた」と判断する可能性が高いため、残業代を支払う必要性が高くなります。
特に、会社が残業申請を拒否したものの与えた業務をこなしきれず、勝手に残業を行った場合でも、会社から与えられていた業務を誰が見ても所定の時間内に収まらないと判断されれば社員は行なった分の残業代を受け取れる可能性が高くなります。
残業を命じられた労働者は残業をする義務がある
長時間労働など違法性がある場合を除き、就業規則に「所定労働時間を超え労働させることがある」などと記載がある場合には会社から正当な理由で残業を指示されれば、社員は残業をする義務があり、拒否することはできません。
そのため繁忙期など「会社全体の仕事量が増えた場合」や「急なトラブルで対応しなければならない場合」などはもちろんのこと、「人手が足りない」や「納期が今日中」などの理由で会社は社員に残業させることができます。
そういった正当な理由があり、かつ会社から残業を命じられたにも関わらず残業しない場合には業務命令違反となり処分を受ける可能性があります。
反対に合理的な理由がなければ会社の命令であっても残業する義務はありません。
例えば「まわりが残業しているから残業しなさい」といった理由では残業を強制することができません。
取締役などの役員には残業代がでない
社長である代表取締役はもちろん、専務や常務と言った役員には残業代が支給されません。
一般的な社員は会社と雇用契約を交わし給与として対価が支払われ、法定外労働を行った場合には残業代が発生します。一方、取締役などは会社と雇用契約を結ぶのではなく委任契約を結びます。委託契約とは簡単にいえば役員と言った仕事を会社側から委任されると言ったことになります。
つまりその人の裁量で委任された業務を遂行するため労働時間に縛られない反面、どんなに働いても残業代が支払われません。
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