社会人のためのビジネス情報マガジン

  • フェイスブック
  • ツイッター
  • RSS

イジメ・嫌がらせ

ワクチン接種の様々なトラブルに弁護士がお答えします!

ワクチン接種の様々なトラブルに弁護士がお答えします!

監修者

弁護士:村岡つばさ(よつば総合法律事務所千葉事務所)

よつば総合法律事務所千葉事務所

弁護士 村岡つばさ

よつば総合法律事務所の弁護士の村岡と申します。日常生活や会社を運営する中で気になる法律の問題を分かりやすく解説します。

ワクチン接種の様々なトラブルに弁護士がお答えします!

はじめに

私は、会社側の立場で労働問題を多く扱っている弁護士です。
これまでは、「コロナウイルスによる業績悪化で、従業員を休ませることができるか?」「感染者が社内で出てしまった場合の対応は?」など、新型コロナウイルスそのものに関する相談が多かったのですが、ここ最近は、ワクチン接種を巡るトラブルのご相談を受けることが非常に多くなりました。

今回は、ワクチン接種について、良くある3つの相談例をピックアップしてみました。
会社側の立場ではなく、労働者側の立場から、お話をさせていただきます。

そもそもワクチンって打たなきゃいけないの?

ワクチンの有効性が広く報道される一方で、強い副反応についても報道されており、ワクチン接種に不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

「そもそもワクチンって打たなきゃいけないの?」という質問への答えは、「NO」、つまり、打たなくても良いという回答になります。
現在の政府の方針も、法律(「予防接種法」という法律が適用されます)も、接種を「推奨」してはいますが、接種自体を「義務付ける」ものではありません。私たち1人1人が、ワクチンを接種するかを自由に決定することができます。そのため、ワクチンを打たないこと自体、何ら問題はありません。

ただ、現状は「推奨」にとどまっていますが、今後、政府の方針が変わり、ワクチン接種が「義務」に近くなる可能性は十分に考えられます。現に、飲食店や公共交通機関の利用の際に、「ワクチン接種証明書」の提示を義務付けている国も増えてきています。仮にこのような状況になれば、ワクチン接種は限りなく「義務」に近いものとなるでしょう。

ワクチンを打たなきゃクビと言われたんだけど…

典型的な「ワクチンハラスメント」の一種です。

ワクチンハラスメントとは、明確な法律上の定義は存在しないものの、「新型コロナウイルスのワクチン接種を強要したり、ワクチンを接種していない人に対して差別的な取り扱いや、不利益を与えること」を意味します。「ワクチンを打たなきゃクビ」という発言は、まさにこれに該当します。
※ワクチンハラスメントについては、詳しい解説記事を書きましたので、こちら(「ワクチンハラスメント」とは?パワーハラスメントとの違いは?)もご参照ください。

上で見た通り、そもそもワクチンを打つかどうかは個人の自由であり、ワクチン接種は義務ではありません。そのため、企業においても、ワクチンを接種することを義務づけることはできませんし、ワクチンを接種しない従業員をクビ(解雇)にすることもできません。解雇はおろか、何かしらのペナルティーを科すことも許されないのです。実際にクビにするかはさておいたとしても、このような発言自体、許されるものではありません。

仮にこの質問のように、「ワクチンを打たなきゃクビ」と言われたら、近くの弁護士に相談されることをお勧めします。

なお、あくまでも報道レベルですが、フランスでは、医療従事者や高齢者施設などの職員にワクチン接種を義務化するとの方針が示され、ワクチン接種をしていない医療従事者は、勤務に従事できず、また給与も支給されないそうです。また、アメリカの大手テレビ局であるCNNが、ワクチンを未接種のまま出社したとして、従業員3名を解雇した、という報道もありました。
このように、政府の方針が今後変わり、ワクチン接種が「義務」となれば、ワクチンを接種していないことを理由とする解雇も有効になる可能性があるため、少し注意が必要です。

副反応が出てしまい、会社に出勤できない場合は?

これは、労働者側の事情による休業となるため、会社に賃金を求めることはできません。
通常の病気・体調不良と同様に扱われることとなります。
有給休暇がある場合には、これを使うことが可能であるため、実際には、有給休暇を利用する方が多い印象です。

ただし、副反応が長期化し、欠勤が4日以上になった場合には、一定額の「傷病手当金」を受給できる可能性もあります。最初の3日間は支給されないことや、手続の煩雑さもあるので、あまり活用されていないのが実情ですが、副反応が長引き、出勤できない状態が続く場合には、傷病手当金の受給も検討しても良いかもしれません。

ワクチン接種の様々なトラブルに弁護士がお答えします!

この記事が気に入ったら いいね!しよう

最新の情報をお届けします