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X-Tech

Fashion Tech(ファッションテック)の意味とは?国内外の事例21選

Fashion Tech(ファッションテック)の意味とは?国内外の事例21選

「FinTech」や「Govtech」など、最近は「X-Tech」と呼ばれる言葉がよく聞かれますが、「Fashion Tech(ファッションテック)」もその1つにあたります。言葉自体はまだまだ一般には浸透していませんが、さまざまな企業がこの分野に進出しており、注目度は国内外問わず上昇する傾向にあります。

本記事では、「ファッションテック」についていろいろ知りたいという人のために、その意味や国内・国外の具体的事例について、詳しく解説していきたいと思います。

ファッションテックの意味とは

「Fashion Tech」とは、文字通り「fashion」と「Tech(Technology)」の2語を組み合わせて作られた造語です。「fashion」はそのまま「ファッション」を意味しますが、この場合の「Technology」は、ITなどの先端技術を主に指します。簡単に言うと、「最新のテクノジーを活用して、ファッション業界を活発化させる試み全般」が、「ファッションテック」ということになります。
例えばバイオテクノロジーを駆使した新素材の開発や、AIを使ったスタイリングサービスといったことが、これにあたります。

また、現在多くの人が利用しているネット通販でのファッションアイテムの購入や、フリマアプリを通じた衣服の売買といったシステムも、一種のファッションテックであると言うことができます。このように、現在ファッションテックは、ファッション業界の各分野に広く浸透しつつあります。

注目のファッションテック

デジタルファブリケーション

デジタルファブリケーション

「デジタルファブリケーション」とは、デジタルデータを基とした素材やモノ作りのことで、さまざまな分野で導入されていますが、ファッションテックも例外ではありません。
現在、衣服に繊維状のセンサーを織り込んで、服自体をデジタルデバイス化する試みが進められています。また、デジタルデータを生地や紙にプリントするデジタルプリントなどの技術も、ファッションの創造をこれまでより自由かつ効率的にするとして注目されています。

バーチャルフィッティング

バーチャルフィッティング

これまでECサイトで服を購入する際、最大のネックは「試着ができない」ということでしたが、これを可能にするのが「バーチャルフィッティング」です。
こちらはVRなどのデジタル技術で試着シミュレーションができるファッションテックで、実物の衣服が手元になくても、実際に着ているように映像で確認することができます。この技術を活用することにより、ユーザーは不安なくネットで衣服を購入できるようになり、ECサイトは、試着できないことで生じていた機会損失を埋めることが可能となります。

バーチャルスタイリスト

バーチャルスタイリスト

こちらのファッションテックは、スタイリングのやり方で悩んでいる人のために、さまざまなアプローチでスタイリングの提案を行ってくれるサービスになります。
例えば、おしゃれな人やショップ店員のコーディネートを取り上げ、メディア的に紹介したり、あるいはプロのスタイリストによるアドバイスや、人工知能によるレコメンド(勧める・推薦する)といったことも、このカテゴリーに含まれます。
これらのサービスの活用により、ショップ店員と一般顧客との間にある、ファッションやコーディネートなどに関する知識のギャップが埋められると期待されています。

クロージングサブスクリプション

クロージングサブスクリプション

こちらのファッションテックは、「ファッションサブスクリプション」とも呼ばれますが、文字通り衣服のサブスクリプション(定額制)サービスになります。
具体的には、月々決まった料金を支払うことで、洋服やアクセサリーを好きなだけレンタルできるというものです。近年は消費者の意識が購買から共有へとシフトしていることもあり、こちらのサービスも注目を集めています。特に、世界的に経済状況が厳しくなっている現在では、こうしたレンタルサービスが今後広まっていくものと見られています。

パーソナルオーダー

パーソナルオーダー

「パーソナルオーダー」とは、洋服づくりについて顧客の好みの素材・柄などを選び、サイズに合わせた裁断や縫製を行ってくれるサービスですが、ファッションテックの分野においても、こちらのカテゴリーが注目を集めています。
有名なのが、ファッション通販会社ZOZOの開発による「ZOZOSUIT」で、こちらはセンシング技術を用いることにより、メジャーでの計測なしに身体にフィットした衣服の注文ができるサービスとなっています。従来のような細かい採寸が必要ないため、注文についての時間やコストを節減できます。

VR180

VR180

「VR180」は、GoogleとYouTubeが共同で開発した、VRの新しいフォーマットです。これまでのVRで主流だったのは、どの角度・方向でも映像が見られる「VR360(Google社の表記)」でしたが、VR180では前方向しか見渡せません。その代わりに、遠近感や立体感は本物の視覚により近く、臨場感に優れています。ファッションテックとしての活用例はまだ少ないものの、今後は、自宅にいながら実店舗でショッピングしているような気分も味わえるようになると期待されています。

USDZ

USDZ

「USDZ」とは、Appleとアニメーション会社のピクサーが開発した、ARの新しいファイルフォーマットです。1つのファイルで、3Dグラフィックスに関するあらゆる情報のやり取りが可能となっています。Appleはこのフォーマットを、iOSやmacOSでネイティブ形式のファイルとして扱えるようにしました。最近のApple製品のWebページでは、このUSDZによるARの体験コーナーが設けられており、iPhoneやiPadのカメラなら、専用アプリなどなしに商品のリアルな実物大画像を見ることができます。いずれはこの技術も、ファッションテックとして活用されると見込まれています。

ファッションテック事例

ここからは、ファッションテックの具体的事例について、国内と海外の両方のものを見ていきましょう。国内では先に挙げた「ZOZOSUIT」や、「airCloset」「Virtusize」が知られています。一方海外では、「GUCCI DIY」などの事例が有名となっています。

日本国内事例

ZOZOSUIT

ZOZOSUIT

国内のファッションテック事例、最初に紹介するのは、ZOZOの「ZOZOSUIT」です。こちらは上でも少し触れましたが、ユーザーの体型サイズを正確に計測するためのスーツになります。ユーザーはセンサーが内蔵されたこのスーツを着用し、専用のスマホアプリで体を360°撮影すると、全身24ヵ所の採寸データが取れる仕組みです。
最初に発表されたZOZSUITは、採寸精度に問題があるなどの理由ですぐに配布終了となりましたが、ZOZOは2020年に、改良された「ZOZOSUIT2」を発表しました。

https://zozo.jp/

airCloset(エアークローゼット)

airCloset(エアークローゼット)

続いてのファッションテックの国内事例は、「airCloset(エアークローゼット)」です。こちらは、先述の「クロージングサブスクリプション」サービスを展開している会社になります。ユーザーは、スマホで好みのスタイルや着用シーンなどの質問に答えるだけで、あとはスタイリストが服をセレクトし、専用のバッグで届けてくれます。好みに合わない場合は返却・交換も可能で、クリーニングの必要はありません。気に入った服があれば、買い取りもできるようになっています。

https://www.air-closet.com

nutte(ヌッテ)

nutte(ヌッテ)

国内のファッションテック事例、3例目は、「nutte(ヌッテ)」です。こちらは、洋服のリメイクやオーダーメイドなどのオンラインサービスを展開する会社になります。会社には、1500人以上の縫製のプロが在籍しており、販売用の商品から、個人用の服まで幅広く手がけています。ユーザーはまず作りたい服のイメージから依頼表を作成し、職人を選んで契約します。その後、生地やデザイン詳細などについて職人と相談しつつ製作を進め、出来上がったものが手元に届く流れとなっています。

https://nutte.jp

Virtusize(バーチャサイズ)

Virtusize(バーチャサイズ)

国内のファッションテック事例、続いて紹介するのは、「Virtusize(バーチャサイズ)」です。こちらは、「株式会社Virtusize」が提供する、オンライン試着サービスになります。
アイテム同士をイラストで重ね合わせてサイズを比較できるというツールで、購入済みでサイズ感がピッタリの服を基準にして、ECサイトで気になった服のサイズ感をチェックすることができます。また、基本情報に基づいて作った自分のシルエットに商品イラストを重ねて、着用時のイメージを簡単に確認することもできます。

https://www.virtusize.jp

YR Live(ユアーライブ)

YR Live(ユアーライブ)

国内ファッションテック事例、5つ目に紹介するのは、株式会社YR JAPANの「YR Live(ユアーライブ)」です。誕生したのは2013年のイギリスで、2017年に国内ローンチされました。
こちらは、デジタルツールを使用して、その場でユーザーがカスタムしたブランドアイテムが作れるというサービスになります。やり方は、タッチスクリーン上に表示されるベースデザインを、ユーザーがアプリケーションで自由にデザインし直すというもので、それがデジタル刺繍などの技術により、即座にプロダクトアウトされる仕組みとなっています。

https://thisisyr.com/jp/

PASHALY(パシャリィ)

PASHALY(パシャリィ)

国内のファッションテック事例、6例目は、「PASHALY(パシャリィ)」です。こちらは、サイジニア株式会社が提供するアプリになります。写真から欲しいファッションアイテムを探せるというサービスで、ユーザーは気に入ったアイテムが載った写真や画像を見つけたら、それをスマホで撮影するか、またはその画像やスクリーンショットをアップロードします。すると、AIが画像を分析するので、あとは欲しいカテゴリーを選択すれば、そのアイテムの名前や購入可能なページ、関連商品などが、ECサイトへのリンクと共に表示されます。

https://pashaly.com/

unisize

unisize

7つ目に紹介する国内ファッションテック事例は、株式会社メイキップの「unisize(ユニサイズ)」です。こちらは、オンラインでのフィッティングを可能にするシステムになります。採寸方法は主に2種類ありますが、そのうちの1つが、体型の測定によるフィッティングです。ユーザーは簡単なアンケートに答えるか、または写真を2枚アップしてAIに測定してもらいます。もう1つは洋服の測定によるフィッティングで、購入履歴などに基づいて採寸します。するとそれらのデータを基に、システムが最適なサイズを推奨してくれる仕組みとなっています。

https://cl.unisize.makip.co.jp/

シタテル

シタテル

続いて紹介する国内ファッションテック事例は、「シタテル」です。こちらは、衣服生産に関わるさまざまな要望に応えてくれるプラットフォームで、パターン作成や生地、資材の提案、縫製工場の選定から検品まで、必要な業務の依頼が可能となっています。ユーザーはアカウント登録して生産の相談などのメッセージを送ると、服の全生産過程のサポートが受けられる仕組みで、受注構造の効率化により、小ロットでの衣服生産が可能となっています。

https://sitateru.com/

lenet(リネット)

lenet(リネット)

国内のファッションテック事例、8つ目に挙げるのは、株式会社ホワイトプラスが運営するネット完結型クリーニングサービス「lenet(リネット)」です。こちらは、自宅にいたまま服をクリーニングに出せるサービスとなっています。ユーザーはスマートフォンから申し込みを行い、洋服を袋に詰めて配送員に渡すだけで、後は最短2日(プレミアム会員)で仕上がった服が戻ってくる仕組みです。2回目以降の注文は、アプリから簡単に行うことができます。1枚からの利用や、コンビニからの発送も可能となっています。

https://www.lenet.jp/

SENSY

SENSY

続いての国内ファッションテックは、SENSY株式会社が提供するパーソナル人工知能「SENSY」です。こちらは、ユーザー1人1人の「感性」を修得するという人口知能で、日々の行動やチャットなどのコミュニケーションを通じ、その人固有の嗜好や好みを理解できるようになっています。これを活用することにより、顧客ごとにパーソナライズされたマーケティングが可能となるほか、数10万ものアイテムの売上を顧客やアイテム単位で予測し、商品発注などのMD計画を最適化することにも役立ちます。

https://sensy.ai/

メチャカリ

メチャカリ

国内ファッションテック事例、最後に紹介するのは、株式会社ストライプインターナショナルの運営による「メチャカリ」です。こちらは、月額定額で洋服が好きなだけ借りられるファッションレンタルアプリになります。ファッションレンタルでは中古が多いというイメージですが、「メチャカリ」の場合、アイテムはすべて新品というのが特徴です。取り扱うアイテムも、オフィスやプライベートなど、さまざまなシーンに対応できるものとなっています。返却時のクリーニングは不要で、割引での買い取りも可能です。

https://mechakari.com/

海外事例

ここからは海外のファッションテック事例についてご紹介していきます。

Project Jacquard

Project Jacquard

1つ目は、Google社の開発による「Project Jacquard」です。これは、繊維や織物にインタラクティブ機能を付加した新素材に関するプロジェクトで、例えばリーバイスと共同で開発したジャケットでは、織り込まれた特殊な繊維によって、袖に触れるだけでスマートフォンの操作が可能となっています。さらにその後の新作では、センサータグを別途追加する仕組みとなっており、タグを外せば普通に洗濯することも可能です。

https://atap.google.com/jacquard/

GUCCI DIY

GUCCI DIY

続いて紹介する海外ファッションテック事例は、「GUCCI DIY」です。世界的なファッションブランド会社として知られるグッチが手がけるサービスで、ユーザーはグッチのウェアやアクセサリーを、独自にカスタマイズすることが可能となっています。考案したのは、グッチのクリエイティブディレクターであるアレッサンドロ・ミケーレで、彼が生み出したバッグやシューズ、ウェアといったアイテムの色や素材を変更したり、イニシャルを刻印することなどができます。

https://www.gucci.com/jp/ja/ca/diy-c-diy

House of Innovation

House of Innovation

海外ファッションテック事例、3つ目に紹介するのは、NIKEの新店舗「House of Innovation」です。NIKEはスニーカーなどの販売で知られる会社ですが、こちらは「NIKEアプリ」を利用した、買い物体験の最大化を狙うサービスになります。ユーザーは、店舗を訪れた際アプリにチェックインし、試着したい商品のバーコードなどをスキャンすると、スタッフが試着室まで商品を持ってきてくれます。購入の際は、「すぐに買う」のボタンを押すだけで決済されますから、後は自分で商品を袋に入れ、持って帰ればOKとなっています。

https://www.nike.com/jp/house-of-innovation

Fashion Tech(ファッションテック)の意味とは?国内外の事例21選

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