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フレックスタイム制とは?フレックスタイムのメリットとデメリット18選

フレックスタイム制とは?フレックスタイムのメリットとデメリット

フレックスタイムは、仕事とプライベートの両立が図れることを目的として1988年(昭和63年)から導入された制度です。

特にITやマスコミ、広告などの業界を中心にフレックスタイム制を導入する企業が多く見られましたが、近年は廃止する企業が増えてきています。実際にフレックスタイム制を導入している企業は1998年(平成10年)をピークに年々減少傾向にあります。また、大企業でも一時は3社に1社が導入していましたが、今では5社に1社程度までに導入割合は減少しています。

しかし、転職サイトなどを見ていると今でもフレックスタイムと記載された求人をみる機会も多くあり、うまく使えば社員はもちろん会社にも大きなメリットがあります。
ここでフレックスタイム制とはどういったモノなのか加えて、フレックスタイム制のメリット、そしてデメリットについてご紹介していきます。

フレックスタイム制とは

フレックスタイム制とは簡単に言えば出社時間や退社する時間を労働者自らが自由に決めることができる制度のことです。
これまでの勤務形態では会社に所属している労働者は始業時間と終業時間を会社から決められていました。そのため、決められた始業時間に合わせて出社し、終業時間までは勤務をしなければなりませんでした。
しかしフレックスタイム制は労働者がそうした勤務時間を自由に決めることができますので、昨日は「8時出社」今日は「11時出社」と言ったことや今日は「5時退勤」明日は「7時退勤」と言ったことが可能になります。

コアタイムとフレキシブルタイム

フレックスタイム制にはコアタイムとフレキシブルタイムと呼ばれる2つの時間帯が存在します。

コアタイムとはその時間帯の勤務が義務付けられている時間帯のことです。つまりコアタイムと定められている時間帯は勤務していなければなりません。
一方、フレキシブルタイムとはコアタイムの反対で勤務を自由に決められる時間帯のことです。

ただし、コアタイムの設定は義務ではありません。詳しくはこの後のメリットでも紹介しますが、コアタイムがなく全ての時間をフレキシブルタイムとした完全フレックスタイム制であれば、完全に好きな時間に出社することも退社することも可能となります。

1日の労働時間も自由に決めることができる

フレックスタイム制は単に始業時間や終業時間を自由に決められるだけでなく、1日の労働時間も労働者が自由に決めることができます。
労働基準法で基本的に1日の労働時間を8時間、1週間の労働時間を40時間とされています。
一方、フレックスタイム制では「精算期間」と「清算期間における総労働時間」を決めることで、労働者が自ら期間内で労働時間を管理して働くことが可能です。

例えば、精算期間を「1週間」、清算期間における総労働時間を「40時間」と決められている会社で、平日のみの勤務だとした場合には、毎日8時間の勤務を週に5日間行い、総労働時間の40時間を働く人もいれば、月曜と火曜は5時間だけ働き、残りの日は10時間の勤務することで週に40時間働く人もいます。
もちろん、先程紹介したコアタイムがある場合にはその時間は勤務する必要がありますので完全に自由に決められる訳ではありませんが、個人の裁量である程度自由に1日の労働時間を決めることができます。

フレックスタイム制でも残業代は支払われる

フレックスタイム制は自由に出退勤を決められることから残業代が支払われないといった認識をお持ちの方もいるようですが、フレックスタイム制でも週に40時間を超えた労働に対して企業は残業代を支払う義務が発生し、労働者は残業代を受け取れる権利が発生します。

フレックスタイム制のメリット

フレックスタイム制は会社に雇用される労働者にとって多くのメリットがあります。また、労働者だけでなく雇用する会社側にも多くのメリットがあります。
ここでは、労働者はもちろん企業側も含めたフレックスタイム制のメリットについてご説明していきます。

快適な通勤を実現できる

フレックスタイム制によって出社時間を自由に決めることができますので、朝の通勤ラッシュを避けて出社することが可能です。
もちろん、上記で説明したフレキシブルタイム内に限られるため、会社によってはフレックスタイム制であっても完全に回避することができる訳ではありませんが、仮に通勤ラッシュのピークと呼ばれる8時を避けられるだけでも普段より快適に通勤することが可能となります。

また、出勤する時間が自由に決められれば快速や急行などの電車を選択して乗ることもできますので、通勤時間を短縮できる可能性も出てきますのでストレスなく出社し業務を開始することが可能となるなどのメリットもあります。

仕事とプライベートのワークバランスを図りやすくなる

出勤時間や退勤時間を自由に決められることは、単に通勤が楽になるだけでなく、ワークバランスを図りやすくなると言ったメリットもあります。
例えば、勤務時間と営業時間が重なりやすい役所や銀行窓口なども出勤時間を遅らせることで無理なく利用することができます。
また、子育てに必要な保育園や幼稚園などへの送り迎えも出勤時間や退勤時間をうまく調整することで会社に迷惑をかけずに行うことも可能となってきます。

遅刻や欠勤がなくなる

自分で予定していた出勤時間を何時間超えようがフレキシブルタイム内に出社すれば遅刻にはなりません。また、コアタイムを過ぎていれば何時に退社しようが早退になることもありません。そのため予定がある場合はもちろん、「体調が悪い」「気分がのらない」と理由でも自由に出退勤を決めることが可能です。

さらに、先程紹介したコアタイムのない完全フレックスタイム制であれば、精算期間に総労働時間さえ超えていれば問題ありませんので、会社に出社する、出社しないと言ったことも自由に社員が決められるなどのメリットがあります。

帰りやすい

会社によっては上司や先輩が帰らないから帰りにくいといった社風のある会社もあると思いますが、フレックスタイム制によって出社時間や退社時間が違うことが当たり前になれば、意味もなく会社に残ったりする必要もなくなりやすいと言ったメリットもあります。

残業代を削減できる

仕事をしていれば忙しい日もあればそうでない日も必ずと言っていいほどあります。
一般的な勤務時間には、所定の労働時間を超えればその分残業代が発生しますが、フレックスタイム制では別の日に以前の残業分の労働時間を短縮するなど労働時間を日ごとに変更することが可能となりますので残業削減のメリットがあります。

例えば、1日の労働時間が8時間としている会社で1日10時間働ければ2時間の分の残業が発生します。しかしフレックスタイム制であれば、翌日など別の日に6時間、または7時間ずつと2日間分けて労働時間を短縮することも可能です。

そのため会社からすれば残業代を支払う必要がなくなるなどメリットがありますし、従業員側も残業をした次の日はゆっくり出社することができるなどのメリットが生まれます。

必要な時間に業務を集中させ、業務の効率化が図れる

デザイナーやライターと言った職種は労働時間と生産性が必ずしも比例する訳ではありません。また、エンジニアなどもプロジェクトで動くため1日の業務量が一定でありません。
そういった職種は従来の固定された労働時間よりもフレックスタイム制の方が効率的に業務を遂行しやすいと言ったメリットがあります。

離職率の低下や採用力の強化にもつながる

フレックスタイム制は離職率の低下と採用力の強化と言った企業側のメリットも持ち合わせています。

フレックスタイム制によって自由に出社時間と退社時間が決められるようになれば、子育てや親の介護のある方も働きやすくなるため必然的に離職率も低下しやすくなります。
また、これまで子育てや介護などを理由に働けなかった方も働けるようになるため、他の企業では採用できない人材も採用できるようになるため採用力の強化にも繋がります。

特に最近は従業員が働きやすい企業のことは「ホワイト企業」と呼ばれ、ホワイト企業は働きやすい環境があることから新卒・中途問わず多くの求職者から人気があります。
もちろん、フレックスタイム制を導入したからといってホワイト企業と認められる訳ではありませんが、従業員が働きやすい環境を作ることは企業のブランディングにも繋がり人材を採用しやすい環境づくりにも繋がります。

フレックスタイム制のデメリット

冒頭でも記載したようにフレックスタイム制を廃止する企業が増加してきました。もちろん、企業によって理由は様々ですが、このあと紹介するデメリットによって廃止をする企業が多くいます。

フレキシブルタイムは本人の同意なく残業などの業務命令ができない

フレキシブルタイムの時間帯は強制に勤務させることができないと言ったデメリットがあります。
フレックスタイム制におけるフレキシブルタイムは何度も記載しているように社員が自由に出退勤の時間を決められる時間帯です。そのため定例会議はもちろん、緊急ミーティングなどであっても強制することはできません。また、残業などもフレキシブルタイムには強制することができません。

そのため、会社側はそういった会議やミーティングなどはコアタイムの時間帯に行わざるをえなくなるなどのデメリットは発生します。

もちろん、社員に相談をし、本人の同意があればフレキシブルタイムに出社や勤務をさせることは可能です。

時間の調整が難しくなる

上記のデメリットでも紹介したようにフレキシブルタイムの時間帯に勤務を強制することができないことは、会社側だけでなくその会社で働く社員側にもデメリットとなります。
自由に出退勤が決められることで「打ち合わせをしたいのにいつくるか分からない」「至急確認を取りたいのにすでに退社している」など問題が起きることもあります。

もちろんコアタイム内に確認すべきことですが、コアタイムは従来の固定された労働時間よりも短いためにやりにくくなることは確かです。

生産性やサービスの低下につながる可能性がある

フレックスタイム制によって担当者と取引先の営業時間にズレが生じるようになるとサービスの低下につながる可能性があります。

例えば、顧客が朝一に電話しても出社しているとは限りませんし、夕方に電話してもすでに退社後と言ったこともあります。
また、前日と同じ時間に電話してもいないことが出てきます。
そういったことが続けば「対応が悪い」と感じてしまう顧客も少なくありませんので、新規取引の機会を逃したり、得意先が離れてしまうことにもつながりかねません。
もちろん、必ずしもそういったことが起きるとは限りませんが可能性がある以上デメリットとして存在します。

社内の部門ごとに摩擦が発生することも

フレックスタイム制は部署ごとなど対象となる社員を限定して導入することが可能です。
また、特定の社員が集まることではじめて動かすことができる工場の生産ラインや店舗などで働く社員に対してフレックスタイム制の導入は向きません。
そのためフレックスタイム制が導入されたからといって社員全員がフレックスタイム制になるとは限りません。

実際にフレックスタイム制を活かせる部署のみに絞って導入する企業が多くありますが、対象者とならかった部署の社員からしてみると不公平感を抱きやすいと言ったデメリットがあります。

社員一人ひとりの自己管理が必要になる

フレックスタイム制は労働裁量を社員に委ねることになりますので、社員一人ひとりの自己管理が大切になってきます。
しかし中には自己管理ができない社員がいることもあり、「時間にだらしなくなってしまう」などのデメリットとなることもあります。
もちろん、全ての社員がそういったことになる訳ではありませんが、自己管理ができなれければ、遅刻などだけでなく業績の低下と言ったことにもなりかねません。

労使協定を締結する必要がある

フレックスタイム制には様々なメリットがありますが、簡単に導入できる訳ではありません。労使協定に「清算期間」や「清算期間における総労働時間」などを定める必要があるだけでなく、導入前には労働者の代表と会社との間で合意する必要もあります。

そのため、企業側はフレックスタイム制を導入するために手間や費用などをかける必要があります。

残業代が減る

生産性が同じで残業代を減らすことができれば会社側には大きなメリットとなりますが、社員側は大きな収入減となりかねません。もちろん、収入を減らしてでも労働時間を減らしたいという方もいるとは思いますが、残業代を含めて家計設計を考えている人には大きなデメリットとなります。

光熱費などの費用が高くなりやすい

フレックスタイム制によって会社の労働時間帯は長くなりますので光熱費などが今までよりも高くなる傾向にあります。
仮に朝早く出社する社員が1人、遅くまで残る社員が1人しかいなくともその分の光熱費はかかってきますので、大きなフロアを借りている会社や社員の多い会社には大きなデメリットとなってしまう可能性が出てきます。