ビジネス用語
玉突き人事の意味とは?玉突き人事が発生する主な理由3選
スポンサーリンク
玉突き人事とは?ジョブローテーションと横滑り人事との違い
組織で働いていると、必ずと言っていいほど付きまとうのが、「異動」の話題です。一口に「異動」と言っても、さまざまなケースが考えられますが、その1つに「玉突き人事」と呼ばれるものがあります。社会人なら一度は耳にしたことがあるフレーズでしょうが、詳しい意味についてはよく知らないという人も多いかもしれません。
果たしてこの言葉は何を表し、なぜ起こるのでしょうか。本記事では、「玉突き人事」の意味や似た用語との違い、発生する主な理由などについて解説していきたいと思います。
玉突き人事の意味とは?
「玉突き人事」とは、人事異動の種類の1つで、「ある人物の異動に伴い空きが出たポストを、別の人物を異動させることで埋め、さらにそのことで空いたポストを、また異なる人物の異動で埋める」といったようなものを指します。
「玉突き」はビリヤードの意味で、1つの異動が連鎖反応的に別の異動を生んでいくさまを、ビリヤードにおける玉の衝突の連鎖になぞらえた呼び方となっています。
「玉突き人事」には、「縦」と「横」の2方向のパターンがあります。
前者の場合、例えば部長のポストが空いた際に、その直下の「課長」「主任」「リーダー」から順に昇格していくケースが挙げられます。後者はこれとは違い、水平方向の異動を指します。すなわち、「営業部長」の異動に伴って「広報部長」がその穴を埋め、さらに「総務部長」が「広報部長」の穴を埋めるといったケースです。
両者を組み合わせるケースもありますが、基本的にはこの2つのパターンから成り立つと考えてOKです。
ジョブローテーションとの違い
「ジョブローテーション」とは、社員の能力開発を目的として行われる、計画的かつ戦略的な人事のことです。幹部候補者の増加など、「社に有益な従業員の育成」のために部署間で行われる異動を指します。
連鎖的に異動が波及する点で、玉突き人事と混同されやすくなっていますが、実際の意味合いは明確に違います。ジョブローテーションが前述のように、戦略的・計画的に行われるのに対し、玉突き人事は欠員に対し突発的に行われるのが特徴で、明確な意図や戦略性などはないのが通常です。
横滑り人事との違い
「横滑り」とは、文字通り「横の方向に滑ること」の意味ですが、人事に関して使われる場合は、「現在と同程度の地位・役職に異動すること」を指します。つまり、給料のレベルや地位の高さはそのままに、今までとは別のポストに移ることが、「横滑り人事」になります。
これに対し玉突き人事は、異動が連鎖的に続くさまを示した表現です。上記のように、横滑り的な水平方向の玉突き人事は考えられますが、「横滑り人事」は特に連鎖反応を前提とした言葉ではありません。この点は、両者の明確な違いになります。
玉突き人事が発生する主な理由
ここまで玉突き人事の意味などについて見てきましたが、そもそもなぜ、こうした異動が発生するのでしょうか。
その理由はさまざまですが、ここでは玉突き人事が起こる主な理由を3つ挙げて、それぞれについて紹介していきましょう。
急な欠員の補充
玉突き人事が起きるのには、「急な人員不足の発生」という事態が大きく関係しています。
職場では、病気や親族の介護など、やむを得ない事情で急遽退職していく人が時折現れます。企業としては、その穴を急いで生めなくてはなりませんが、なにしろ突然の事態なので、多くの場合きちんと計画を練る暇がありません。そのため、とりあえず目先の欠員を埋めることが優先され、結果としてなし崩し的に玉突き人事が起きやすくなるというわけです。
問題のある部署の再生
玉突き人事は、結果的に起こることばかりではなく、意図的に行われる場合もあります。
問題を抱える部署の再生を目的としたものがそれです。
例えば、ある部署で社員の間に軋轢が生じ、コミュニケーションがうまく行かずに業務に支障が出ているとしましょう。これは単に部署の生産性を下げるだけでなく、組織全体の業績にも悪影響を及ぼします。こうした状況が深刻な場合、あえて急な玉突き人事を起こすことで人員を再配置し、部署の再生を図るケースがあります。
社員の不正防止
社員の癒着や不正を防ぐために、玉突き人事を利用することもあります。こちらもやはり、意図的に起こすケースです。
長期間異動のない部署では、社員同士のなれ合いが生じやすいという問題があります。社員間の意思疎通が円滑なのは良いことですが、行き過ぎると仕事の質の低下を招きますし、不正の温床ともなります。また、取引先との癒着といった問題も生じかねません。そこで、わざと玉突き人事を起こして社内に緊張感をもたらし、こうしたなれ合いや不正を防ぐケースも見られます。
この記事が気に入ったら いいね!しよう