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全4タイプ!人手不足倒産の意味とは?日本で急増している理由や対策も
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人手不足倒産の意味とは?日本で人手不足倒産が急増している理由や対策について
人手不足倒産とは言葉の通り人手が不足することで会社が倒産することを意味する言葉です。現在でも運輸業や医療・福祉関連・建設業などを中心に人手不足が深刻化しており人手不足により倒産している企業も少なくはありません。ただし、単に人手不足と言っても後継者不足や採用難など様々な理由があるため、一様ではありません。
ここでは人手不足倒産の意味にくわえて、4タイプの人手不足倒産と発生する原因、さらには人手不足への主な対策方法についてもご紹介していきます。
人手不足倒産の意味とは
冒頭でも触れたように人手不足倒産とは人手不足が原因で会社が倒産することを意味する言葉です。
例えば、レストランで席数や店舗面積、提供するサービスなどから必要な従業員数に不足が発生すれば、営業を続けていくことが困難となります。資金が豊富にある会社であれば別店舗への移転が可能でしょうが、そうでない会社であれば倒産してしまいます。
そのため、正社員はもちろん、アルバイトやパートなどの非正規社員なども含め人手が足りなくなることで発生します。
また、会社に雇われる労働者だけでなく、会社を経営する経営者の不足によっても発生することもあります。
出典:東京商工リサーチ
上記の図のように2013年以降はおおむね右肩上がりを推移しており2018年(平成30年)には全国で人手不足を理由に倒産した企業は387件に達したと言った結果が出ています。
また、詳しくは後述しますが、労働者人口の減少や少子高齢化などにより日本はさらに人手不足が深刻化すると懸念されており人手不足による倒産件数は今後も増え続けていくと予想されます。
4タイプの人手不足倒産
人手不足倒産には「後継者難型」「従業員退職型」「求人難型」「人件費高騰型」の4つのタイプがあります。
経営者不在による後継者難型
後継者難型による人手不足倒産とは経営者が死亡したり、入院することで会社の経営に携わる経営陣が不足するタイプの倒産です。
また、高齢により引退せざるを得ないにも関わらず後継者がいないことで会社をたたむことも含まれます。
従業員退職型
従業員退職型とは言葉の通り従業員が退職することで人手不足が発生するタイプの倒産です。定年退職などはもちろんのこと、労働環境の未整備による労働者の流出などがありますが、従業員が退職し減ったことが理由でこれまの事業が継続できなくなったり、仕事を請け負うことが困難になり倒産するケースです。
採用難型
人手不足解消のために求人を行なうものの人が集まらずに倒産するのが採用難型です。
多くの企業で人手不足が起きれば求人倍率が増えるためこれまでのように募集をしても人が集まりにくくなります。
特に人気のない業種では上記の従業員退職型と相まって人手が足りなくなり事業の継続が困難になると言ったケースも存在しているようです。
人件費高騰型
人件費が高くなることで収益が悪化し倒産するのが人件費高騰型です。
商品やサービスの価格が需要と供給のバランスによって決まるように、人件費も「採用したい・人材が欲しい」と企業の需要に対して「雇ってほしい」と言った供給量が少なければ価格、つまりは人件費が高騰します。
しかし、採用がうまく言ったとしても人件費の高騰は収益を悪化させてしまう可能性があり、それにより倒産すると言ったケースがあります。
日本で人手不足倒産が増加している理由
日本で人手不足が発生している原因には様々な理由があると言われていますが、その中でも労働者人口減少が主な原因と言われています。
世界の人口は年々増加しているにも関わらず、日本は2008年(平成20年)の約1億2800万人をピークに減少しています。また、日本は少子高齢化が進み働くことのできる労働人口が減少しています。
そのため、上記でも触れたように働ける人の数が年々減少していることにより人手不足倒産が発生していると言われています。
人手不足倒産への対策
人手不足倒産を防ぐ対策には様々な方法がありますが、一般的に言われている主な4つの方法をご紹介していきます。
賃金や福利厚生以外の労働環境の改善
対策の1つとして賃金アップや福利厚生の充実と言った方法がありますが、他にも労働環境の改善と言った方法があります。
もちろん、賃金アップや福利厚生の充実と言った方法も新しい人材を確保したり、既存の従業員の離職率を下げる方法として有効ですが「4タイプの人手不足倒産」でも触れたように人件費等の高騰を招きやすくなります。
一方、サービス残業の廃止や有給休暇の取得率アップと言った賃金や福利厚生以外の労働環境を改善することでも人手不足の対策することができます。
他にもパワハラやセクハラと言ったハラスメントの防止や、研修などの教育制度を充実させることも対策の1つです。
ITシステムの活用
これまで人の手によって行われてきた業務をITシステムなどを導入することで必要な人員を減らすことができますので人手不足倒産対策として有効となります。
すでにウェブ会議システムを導入することで拠点のある地域から遠く離れた地方の労働者を雇用することに成功している企業も存在しています。
また、製品の生産や検査などもシステムやロボットに行わせることで労働者を雇用する必要が少なくなります。こちらもAIなどを活用し店員のいない無人コンビニが登場しているように、これまで人が行っていた作業をAIなどに行わせることで必要な人員を減らすことが可能ですので人手不足倒産を防ぐための対策の1つとなっています。
女性労働者の雇用
一昔前から女性の社会進出が叫ばれ、現在は昔より女性の就業がしやすい環境が日本でも整いつつあります。
しかし、女性の就業率は2001年(平成13年)の57%から2016年(平成28年)には66%と上昇しているものの男性の82.5%と言った就業率には遠く及んでいません。
産休や育休はもちろんのこと、時短勤務なども含めて女性が働きやすい・働ける環境を作ることで人手不足倒産の対策となります。
高齢者の雇用
総務省の調べでは2014年(平成26年)まで高齢者(65歳以上)の就業率は11年増加しており681万人と過去最多を記録しました。しかし男性の60歳から64歳の就業率が74.3%であるのに対して65歳から69歳の就業率は50.5%と大きく減少しています。女性も同様に60歳から64歳の就業率が47.6%であるのに対して65歳から69歳までの就業率は30.5%と大きく下回っています。
そのため、上記で紹介した女性の雇用と同様に高齢者の雇用も人手不足倒産の対策となります。
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