監修記事
「賞味期限」と「消費期限」の違い
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ご存知ですか?「賞味期限」と「消費期限」の違い
冷蔵庫やキッチンの戸棚を整理している際、ふと食品のパッケージを手に取ったら、記載されている日付が過ぎていた!などということはよくありますよね。
購入する時や食べる時に何気なく確認するこの日付、「賞味期限」や「消費期限」と呼ばれているものだとは知っていても、その違いをきちんと把握している方は少ないのではないでしょうか。似たような呼び方ですが、実は「賞味期限」と「消費期限」には、大きな違いがあるのです。
賞味期限とは?
賞味期限とは、「定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日」のことです(食品消費基準2条1項8号)。つまり、「おいしく食べることができる期限」を指します。英語で「best-before」と訳される通り、その期限を過ぎたらすぐに食べられなくなるということではありません。上記の食品消費基準でも、「当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。」とされています。
かつてはすべての加工食品に製造年月日の表示が義務付けられていましたが、食品によってどの段階を製造年月日とするか曖昧であり、また加工食品を日本に輸出している諸外国からの圧力などもあった影響で、1995年4月には製造年月日ではなく品質を保持する期限を記載することになりました。当初は「品質保持期限」と呼ばれていたようです。
賞味期限は、缶詰やレトルト食品、即席麺、ジュース、スナック菓子など、比較的長期保存が可能な加工食品について表示されています。賞味期限が3ヶ月以内のものは年月日で、3ヶ月を超えるものは年月で表示されます。
消費期限とは?
一方、消費期限とは、「定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日」のことです(食品消費基準2条1項7号)。つまり、「安全に食べられる期限」を指します。逆に言えば、英語で「use-by date」と訳される通り、その期限を過ぎたら食べない方が良い期限です。
消費期限は、精肉や刺身といった食材や、お弁当やサンドイッチ、惣菜、洋生菓子、低温殺菌牛乳といった日配食品など、数日以内に著しい品質低下が認められる食材や食品に記載されています。製造から消費期限までが短いものについては、年月日に加えて時刻まで表示することもあります。コンビニやスーパーのお弁当の消費期限を見ると、時刻まで記載されていることが多いですね。
ちなみに食品以外にも、医薬品や、電池、プリンターのインク、フィルムといった時間の経過により品質が劣化する商品に消費期限が記載されていることがあります。これらの商品に記載される場合は、「消費期限」でなく「使用推奨期限」、「使用期限」といった名称が用いられることもあります。
だれがどうやって決めている?
賞味期限と消費期限は、いずれも厚生労働省が所管する食品衛生法と、農林水産省が所管する「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)によって定められており、厚生労働省と農林水産省では「食品期限表示の設定のためのガイドライン」を作成しています。
このガイドラインは、賞味期限、消費期限の設定について、食品の情報を把握している製造業者等が、微生物試験や理化学試験、官能検査といった科学的な実験結果に基づいて算出された期限に、蓄積された経験や知識に基づいた安全係数をかけて設定するよう求めています。
ただし、賞味期限も消費期限も「表示されている保存方法に従って正しく保存した」場合の期限ですので、保存方法には注意が必要です。パッケージを開封した後の食品は、表示されている期限にかかわらず早めに食べることが望ましいでしょう。
ちなみに、一般的に使われる「常温で保存」の「常温」は、法令によって明確に定義されているわけではありません。デジタル大辞泉(小学館)によれば、「熱したり冷やしたりしない自然な温度」を指すので、おおよそ10度~30度程度を常温と思っておけば間違いないでしょう。
アイスクリームには賞味期限がない?
ところで、「アイスクリームには賞味期限がない」というまことしやかな噂を聞いたことはあるでしょうか。厳密に言えば、アイスクリームには賞味期限がないのではなく、表示を省略できるということになっています。アイスクリームは-18度以下(倉庫の場合は-20度以下)での冷凍保存を前提としており、また、原料の品質基準が乳等省令で厳しく規定されているため、安全で、長期間品質が劣化しにくい食品といえます。そのため、賞味期限を表示する義務が課せられていないのです(アイスクリーム類及び氷菓の表示に関する公正競争規約3条3項)。
アイスクリームだけでなく、砂糖や塩などの調味料や、チューインガム、氷といった長期保存が可能なものについても、賞味期限の記載を省略することができることになっています。
こんな食品もある!驚きの賞味期限
それでは、賞味期限の表示がある食品の中で、最も保存期間の長いものは何でしょうか?缶詰やフリーズドライ食品は概ね3年から5年の賞味期限が設定されていますので、かなり長いと言えますが、さらに長い期間保存できる食品がありました。「サバイバルフーズ」という、25年間の超長期保存が可能なフリーズドライ加工食品とクラッカーの備蓄食です。
このサバイバルフーズ、もともとは、米ソ冷戦時の潜水艦に搭載する軍用食料として開発されたものだそうです。日本に初めて輸入された時期も1978年で、意外と国内にも古くから存在しています。サバイバルフーズの販売を手掛ける会社によれば、現在では日本全国1,000以上の企業や自治体、団体が災害時の非常食として導入しているそうです。
消費期限・賞味期限切れの食品は販売できる?
スーパーなどで「賞味期限切れ商品」が安売りされているのを見かけたことのある方も多いでしょう。「売って大丈夫なのかな?」と思ってしまいますが、実は、賞味期限切れの食品を販売してもそのことだけを理由に罰せられることはありません。
食品衛生法で食品等の販売が禁止されているのは、腐敗、有害物質や病原微生物による汚染、異物の混入といった人の健康を損なうおそれがある食品です(食品衛生法6条各号)。賞味期限、消費期限を過ぎたからといって、その食品が即これらに当てはまるわけではありません。あくまでも「美味しく食べられる期限」である賞味期限に関しては、期限間近の食品を割安で販売しているショッピングサイトもあります。
自分の目・鼻でも確認を!
消費期限・賞味期限は目安としては優れたものですが、すでに述べたように保管状態によって食品の状態は大きく左右されます。期限内に消費することを心がけつつ、食品の見た目・匂いが怪しいと思った場合は無理して食べないようにしましょう。
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