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フィンテック(FinTech)とは?5つの技術と11の分野

フィンテック(FinTech)とは?5つの技術と11の分野

最近「○○テック」という言葉をよく聞くようになりましたが、中でも特に耳にする頻度が高いのが、「フィンテック(FinTech)」です。すでに金融業界を中心として、一般にも浸透しつつあるワードですが、一方でまだ詳しい内容についてよく知らないという人も多いでしょう。

本記事では「フィンテック」の意味とともに、使われている主なテクノロジーや活用されている分野について解説していきますので、「フィンテック」に詳しくないという人はぜひ参考にしてみてください。

フィンテック(FinTech)の意味とは?

「フィンテック」は、英語にすると「FinTech」と書かれますが、これは「Finance」と「Technology」を組み合わせて作った造語です。「Finance」は「金融」を、「Technology」は「技術」を意味しており、直訳すれば「金融技術」となりますが、この「技術」は主に「IT(情報技術)」を指しており、大まかに言えば「ITの導入によって生み出される革新的な金融商品・サービス」といった意味合いになります。
フィンテックの身近な例としては、「キャッシュレス決済」が挙げられます。

近年フィンテックは世界的に大きな注目を集めていますが、それは従来の金融取引の在り方を変えるとされているためです。これまで金融商品・サービスを扱うのは銀行などの金融機関に限られていましたが、フィンテックの登場により、スタートアップや大手ICT企業などの参入が可能となっています。

フィンテック(FinTech)に使われているテクノロジー

ブロックチェーン

ブロックチェーン

暗号資産の基盤として良く知られている技術で、ネットワークに接続されたパソコンなどの端末同士でデータを共有することにより、システムを維持する仕組みを指します。中央管理者がおらず、分散的に運用される点が一番の特徴で、データの耐改ざん性や透明性が実現できるとされています。また、データを複数の端末同士で管理するために、大幅なコスト減が見込めるほか、一部の端末に不具合が生じても、システム自体は維持されやすいという利点があります。

IoT

IoT

こちらのテクノロジーは、「Internet of Things」の略語で、日本語では「モノのインターネット」と呼ばれます。自動車や電化製品、医療機器といったさまざまな製品とインターネットがつながっているシステムを指します。
身の回りのものがインターネットとつながることにより、膨大かつ幅広い情報の収集・蓄積が可能となり、それによって新しいサービスの開拓などにも役立ちます。フィンテックとしては、例えば自動運転社会における自動車保険といった領域に不可欠な技術となると見られています。

AI

AI

「AI」とは「Artificial Intelligence(人工知能)」のことで、「コンピューター上に人間と同じような知能を再現する技術」と定義されます。現在さまざまな分野で活用が進んでいますが、フィンテックも例外ではありません。特に、2010年ごろのディープラーニング技術開発によるAIの飛躍的な性能向上が実現してからは、ビッグデータを使った自動的な金融指標の分析や窓口業務の自動化など、金融業界のあらゆる領域でAIが盛んに活用されるようになっています。

API

API

「API」は、「Application Programming Interface」の略語です。ソフトウェアやアプリケーションの一部を外部に向け公開することで、第三者の開発によるソフトウェアとの機能の共有を実現してくれるテクノロジーを言います。例えばGoogleアカウントを使って、Google以外のアプリケーションにログインする機能などがそれにあたります。金融分野においては、振込などのお金の処理を行うアプリを開発するフィンテック企業と、銀行の口座管理システムとを結ぶ技術などとして不可欠なものとなっています。

生体認証

生体認証

「生体認証」とは、声や指紋、静脈などの身体の一部等を使って本人を特定する仕組みで、「バイオメトリクス認証」とも呼ばれます。こちらもフィンテックには欠かせないテクノロジーで、銀行や証券におけるオンラインサービスや、キャッシュレス決済などの分野での活用が進んでいます。従来の暗証番号やパスワードなどのセキュリティと比べて安全性が高いため、個人情報の漏洩や、スキミングの防止に大きな効果を発揮すると期待されています。

フィンテック(FinTech)の事例一覧

仮想通貨

仮想通貨

フィンテックの一種である「仮想通貨」は、現在は「暗号資産」という名称で呼ばれるのが通常です。最も有名なのが「Bitcoin(ビットコイン)」ですが、そのほかにも「Ripple(リップル)」や「Ethereum(イーサリアム)」など多数の種類があります。
前述のようにブロックチェーンの技術が基盤として用いられており、高い安全性を持つほかに、「いつ、どこででも送金が可能」「国際通貨を換金して所有できる」といった特徴があります。その一方で、通貨としての安定性に乏しいことから、現在のところ主に投資対象として扱われることが多くなっています。

スマートペイント

スマートペイント

「スマートペイメント」もフィンテックの一分野ですが、これは簡単に言えば、「現金を使わない決済手段」を意味します。主に企業と個人の間での電子決済による商取引(特に手動での振込によらない自動的なもの)を指しており、具体的には電子マネーやクレジットカード、QR決済コードなどが例として挙げられます。例えば決済アプリの「PayPay」は、スマートペイメントの代表例と言えます。「現金より決済が早い」「ポイントが貯まりやすい」などのメリットがあり、現在日本でも急速に普及しつつあります。

クラウドファンディング

クラウドファンディング

「クラウドファンディング」とは、インターネットを使った資金調達の仕組みのことです。「クラウド(群衆)」から、ネットを通じて少額ずつ「資金調達(ファンディング)」することを表しています。従来の資金調達法と言えば、銀行の融資やベンチャーキャピタルからの出資などが主流でした。しかし、クラウドファンディングというフィンテックが登場してからは、オンライン上で個人から資金を募ることが可能となっています。代表的なサービスには、「CAMPFIRE (キャンプファイヤー)や「READYFOR(レディフォー)」といったものがあります。

ソーシャルレンディング

ソーシャルレンディング

「ソーシャルレンディング」は、お金を必要とする個人や企業と、お金を出資して運用したい投資家とのマッチングを行うプラットフォームです。上記のクラウドファンディングの一種であり、「貸付型クラウドファンディング」とも呼ばれます。インターネットを通じてお金の融通を実現するというフィンテックで、大勢の投資家から小口の資金を集めて、大口の資金にすることが可能です。利回りの高さに比して貸倒れの件数が少ないことから、効率的な資産運用手段として注目されるようになっています。

トランザクションレンディング

ソーシャルレンディング

「トランザクションレンディング」とは、簡単に言えば、「日々の取引データなどに基づく融資条件の設定」を指しています。「トランザクション」とは、「取引履歴」の意味です。従来の融資条件の設定においては、事業や財務・年収などの情報を基準に決められるのが通常でした。これに対し「トランザクションレンディング」では、売買や資金決済、顧客評価といった取引データをフィンテックを用いて収集・分析し、信用力判定などを行うようになっています。これにより、審査にかかる時間が従来より大幅に短縮できるというメリットがあります。

投資・資産運用・ロボアドバイザー

投資・資産運用・ロボアドバイザー

フィンテックの活用は、投資や資産運用の分野にも及んでいます。例えばアプリやWeb上で株の投資ができたり、FXなどの資産運用も可能となっています。さらにフィンテックは、投資に際して自分で金融商品を選ぶ必要のない、「自動での取引」も可能にしました。具体的には「ロボアドバイザー(ロボアド)」と呼ばれるものがそれで、これはAIが投資家に代わって実際に投資を行ったり、投資関連のアドバイスやポートフォリオの提案をしてくれるサービスとなっています。

会計・経理

会計・経理

法人や個人の会計・経理業務を支援するサービスも、フィンテックが活用されている分野です。具体的なツールとしては、クラウド会計ソフトの「freee」「マネーフォーワード」、電子請求書発行システムの「楽楽明細」「Misoca」などが代表的なものとして挙げられます。これらのツールを使うことで、煩雑な入力業務が簡略化されるだけでなく、経営状況に関する分析レポートの出力も、素早く行えるようになります。こうした経理業務の効率化は、さらに人件費の削減などのメリットにもつながります。

PFM(個人財務管理)

PFM(個人財務管理)

フィンテックは、個人の資産形成の分野でも活用されており、その代表例が「PFM」と呼ばれるソフトです。「PFM」とは「Personal Financial Management」の略語で、日本語にすると「個人資産管理」となります。文字通り個人顧客の資産管理を行ってくれるサービスで、簡単に言えば「家計簿アプリ」にあたります。日々の支出や収入の管理といった基本的な機能に加え、スマートフォンでレシートを撮影すると、自動的に支出の内容が反映されたり、連携する口座から自動でデータを取得し、分類やグラフ化を行うなどの機能も付いています。

送金

送金

これまで個人間でお金のやり取りをするとなると、考えられる手段は銀行振込や現金書留といったものが主でした。しかし現在は、この分野でもフィンテックを使ったサービスが浸透しつつあります。それがスマホの決済アプリによる「個人間送金機能」で、この機能を使うと、同じスマホアプリのユーザー同士でお金の融通が可能となっています。基本的には銀行振込と同じ機能ですが、携帯電話番号やユーザーIDなどを利用したシステムなので、相手の口座番号を知らなくても使えるという特徴があります。

保険

保険

保険の分野でも、フィンテックの活用が進んでいます。この業界では、「Insurance(保険)」と「Technology(技術)」とを掛け合わせて「InsurTech(インシュアテック)」という呼び方をすることもあります。例えば「テレマティクス保険」と呼ばれる保険では、専用アプリをインストールしたスマートフォンなどを車中に据えることで運転データを取得・分析し、安全な運転をしていると認識された人ほど保険料が割引される仕組みとなっています。これにより、運転者はより安全運転を心がけるようになるなどのメリットが得られます。

金融情報

金融情報

投資家の資産運用や、企業の経営戦略立案などに際しては、金融や経済の情報を効率よく集めることが必要になります。フィンテックはそうしたニーズにおいても活用されており、ITを駆使して膨大な量の経済関連データを収集・分析し、素早く質の高い情報を取得できるサービスがいくつも登場しています。例えば「SPEEDA」は、クラウド型の経済情報プラットフォームとして多種多様なビジネス情報を整理・格納しているほか、独自業界レポートや、アナリスト・専門家の知見に基づくオリジナルコンテンツの掲載なども行っています。

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