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中東の定義とは?中東の国々16選

中東の定義とは?中東の国々16選

国際的なニュースを見ていると、かなりの頻度で登場するのが、「中東」というワードです。周知のように、世界の政治や経済において重要な位置を占める地域ですが、実際にどのあたりを指すのかについては、あまり詳しく知らないという人も多いでしょう。果たして、具体的にどのような国々が「中東」にあたるのでしょうか。

本記事では、世界情勢を読み解く上で欠かせない中東の定義や、それを構成する国々について詳しく解説していきたいと思います。

中東の定義とは

中東の定義とは

中東の定義とは

「中東(ちゅうとう)」とは、英語の「middle-east」という呼称を日本語に訳したものです。「中東」の語の意味は、「ヨーロッパから見た、極東と近東の間の地域」といったものになります。ちなみに「極東」は、日本や中国、朝鮮半島などの地域を指し、「近東」は時代によって変遷はあるものの、トルコやシリア、エジプトなどの地域を指します。
ただ、近年では近東も含めて「中東(中近東)」と呼ぶことが通常です。

このように漠然とした説明はできますが、実際には「中東」の詳しい定義は存在しません。具体的に「この地域を指す」という一貫した定義はなく、場合によって異なるのが実際のところです。以下の項目では、日本と欧米における「中東」の定義の違いについて説明していきましょう。

日本と欧米における中東の定義の違い

「中東」という概念は、もともとヨーロッパ各国が植民地獲得競争を繰り広げていた19世紀に、イギリスが作り出したものです。
当初はイランやアフガニスタン及びその周辺地域を指していましたが、次第に前述のような「中近東」の概念が生まれ、それが現在指すような「中東」の定義の元となりました。第二次大戦以後の欧米では、通常アフガニスタンを除く西アジアとアフリカ北東部を指して、「中東」と呼ぶのが通常です。

それに対し日本では、欧米とはやや異なる定義がなされています。日本において「中東」の語は、イスラム教を基盤とする文化領域を指す概念として、きわめて広範囲に使われているのが特徴です。例えば、欧米の定義では含まれないアフガニスタンやパキスタンなども、日本では「中東」に含まれます。

中東の国々

上では「中東」のさまざまな定義について見ましたが、具体的にはどういった国が「中東」に含まれるのでしょうか。ここでは、中東を構成する主な国々について、それぞれの政治・経済などの状況を紹介していきましょう。

アフガニスタン

アフガニスタン

アフガニスタンは、正式な国名を「アフガニスタン・イスラム共和国」と言います。上記のように欧米の定義では含まれませんが、日本では「中東」の一国として認識されています。

歴史的に紛争が多く発生している国であり、イギリスやロシアによる占領や、アメリカの軍事報復などを経験しています。現在は国家統一政府(NUG)による統治が行われていますが、いまだに反政府勢力タリバーンとの和平合意は実現しておらず、経済も混乱した状況が続いています。

アラブ首長国連邦(UAE)

アラブ首長国連邦(UAE)

アラブ首長国連邦は、アラビア半島ペルシア湾沿岸にある中東国家です。「UAE」の略称で呼ばれることも多くなっています。

7つの「首長国」と呼ばれる国から成る連邦制国家で、首都はアブダビに置かれています。石油・天然ガスの資源に恵まれ、GDPの約40%を、それらによる収入が占めています。1人あたりの国民所得は、世界でも屈指のレベルという裕福な国家です。また、高層ビルなどで有名なドバイの存在もあり、近年は世界的な観光地としても知名度を上げつつあります。

UAE(アラブ首長国連邦)の定義とは?UAEを構成する7つの国

イエメン

イエメン

イエメンは、正式な国名を「イエメン共和国」と言います。中東のアラビア半島南端部に位置しており、インド洋上の一部の島々も領有しています。

2015年、イスラム教シーア派武装組織「フーシ」によるクーデターがきっかけで、「イエメン内戦」が勃発しました。その後サウジアラビアなどの介入によって内戦は激化し、多数の難民が発生するなど、大規模な混乱が続いています。国連の仲介による和平協議などが行われていますが、2020年5月現在も完全な停戦は実現していません。

イスラエル

イスラエル

イスラエルは、レバントと呼ばれる東部地中海沿岸地方に位置する中東国家です。建国は1948年とまだ歴史が浅く、ユダヤ人によるイスラエルへの故郷再建を目指す「シオニズム運動」の興隆を経て誕生しました。しかし、建国当初からパレスチナを巡って争いが絶えず、周辺のアラブ諸国との間で何度も紛争が起きています。現在もこうした状況は改善しておらず、イスラエルによるガザ地区空爆やパレスチナ入植活動など、さまざまな問題を抱えています。

イラク

イラク

イラクは、正式な名前を「イラク共和国」という中東の連邦共和制国家です。サウジアラビアやクウェートなどと国境を接しています。イギリス委任統治を経て、1932年に独立しました。1979年にサダム・フセイン政権が誕生し、以後独裁体制が敷かれますが、2003年のイラク戦争により政権は崩壊、2005年にはシーア派政権が誕生しています。原油埋蔵量は世界3位を誇るものの、イラク戦争後の国内の混乱などもあり、経済状況は依然として厳しいものとなっています。

イラン

イラン

イランは、正式な国名を「イラン・イスラム共和国」と言います。「ペルシア」の名前でも知られる中東の国家です。

1979年のイラン・イスラム革命以後は、伝統的なイスラム教理に基づいた政治が行われています。石油埋蔵量はOPEC中で2位、世界4位を占めるなど膨大で、経済は大部分を原油の輸出に依存しています。その一方で国民の貧富の差は大きく、また核開発を巡る各国の反発もあって、国際社会では経済的に孤立した状況が続いています。

オマーン

オマーン

オマーンは、アラビア半島東端にある中東の国家です。正式には「オマーン国」と呼ばれ、政治的には絶対君主制が敷かれています。首都はマスカットにあり、サウジアラビアやイエメンと国境を接しています。

1970年代まで幾度か内戦を経験するなど、国内情勢は不安定でしたが、前国王のカーブース就任以後は安定した政治状況が続いています。また、周辺諸国とも円滑な関係を維持しています。経済は、輸出の半分を占める原油によって支えられています。

カタール

カタール

カタールは、正式な名前を「カタール国」という、中東の立憲君主制国家です。アラビア半島東部に位置する、カタール半島のほぼ全域を領土としています。

油田の発見により20世紀中に急速な経済発展を遂げ、現在も国内総生産の6割あまりを、石油・天然ガス関連の産業が占めています。国内285万人(2019年現在)の人口のうち、カタール人は1割ほどで、残りの9割は東南アジアなどからの外国人労働者となっています。このため共通語としては、主に英語が使われています。

クウェート

クウェート

クウェートは、正式には「クウェート国」と呼ばれます。イラクやサウジアラビアと国境を接する、中東の立憲君主制国家です。1990年のイラクによるクウェート侵攻で一時占領下に置かれますが、1991年には多国籍軍の介入によって解放されています。

世界第4位の埋蔵量を誇る石油を主要産業とし、さらにオイルマネーによって投資環境の整備を進めるなど、金融立国としても発展しています。こうした状況から雇用の創出も莫大で、ほとんどの国民は国家公務員か、または国営企業の社員となっています。

サウジアラビア

サウジアラビア

サウジアラビアの正式な国名は、「サウジアラビア王国」です。紅海とペルシア湾に面しており、アラビア半島の大部分を占める中東国家になります。イスラム教最大の聖地「メッカ」を擁することでも知られています。

政治体制は、サウード家による絶対君主制を採っています。原油埋蔵量世界2位を誇る一大産油国であり、OPEC(石油輸出国機構)の盟主的な存在となっています。石油など天然資源の輸出を主な外貨獲得の手段とし、これらで得た外貨を、世界各国で投資運用しています。

シリア

シリア

シリアは、正式な国名を「シリア・アラブ共和国」と言う中東の国家です。一部は東地中海に面し、その他トルコやイラクと国境を接しています。

政権は、1963年の革命以来一貫してバアス党が握っていますが、2011年のシリア騒乱以後、国内は政府と反体制派との間で内戦状態に突入しています。また、これによる周辺国との緊張や難民の発生もあり、国際的な孤立を深めています。経済的にも、2014年時点でGDPが約40%減少するなど、深刻なダメージを受けています。

トルコ

トルコ

トルコの正式な国名は、「トルコ共和国」です。西アジアのアナトリア半島と、東ヨーロッパのバルカン半島東端にある、東トラキア地方を領有しています。

地理的にはヨーロッパとアジア・中東を結ぶ地域にあり、各地からヨーロッパを目指す難民が集まるなど、国際政治的にも重要な位置を占めています。イスラム教徒が99%を占めていますが、政治的には世俗主義が貫かれているのが特徴です。しかし、2002年に誕生したエルドアン政権以降は、徐々にイスラム化政策が強化される傾向にあります。

バーレーン

バーレーン

バーレーンは、正式には「バーレーン王国」と呼ばれる中東国家です。サウジアラビアの東に位置し、ペルシア湾内の群島を国土としています。

かつては絶対君主制を敷いていましたが、湾岸戦争後の民主化を求める国民の要求もあり、2002年からは立憲君主制国家として生まれ変わっています。GDPの約30%を石油関連事業が占める産油国で、国民はその恩恵として、個人所得税を支払う必要がありません。しかしその一方で、失業率が15%を超えるなどの問題も抱えています。

ヨルダン

ヨルダン

ヨルダンの正式な国名は、「ヨルダン・ハシミテ王国」です。イスラエル、パレスチナ暫定自治区などと国境を接する、中東の立憲君主制国家になります。

ヨルダン国民の約半数は、中東戦争によって流入してきたパレスチナ難民となっています。イスラム世界においては穏健派で、アラブ諸国だけでなく世界各国と協調する外交路線を採っており、イスラエルとも国交を樹立しています。石油の産出がほとんどなく、経済は主に天然ガスとリン鉱石、農業に支えられています。

レバノン

レバノン

レバノンは、正式には「レバノン共和国」と呼ばれる中東国家です。シリア、イスラエルと国境を接し、一部は地中海に面しています。

レバノンは、中東諸国でも珍しい多民族・多宗教国家です。イスラム教徒が半数を占めますが、キリスト教徒も約40%おり、その他にもドゥルーズ派(イスラム教の宗教共同体)などが存在します。主な産業は、農業や観光業、また中継貿易となっています。近年はシリア内戦などの影響もあり、2020年4月にレバノン・ポンドが急落するなど、経済的に深刻な状況にあります。

パレスチナ

パレスチナ

パレスチナは、地中海東岸のシリア南部に位置する、中東の一地域の名称です。現在は「パレスチナ自治区」として、ヨルダン川西岸とガザ地区を合わせた地域をこう呼んでいます。

「パレスチナ人」と呼ばれるアラブ系住民による自治が行われており、ヨルダン川西岸地域をパレスチナ自治政府が治め、ガザ地区は2007年以降、イスラム原理主義組織ハマース(「イスラム抵抗運動」の意味)が実効支配しています。1988年にイスラエルからの独立を宣言していますが、イスラエル側は独立国として認めておらず、現在も武力衝突を含む緊張状態が続いています。