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「濃口醬油」と「薄口醤油」の違い

「濃口醬油」と「薄口醤油」の違い

「濃口醬油」と「薄口醤油」の違いとは

和食の風味や味を引き立てる調味料に「醤油」があります。このうち、一般的に使われる醤油といえば「濃口醬油」と「薄口醤油」です。濃口と薄口という名称から、味すなわち塩分の濃淡なのかと思うかもしれませんが、じつはそうではありません。
では一体何が違うのでしょうか。この2つの醤油をうまく使い分けることで、より料理の美味しさ度をアップさせることができます。

今回は「濃口醬油」と「薄口醤油」の特徴や違い、さらにそれぞれに適した使い方などをご紹介します。

「濃口醬油」とは

濃口醬油

「濃口醬油」は、全国で広く使われている一般的な醤油のことで、醤油の約8割を占めています。

濃口と薄口の違いは、醤油の色合いの濃淡にあります。一般的に黒っぽく沈んだ色をしたのが「濃口醬油」です。それに比べて「薄口醤油」は淡く透明感のある茶色をしています。

味の塩分については、濃口の漢字が意味するように、「濃口醬油」の方が「薄口醤油」よりも塩辛い印象があるかもしれません。しかし、塩分濃度は「濃口醬油」の16~17%に対し、「薄口醤油」は18~19%。濃口醬油の方が塩分は低めになっています。

このように、「濃口醬油」は「薄口醤油」に比べて、色が濃く、塩度が低いのが特徴です。「濃口醬油」の色が濃いのは、原料の大豆・麦などを長い時間をかけて熟成・発酵させているためです。発酵が進めば進むほど色味は濃くなり、香りも豊かで奥深いコクのある醤油に仕上がります。

「濃口醬油」は、江戸時代に関東で生まれ、全国に広まりました。
この背景には関東の食文化があると考えられます。関東ではかつお出汁が多く使われ、さんまやかつおといった魚も好まれました。その風味の強い魚に合うように、香りが強くしっかり味付けをする「濃口醬油」が求められたのです。

「濃口醬油」と「薄口醤油」は、料理によって使い分けるのが一般的です。「濃口醬油」は、煮物、焼き物といった調理、冷ややっこや刺身などにかけるツケ、タレなどの調味料と何でも使える万能型です。醤油でしっかり味付けをしたい時に「濃口醬油」が適しています。後述するように、素材を活かし、料理に色を付けたくない時などは「薄口醤油」が好まれます。

「薄口醤油」とは

薄口醤油

「薄口醤油」は、「濃口醬油」に比べて、色が淡く、透明感のある薄い茶色をしています。これは、日本農林規格(JAS法)で「薄口醤油は製造工程において色の濃化を抑制したもの」と定められています。つまり色を薄くする工夫をしたものが「薄口醤油」です。色の薄い意味から淡口(うすくち)とも表記します。
また、「薄口醤油」は、塩分濃度が18~19%。「濃口醬油」(16~17%)に比べて高いのも特徴です。

この色の薄さと塩分度の高さは関係があります。
醤油は熟成・発酵期間が長く、温度が高いほど色が濃くなります。したがって「薄口醤油」の製造においては、低温にして熟成・発酵期間を短縮し、発酵・熟成を抑える働きを持つ塩分を多く用いるなど、色が濃化しない工夫をしています。こうした工程により「濃口醬油」に比べて塩が多くなるため、仕上げに甘酒や水あめを加え、味をまろやかにしています。

「薄口醤油」と「濃口醬油」は発祥も違います。「薄口醤油」は関西で生まれ、今も関西で広く使われています。穏やかな香りが特徴で、あっさりした味わいです。
この背景には、関西では繊細な昆布出汁が使われたことや、薄味の京料理の影響もあり、素材本来の色合いや風味を活かした味付けが求められたことがあります。
今では鍋物やおでんの風味付け、含め煮や吸物、茶わん蒸しなど素材の色合いや持ち味を生かした料理によく用いられます。一方で「濃口醬油」と違い、カケやタレにはあまり適していません。

「濃口醬油」と「薄口醤油」の違い

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