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リファラル採用とは?縁故採用(コネ入社)との違いやメリット・・デメリット9選

リファラル採用とは?縁故採用(コネ入社)との違いやメリット・・デメリット9選

変化の激しい近年の日本のビジネスシーンでは、人材採用の在り方も見直しを迫られています。実際に従来とは異なるやり方での採用を図るケースが増えていますが、その中で注目されている手法に、「リファラル採用」と呼ばれるものがあります。日本ではまだまだ知られ始めたばかりの段階ですが、これから転職希望者の活動にも大きな影響を与える可能性があります。

本記事では、「リファラル採用」の意味や縁故採用との違い、メリット・デメリットなどについて解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

リファラル採用とは?縁故採用(コネ入社)との違い

リファラル採用の意味

「リファラル採用」とは、企業の人材採用の手法の1つで、自社の社員から新たな人材(知人や友人など)の紹介を受けるというやり方を指します。「リファラル(referral)」は、英語で「紹介」や「推薦」といった意味を表します。「リファラルリクルーティング」や「社員紹介採用」などとも呼ばれます。

従来の一般的な採用姿勢は、基本的に求職者からの応募を待つという受身のものですが、リファラル採用はこれとは違い、企業側が自社社員の紹介を通じて積極的に人材を探す点を特徴としています。

欧米ではすでに広く活用されている手法で、近年は日本でも徐々に浸透しつつあります。

縁故採用(コネ入社)との違い

リファラル採用と似た印象を持たれやすいのが「縁故採用(コネ入社)」ですが、実際は両者には明確な違いがあります。

縁故採用とは、「会社が自社の役員や社員の縁故にあたる人物(血縁者や友人・知人など)の紹介を受け、採用する方法」を意味します。表面的にはリファラル採用と同じですが、この場合は会社と紹介者との関係が最も重視されるため、必要な人材像からは外れる人物でも採用せざるを得ない場合がよくあります。

一方リファラル採用では、あくまでもその人物の資質や能力が、最も重要な採用判断の基準となります。

注目されている背景

人手不足解消と定着率向上の解決策として

近年リファラル採用が注目を集めている背景には、「少子高齢化」という問題が大きく関係しています。

現在日本における15歳以上の「労働力人口」は減り続けており、どの業界でも人手不足が深刻となっています。この傾向は今後ますます強まると予測されており、従来のような採用活動では、必要な人材が確保できないという危機感が企業側に広まっています。

そこで、企業が自ら積極的に採用候補者を探す「ダイレクトリクルーティング」の手法がクローズアップされ、その一環としてリファラル採用も注目度が高まりました。また、紹介する社員のエンゲージメントを高め、既存社員の定着率向上を図りたいという思惑も、リファラル採用拡大の背景として指摘できます。

転職者側のメリット・デメリット

ここまでリファラル採用の意味などについて見てきましたが、転職希望者としては、その具体的な利点が気になるところでしょう。また、反対の難点についてもよく知っておきたいところです。以下の項目では、リファラル採用で考えられるメリット・デメリットについて挙げて見ました。

メリット

転職後のミスマッチ防止

従来のような求人サイトや人材紹介エージェントを通じた転職では、原則として企業側が一方的に発信する情報を基に活動することとなります。しかし、実際に採用されて働いて見ると、予想していた状況とまったく異なるという事態が生じることも少なくありません。

一方リファラル採用を通じた転職であれば、紹介者から直に会社の内情について聞いておくことができます。仕事の内容や職場環境など、実態に沿った情報を得られるので、上のようなミスマッチが生じる心配が少ないというメリットがあります。

知人の紹介なので信頼度が高い

上記のように、リファラル採用はその会社の社員を通じたリクルーティングになります。紹介者は自分の会社を友人知人に売り込むわけですが、相応の自信やプライドもなしに、わざわざ周囲に勧めるとは考えられません。自分の会社がそれだけ魅力があると思うからこそ、紹介者の役を買って出るわけです。

つまり、転職者にとっては、「知人も満足する会社」という一定の保証が得られることになります。これは全く縁もゆかりもない会社に応募するのに比べて、安心感の点でかなりのメリットと言えるでしょう。

定着しやすい

転職活動では、「採用されたとしても、その後上手く馴染めるかどうか」という不安を抱く人も多いでしょう。実際に中途採用で入ったものの、職場に馴染めず早期離職するというケースはかなり多くなっています。

これには上で述べたような、事前の予想と実際の状況の食い違いという問題が絡んでいますが、リファラル採用なら上記のように、そうした心配があまりありません。あらかじめ実態に即した情報を入手しておけますから、職場についてよく理解した上で仕事に就けます。余計なストレスを抱えずに済み、会社にも定着しやすいというメリットがあります。

選考が比較的スムーズ

従来的な採用選考では、一次審査として、まず書類のみの審査を行うことが多くなっています。これには一定レベルの応募者をふるい分ける、いわゆる「足きり」の意味合いがありますが、応募者にとっては時間と手間を取られる面倒な過程という面もあります。

一方、リファラル採用にも書類審査がないわけではありませんが、ここで落とされる確率は極めて低くなっています。選考の対象となるのは、社員の基準で問題ないと判断された人物ばかりであり、レベルについて一からチェックする必要がないからです。なので、選考を面接からスタートさせる企業も少なくありません。

このように、リファラル採用では、選考が比較的スムーズに進みやすいというメリットがあります。

デメリット

ミスマッチが生じる可能性もある

メリットの項目では、「リファラル採用では会社との相性が合いやすい」といったことを述べましたが、決してそうしたケースばかりとは限りません。注意を怠ると、ミスマッチが生じてしまう可能性も十分あります。

いくら信頼のおける知人の推薦とは言え、その言葉が100%信用できるとは限りません。嘘をつかれるというわけではなく、こちらの感覚とズレがあることも考えられるからです。
たとえば向こうの感覚では残業が少なめでも、実際勤めてみると、想像以上に残業が多かったということはあり得ます。

このように、紹介者への信頼がかえってデメリットとなることもあるので、決して向こうの情報を鵜呑みにせず、自分からも会社の情報を積極的にチェックすることが大事です。

他社との比較がしにくい

転職活動の利点の1つは、「自分の市場価値を確かめてチャンスを広げられる」ということですが、リファラル採用ではこれがしにくいという難点があります。

上記のように、リファラル採用はスムーズに選考が進みやすいため、とんとん拍子で採用が決まってしまうケースも多くなっています。これは無駄がないという点ではメリットですが、「幅広い選択肢を確保する」という点ではデメリットと言えます。

本来なら他の企業にもアプローチすることで、もっと良い条件で転職できる可能性があったのに、リファラル採用での入社後それに気付いて後悔するケースも珍しくありません。

プレッシャーがかかりやすい

リファラル採用は、ある意味能力を買われてスカウトされる形ですが、これが転職者にとってはプレッシャーとなりやすいというデメリットもあります。

企業側としては、現役の社員が見込んだうえでの採用ですから、その分求めるレベルは高くなります。転職者としても、そうした期待を十分感じており、実際それをモチベーションとして成果を上げるケースも多くなっています。

しかし、すぐには目に見える成果が上がらないとなると、逆に期待が重荷となってのしかかるというケースも少なくありません。そうなれば、ますます本来の力が出しづらくなり、焦ってまた成果が遠ざかるという悪循環に陥る場合もあります。

選考辞退などがしにくい

リファラル採用には、紹介者との関係が足かせとなりやすいというデメリットもあります。

知人からの勧めで応募し、無事選考に進んだり採用が決まったとしても、途中で会社と自分とのミスマッチに気づくということもあるでしょう。しかし、この段階で選考辞退などの断りを入れるのは、紹介者との関係を考えると、正直しにくい部分があるのは確かです。

特に自発的な転職ではなく、知人の強い勧めで面接を受けた場合、こうした悩みを抱えがちとなっています。

人間関係が壊れる可能性も

リファラル採用のデメリットとしては、「紹介者との関係がまずくなる可能性がある」ということも挙げられます。

上で述べたように、リファラル採用で入社が決まっても、本人がそれを望まない場合もあります。紹介者との関係で断りづらいとは言え、不本意な形で働いて結局成果が出ず、またすぐ転職ということにでもなれば、かえってその方が迷惑です。紹介者との関係が、決定的に悪くなるかもしれません。お世話になった人であるほど、これはかなり心苦しいところでしょう。

ですので、転職では自分自身の要望をしっかり見極め、無理な誘いについては早い段階できっぱり断った方が、お互いのためにベストと言えます。

リファラル採用とは?縁故採用(コネ入社)との違いやメリット・・デメリット9選

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