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SDGs

フードシェアリングとは?フードシェアリングサービス8選

フードシェアリングとは?フードシェアリングサービス8選

近年は地球規模の課題がいろいろ懸念されていますが、「食」に関する問題も、その主要なものの1つです。食料をどう有効に配分するかが大きなテーマとなっている昨今、その効果的な解決法と目されているのが「フードシェアリング」と呼ばれる取り組みですが、まだまだこれについて良く知らないという人も多いでしょう。

そこで本記事では、近年話題になっている「フードシェアリング」の意味や種類、メリットを解説するとともに、具体的なサービスの一覧も紹介していきたいと思います。

フードシェアリングとは?注目されている理由とは?

フードシェアリングとは?

「フードシェアリング(サービス)」とは、「売れ残りなどを防ぎたい小売店・飲食店や生産者と、食べものを求める人や団体を、スマートフォンのアプリ等を通じてマッチングするサービス」という意味の言葉です。
お店や生産者が、そのままだと廃棄されそうな商品の情報を発信し、それを見たユーザーがアプリやECサイトを通じて購入するという仕組みになります。

このサービスの最大の特徴は、まだ飲食可能なのにもかかわらず、そのままだと廃棄される確率の高い調理品や食料を、安く提供・入手できる点にあります。食料が有効に行き渡るようにして、無駄な廃棄をなくすという、文字通り、「フード(食料)」を「シェアリング(共有)」するサービスになります。

2015年ごろから欧州を中心として広まり始めたサービスで、国や地域によってはすでにかなり浸透しているケースもあります。日本でも、コロナ禍などをきっかけに急成長を遂げつつあります。

フードシェアリングが注目されている理由

フードシェアリングは、上記のように近年国内外で高い注目を集めていますが、その背景にあるのが、「フードロス(食品ロス)」の問題です。
「フードロス」とは、文字通り「食品の損失」を意味する言葉で、まだ食べられるのに捨てられてしまう食料の発生を指します。このフードロスは、先進国で大量に発生している一方で、世界には十分な食べものが得られない飢餓状態にある国や地域が数多く存在しています。

人口増加や環境破壊が深刻化する中、この問題に対する世界的な危惧は高まり続けており、「SDGs」の目標においても、フードロスの減少がターゲットとして設定されています。「フードシェアリング」は、このような問題への取り組みの一環として登場したサービスということになります。

フードシェアリングの種類

フードシェアリングの大まかな仕組みは、上記のように売れ残るなどして廃棄されそうな食品を、アプリなどのプラットフォームを通じて個人消費者や団体とマッチングさせるというものです。ただ、その詳しい内容については、提供者と受容者の性質などに応じていくつかの種類に分けられます。
それらの細かい種類も気になるところですが、以下の項目では、日本で展開されているフードシェアリングの代表的なマッチングパターンをいくつか紹介していきましょう。

飲食店・小売店から一般消費者へ

フードシェアリングの種類、まず1つ目は、飲食店や小売店と一般消費者をマッチングするタイプです。こちらの種類は、次のような仕組みとなっています。
まず、店側がメニューや商品の中で廃棄につながりそうなものをアプリ等に掲載、それを見たユーザーが、食べたい品を選んで購入の手続きをします。購入者は約束の時間に店舗へ赴き、そこで希望の商品を受け取るという流れです。支払方法については、事前決済のものと、現地で直接支払うものとがあります。

地域の生産者・食品メーカーから一般消費者へ

フードシェアリングの種類、2つ目に紹介するのは、地域の生産者、食品メーカーから一般消費者へ提供するタイプのものです。こちらの種類のサービスは、主にECサイトを通じて行われます。
具体的な仕組みとしては、まず生産者やメーカーなどの業者が、規格外の野菜や肉、賞味期限切れの近い食品などを、ECサイト上で販売します。一般消費者は、サイトを通じてそれらの品を購入、買った食べものが直接購入者の元へ送られるという流れです。

地域の生産者・食品メーカーから食品メーカー・飲食店へ

フードシェアリングの種類、3つ目は、地域の生産者・食品メーカーから、食品メーカー・飲食店へ提供するタイプのものです。こちらの種類もまた、ECサイトを使って行われるサービスになります。
上記の場合と同様に、規格外の野菜や肉、賞味期限の近い食品などを、業者がECサイト上で販売します。ただし、こちらの購入者は、消費者ではなく食品メーカーや飲食店で、購入した食べものは、メーカーの商品やお店のメニューの材料として使われることになります。

飲食店・小売店からフードバンク等の団体へ

フードシェアリングの種類、4つ目に挙げるのは、飲食店・小売店からフードバンク等の団体へ提供するタイプです。
フードバンクとは、寄付などによって得た食品を生活に困窮する人々へ配給する活動を行う団体で、こちらの種類は飲食店や小売店が廃棄の危機にある食品を、フードバンクの運営団体へ提供する仕組みとなっています。日本ではまだあまり見られないタイプですが、最近では1つ目のようにアプリを通じて行うサービスも登場しています。

地域の生産者・食品メーカーからフードバンク等の団体へ

フードシェアリングの種類、最後に挙げるのは、地域の生産者・食品メーカーからフードバンク等の団体へ提供するタイプです。
基本的な仕組みは前述のものと同様で、外装不備や規格外といった理由から売りづらくなった商品を、業者がフードバンクの運営団体へ提供するというサービスになります。日本ではフードバンクの活動自体あまり知られていないこともあり、上記のタイプと同様まだまだ珍しい種類ですが、最近はECサイトを通じた提供を行うサービスも登場しています。

フードシェアリングのメリット

ここまでフードシェアリングの意味や種類について見てきましたが、そもそもこの取り組みには、どのような利点があるのでしょうか。
以下の項目では、フードシェアリングのもたらすメリットについて、主なものをいくつか紹介していきましょう。

フードロス削減による環境負荷の軽減

フードシェアリングのメリット、1つ目に挙げるのは、「フードロスの削減とそれによる環境負荷の軽減」です。
前述のように、現在フードロスは世界的に大きな課題として取り上げられることが多くなっていますが、この解決に取り組むことは、飢餓問題だけでなく、環境問題の解消にも大きなメリットをもたらします。廃棄された食品の処理には、膨大な量のエネルギーや資源が使われるからです。つまり、フードシェアリングで食べものの無駄を無くすことは、地球環境の負荷を取り除くことにつながると言えます。

認知度とイメージの向上

フードシェアリングへの参加は、事業者にとってもメリットを生みます。
1つは、「認知度の向上」です。上記のように、フードシェアリングサービスではアプリ等を通じ不特定多数のユーザーとつながるので、店の認知度を高めることができます。今までお店を訪れなかったような人にも存在をアピールでき、新たな顧客獲得のチャンスが広がります。
さらに、積極的に社会貢献しているということで、世間的なイメージがアップするというメリットもあります。

売り上げの向上

フードシェアリングへの参加は、事業者にとって「売り上げが向上する」というメリットも生みます。
フードロスの問題は、経済的な部分にも大きく関わっています。生産や流通にかかった費用が、すべて無駄になるからです。特に飲食店にとっては、材料費や廃棄のためのコストの負担は、決して軽くありません。しかし、フードシェアリングでこうした無駄の発生を抑えることができれば、その分コストが下がり、売り上げは伸びるというメリットがあるわけです。

食品・食材を安く入手できる

こちらは消費者側から見たメリットですが、「食品や食材を安く手に入れられる」という点も特徴です。
すでに何度も述べているように、フードシェアリングは廃棄を防ぐための取り組みです。そのままでは捨てられる食べものを、なるべく売り切ることが目的なので、値段は通常より安く設定されます。捨てれば利益はゼロですから、値下げしても売れればOKという考えです。つまり、消費者としてはいつもより安い値段でおいしい料理や食材が手に入れられるということで、これはかなり魅力的なメリットと言えるでしょう。

フードシェアリングサービス一覧

TABETE(タベテ)

TABETE(タベテ)

https://tabete.me/

ここからはフードシェアリングサービス一覧を見ていきますが、まず最初に紹介するのは、「株式会社コークッキング」が運営するアプリ「TABETE(タベテ)」です。

「TABETE」は、ユーザーが近所でレスキューを求めている店を検索、食べたい品を見つけたら、引き取り時間を設定した上で購入します。決済もその場で行い、カード登録もできます。あとは、指定の時間にお店に行き、アプリの取引画面を見せて食事を受け取れば完了です。商品はすべて、680円以下で提供されています。

tabeloop(たべるーぷ)

tabeloop(たべるーぷ)

https://tabeloop.me/

続いて紹介するフードシェアリングサービスは、「tabeloop(たべるーぷ)」です。

こちらは、「バリュードライバーズ株式会社」が運営するフードロス削減プラットフォームで、規格外の野菜などを売りたい人と、食べものを安く買いたい人をつなぐサービスを提供しています。売り手・買い手ともに会員制のクローズドマーケットで、安心して利用できる点が特徴となっています。初期費用や月額料金、月会費は無用で、パソコンやスマホから簡単に出品・購入が可能です。

KURADASHI(クラダシ)

KURADASHI(クラダシ)

https://www.kuradashi.jp/

フードシェアリングサービス一覧、3つ目に紹介するのは、「株式会社クラダシ」が運営する「KURADASHI(クラダシ)」です。

こちらは日本初の社会貢献型ショッピングサイトとして、賛同メーカーから協賛価格で提供された商品を最大97%オフの価格で販売、売上の一部を社会貢献活動団体へ寄付するという活動を行っています。購入者にとってはもちろん、食品を提供する会社にとっても、廃棄のためのコストがカットできたり、商品に新しい価値を与えられるなどのメリットがあります。

Otameshi(オタメシ)

Otameshi(オタメシ)

https://www.otame4.jp/

4つ目に紹介するフードシェアリングサービスは、「株式会社 SynaBiz」が運営する「Otameshi(オタメシ)」です。SynaBizは、インターネット卸・仕入れモールなどの事業を展開する会社ですが、こちらは社会貢献型のショッピングサイトとなっています。

扱っている商品は、旧パッケージ品や賞味期限の近い商品などで、カゴメやUCCといった有名ブランドの食品などが、通常の半額以下の値段で販売されています。売り上げの一部は、NPOに寄付される仕組みとなっています。

No Food Loss

No Food Loss

https://www.nofoodloss.com/

続いてのフードシェアリングサービスの事例は、クーポンアプリの「No Food Loss」です。運営は、「みなとく株式会社」が行っています。

こちらの仕組みは、コンビニなどの加盟店が廃棄間近の商品をクーポンとして発行、ユーザーは、アプリに表示された商品をお得な値段で購入できるというものです。事業者側としては低コストで食品廃棄を回避でき、ユーザー側としては、レジでクーポンを見せるだけで簡単に購入が可能というメリットがあります。また、こちらのサービスは、開発途上国への学校給食支援の形での寄付も行っています。

tabekifu(タベキフ)

tabekifu(タベキフ)

https://tabekifu.co.jp/

フードシェアリングサービス一覧、次に紹介するのは、「tabekifu(タベキフ)」です。こちらは、「株式会社tabekifu」が運営する食品ロス解消・社会貢献グルメアプリになります。

飲食店や食べ物販売店で発生しがちな、キャンセル・仕込みすぎなどで余った料理や食品を、アプリを通じてユーザーにお得に提供するというサービスになっています。購入代金の一部は寄付に回される仕組みで、さらに掲載可能な通常メニューの注文についても、代金の一部は寄付されるようになっています。

フリフル

フリフル

https://furifuru.com/

「フリフル」は、「株式会社Day 1」が運営するフードシェアリングサービスです。

抽選で無料のフルーツや野菜が届けられるというサービスで、サイト名の「フリフル」は、「Free Fruit(無料の果物)」を略したものになります。また、規格外農産物および規格外農産物使用加工製品を、サイトを通じて生産者から直接購入することもできます。もちろん、値段は格安に抑えられたものです。さらに同サービスでは、保育園や高校へのレシピ提供といった食育活動にも力を注いでいます。

+PLUS FOOD(プラスフード)

+PLUS FOOD(プラスフード)

https://plus-food.jp/

フードシェアリングサービス一覧、最後に紹介するのは、「+PLUS FOOD(プラスフード)」です。こちらは、「竹栄株式会社」が運営する札幌市内の地域特化型フードシェアリングサービスになります。

ユーザーは月額料金を支払うことで、やむを得ない事情で廃棄されそうな食材を無料で受け取ることができます。利用料金の一部は、市役所の子ども未来局に寄付される仕組みなので、市のフードロス削減とともに、地域の子供支援にも貢献することができます。

フードシェアリングとは?フードシェアリングサービス8選

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