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退職代行サービスとは?メリット・デメリット9選
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社会人にとって、「会社を辞める」というのはただでさえ一大事ですが、最近はさまざまな事情から、退職をめぐる状況はさらに厳しさを増しています。一方、そうした状況の中で注目を集めているサービスに、「退職代行」と呼ばれるものがあります。ニュースなどで聞く機会も増えていますが、まだまだ詳しいことについてはよく知らないという人も多いでしょう。
そこで本記事では、「退職代行」の主な業務内容や、利用に関するメリット・デメリットの両面について、わかりやすく解説していきたいと思います。
退職代行サービスとは
「退職代行」とは、文字通り、退職の意思を本人に代わって会社に伝えてくれるというサービスのことです。従来は自分で行うのが常識と思われていた退職の意思伝達や手続きを、業者や弁護士などの他人に任せられる点が特徴となっています。
2017年ごろから話題に成り始めたサービスですが、こうしたサービスが登場したのは、「退職のハードルが高い」と感じる人が増えたことに原因があります。
たとえば、「高圧的な上司が恐ろしくて言い出せない」「執拗に引き留められる」「引継ぎ完了まで辞めさせてくれない」といった不満を訴えるケースが、近年急激に増えました。この背景には、深刻な人手不足などが関係していますが、「退職代行サービス」を利用すればこうしたわずらわしさから逃れられるとして、現在急激に需要が高まっています。
メリット・デメリット
「退職代行サービス」は上記のように、現在需要が高まっています。それは多くのメリットがあるからですが、もちろん良い点ばかりではなく、デメリットもあります。
以下の項目では、「退職代行」の持つメリット・デメリットの双方について、それぞれいくつか紹介していきましょう。
メリット
心理的な負担の軽減
「退職代行」のメリット、まず1つ目は、「心理的な負担が減る」ということです。
「退職」という行為は、こちらにどれだけ正当性があっても、切り出すのは億劫なものです。特に日本人は、「他人に迷惑をかけたくない」という律儀で真面目な性格の人が多いので、自分から「辞めます」と言い出しづらいケースが多くなっています。
一方、「退職代行」では専門家が代わって会社と交渉してくれますから、心理的な負い目をそれほど感じることがありません。繊細な人にとっては、非常に便利なサービスと言えるでしょう。
退職後のトラブルを気にしなくて良い
退職を阻止しようとする会社の中には、「損害賠償の可能性」をちらつかせるケースがあります。自分1人の場合は、これに対する恐れや不安も大きいでしょうが、「退職代行」に頼めば、そうした心配から解放されるというメリットがあります。
「退職代行」では弁護士と提携している業者も多いので、退職後法的なトラブルに発展するリスクにも、適切に対応してもらえます。そもそも労働基準法では、労働契約の不履行について違約金などを求めてはならないと規定しているので、こうした脅し自体意味はありません。
すぐに退職可能
「すぐに辞められる」ということも、「退職代行」のメリットの1つです。
上でも述べたように、退職の意思を伝えても、引継ぎなどを理由にずるずると引き留められるといったケースはよくあります。しかし、「退職代行」に頼めば、こうした強引な引き留めに会わずに済みます。相談から打ち合わせを経て、費用の振込が完了すればすぐに対応してもらえるので、余計な日にちをかける必要がありません。
退職手続きも素早く完了し、法的な解約成立の期間である2週間がたてば、正式に自由の身になれます。
100%退職できる
「理由を問わず必ず退職できる」という点も、「退職代行」を利用する大きなメリットになります。
辞める側とすると、上記のようにいくらやむを得ない事情でも、多少のうしろめたさを感じる部分もあります。個人的な都合ならなおさらですが、会社側はその点を突いて引き留めようとするのが常套手段です。
一方、「退職代行」を使えば、理由の如何を問わずに退職の手続きだけを進めてもらえます。法律でも、「期間の定めのない雇用契約では、当事者はいつでも解約の申し入れが可能」と定めているので、雇用主側が理由を盾に退職を引き留めることはできません。
上司と会わずに済む
「退職代行」のメリット、最後に挙げるのは、「上司と直接顔を合わせなくて済む」ということです。
上でも触れましたが、日頃高圧的な上司に恐怖や嫌悪感を抱いているという人は、大勢います。そうした人間と直接会って、退職の交渉をするのはかなりのプレッシャーですが、「退職代行」を利用することで、これを避けることができます。上記のように、振込さえ終われば即日でも動いてもらえるので、その日から関係を断つことも可能です。恐怖や精神的なストレスから解放されるというのは、かなり大きなメリットでしょう。
デメリット
費用が必要
ここからはデメリットですが、まずは「費用がかかる」という点が挙げられるでしょう。「退職代行」は営利目的のサービスなので、利用には当然手数料などの料金が必要になります。
具体的な額は、サービス内容や業者によって異なりますが、大体3万円~5万円というのが相場のようです。これを高いと見るか妥当と見るかは人それぞれでしょうが、1人で動けばコストは0円であることを考えると、やはり小さくない難点だと言えるでしょう。また、残業代請求などの交渉も一緒に依頼する場合は、別途費用が必要になります。
「退職癖」がついてしまう危険も
「退職代行」を利用するデメリット、2点目は、「退職癖がつくリスクがある」ということです。
すでに述べたように、退職には心理的な圧迫が伴いますが、これは安易な退職を防ぐストッパーの役割も果たしています。しかし、「退職代行」を使えばそうした圧迫感は感じずに済む一方で、「簡単に辞められる」という意識が芽生えてしまう可能性も強めます。その結果、何か気に入らないことがあると、ちょっとしたことでも「退職代行」を使って辞めてしまうという無責任さが身に付くおそれもあります。
悪質な業者に関わるおそれも
「退職代行サービス」は、良心的な業者ばかりとは限りません。中には悪質な業者も存在しますが、そうした業者に関わってしまうリスクも、デメリットとして押さえておくべきでしょう。
「退職代行」の利用でよくあるトラブルが、「入金後に連絡が途絶える」「法外な追加料金を請求される」「勤務先に嘘の退職理由を言う」といったものです。また、中には弁護士資格を持たないのに、報酬をもらって残業代請求などの法律業務を請け負う業者も存在します。
こうしたことを避けるには、事前に会社の情報を確認したり、問い合わせの際の対応をチェックするといった防御策が必要になります。
人間関係の悪化
「退職代行」を使うと、元の職場での人間関係は、壊滅的なダメージを受けると考えた方が良いでしょう。
「退職代行」を利用する際は、本人は姿を現わさず、急に辞めてしまうというケースがほとんどです。当然、上司や同僚などへ挨拶して、理解を得る機会もありません。そちら側の人たちとしてみれば、一方的に関係を遮断された形で、不愉快に思って当然でしょう。
ですから、もし退職後も上司や同僚との関係を維持したいと考えるのならば、こうしたデメリットを踏まえて、「退職代行」の利用は思いとどまるのが無難です。
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