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「僭越ですが」「僭越ながら」の意味とは?スピーチやメールでの例文
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スピーチや挨拶の際よく使われる言葉に、「僭越ですが」「僭越ながら」というものがありますが、これらの意味についてきちんとわきまえているという人は、意外に少ないかもしれません。場合によっては、意味があやふやなまま何となく使っている人もいるでしょうが、やはり社会人としては、正しい意味や使い方を知っておきたいところです。
本記事では、「僭越ですが」「僭越ながら」の意味と使い方を例文付きで解説すると共に、類語についても紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
「僭越ですが」「僭越ながら」の意味とは
「僭越(せんえつ)」とは、「地位や立場をわきまえず、出過ぎた真似をすること」といった意味の言葉です。もっと簡単に言えば、「でしゃばった態度」を表します。「僭」の字は「臣下の分限を越えて君主のようにふるまう」などの意味を持ち、「僭する(思いあがって身分不相応なことをする)」「僭称(身分を越えて勝手に称号をとなえること)」のように使われます。
つまり、「僭越ながら」「僭越ですが」という言い方は、「出過ぎた真似をして申し訳ありませんが」といった意味を表していることになり、他人の前で何かをする時、自分の行動をへりくだって言う言葉になります。基本的に自分より目上の人に対して使う言葉なので、ビジネスシーンで部下や同僚などに対して使うのは不自然です。使い方次第で嫌味な印象を与えてしまうので、その点はよく踏まえておきましょう。
例文
ここからは、「僭越ですが」「僭越ながら」の具体的な使い方について見ていきましょう。スピーチやビジネスシーンなど、ケース別の使い方についてそれぞれ例文を挙げて見ました。なお、「僭越ではございますが」という表現もよくされますので、そちらの例文も挙げておきます。
司会役の挨拶
会議や懇親会、保護者会などで、司会や議長といった大役を任される場面もあるでしょう。参加者の中に、立場や身分が上の人が混じっていれば、「僭越ながら」と謙遜しておくのは決して不自然ではありません。ただ、自分の立場がもっとも上の場合や、いつもその役を任されているという場合は、使用しない方が自然です。それでは、司会役の挨拶における「僭越」の使い方を、以下の例文で見ていきましょう。
例文①:「本日はご多忙の中、お集まりいただきありがとうございます。僭越ながら、本日の司会を務めます○○と申します」
例文②:「みなさま、本日はお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。僭越ながら、本日司会進行を務めさせていただきます、○○と申します」
例文③:「僭越ではございますが、本日の会議はわたくし○○が議長を務めさせていただきます」
乾杯のスピーチ
続いての例は、「乾杯のスピーチ」における「僭越ながら」の使い方です。結婚式の乾杯挨拶を頼まれたり、上司に変わって急に乾杯の音頭を取らされるというケースもあるでしょう。こうした時には焦ったり緊張しがちですが、以下の例文のようなフレーズを覚えておくと、自然かつ品よく式を盛り上げることができます。さらにそのあと、簡単に祝辞を述べて、「それではご唱和をお願いいたします。乾杯」と続ければOKです。
例文①:「ただいまご紹介にあずかりました、新婦の友人の○○でございます。誠に僭越ではございますが、乾杯の音頭を取らせていただきます」
例文②:「ご紹介にあずかりました、××株式会社で■■を担当しております○○でございます。誠に僭越ですが、乾杯の音頭を取らせていただきます」
例文③:「僭越ながら、ご指名を受け乾杯の音頭を取らせていただきます。○○課長、これまで本当にお世話になりました。新任地に行かれましても、どうぞお体に気を付けてご活躍ください」
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「僭越ながら」の使い方、最後に紹介するのは、ビジネスシーンにおけるやり取りについてです。ビジネスシーンでは、目上の人に進言する際や、クライアントに是正や断りの申し入れをする際などにクッション言葉として使うことが多くなっています。この場合は口頭だけでなく、メールでも使うことができます。以下にメールで使用する際の例文を挙げて見ましょう。
<例文>
平素よりお世話になっております。
株式会社××の○○です。
この度は、弊社との新規取引についてご提案いただきありがとうございます。
社内で慎重な検討を重ねました結果、誠に僭越ではございますが、この度のお話はお断りしたいと存じます。
大変魅力的な内容ではありますが、□□□(理由)のため、貴社のご要望には応えかねます。
またの機会がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
末筆ではございますが、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
類語
ここまで「僭越ですが」「僭越ながら」の意味や使い方について見てきましたが、同じような意味の別の表現についても知りたいところです。以下の項目では、「僭越ですが」「僭越ながら」の類語をいくつか挙げて紹介していきましょう。
「厚かましいですが」「厚顔ながら」
「僭越ですが」「僭越ながら」の類語としては、「厚かましいですが」「厚顔ながら」が挙げられます。「厚かましい」は、「人の迷惑も考えずに図々しい」といった意味を表し、立場を考慮せずしゃしゃり出るというニュアンスが「僭越」と重なります。「厚かましいお願いで恐縮ですが」「厚かましいとは存じますが」などのような使い方をされます。
「厚顔(こうがん)」も、「あつかましく恥知らずなこと」といった意味で、「分不相応」のニュアンスを持つ点で「僭越」と共通します。やはりクッション言葉として使うことができ、「厚顔ながら○○させていただきます」のように使われます。ただ、「僭越」に比べると、ビジネスシーンで使われるケースは、それほど多くありません。
「及ばずながら」「微力ながら」
続いての類語は、「及ばずながら」「微力ながら」です。意味合いとしては、どちらも「力不足ではございますが」と自分の力量について謙遜する表現になります。「及ばずながら」の「及ばず」とは、その人の「実力」などについて表しています。「僭越ですが」「僭越ながら」は、自分の「立場や身分」が低いことをことわる言葉ですが、こちらは「力量」の低さをことわっている点が特徴です。
使い方は、「僭越ながら」と同様、目上の人などに対して提案や申し出などをする際にクッション言葉として用いられます。例えば、「及ばずながら協力させていただきます」や、「微力ながら、精一杯ご支援申し上げます」といった具合です。「僭越ながら」に比べると、やや柔らかいニュアンスの表現になります。
出過ぎたことですが
「僭越ですが」「僭越ながら」の類語、最後に挙げるのは、「出過ぎたことですが」です。こちらは「余計なお世話ながら」といった意味合いの言葉になります。「出過ぎたこと」とは「立場をわきまえない差し出がましい行い」を指しており、ほぼ「僭越」と同じ内容を表しますが、それよりはもう少し軽いニュアンスの表現になります。よりくだけた言葉で言うならば、「生意気」「でしゃばり」という表現が当てはまるでしょう。
目上の人などに意見する際や、自分の言葉や行動が相手の機嫌を損ねた際などに、へりくだる気持ちを込めて使われます。例えば、「出過ぎたことを言うようですが、Bプランの方が良いと思います」「出過ぎた真似をいたしました。お許しください」のような具合です。
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