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人手不足業界ランキングと人手不足の原因と対策11選

人手不足業界ランキングと人手不足の原因と対策11選
現在日本は数多くの難題を抱えていますが、中でも深刻と言われるのが、「人手不足」の問題です。各分野で急速な労働力の減少が続いており、それによって業務に支障が出るだけでなく、廃業・倒産する企業も現れてきています。
では、こうした人手不足は具体的にどのような業界で目立ち、何が原因で起こっているのでしょうか。

本記事では、人手不足が顕著な業界のランキングを紹介するとともに、人手不足が起こる原因とその対策についても詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

人手不足業界ランキング

まず最初に、人手不足が深刻な業界について、代表的なところを6つ選んで紹介していきましょう。このランキングには、建設業やサービス業といったおなじみのもののほかに、IT業界のようなやや意外なものも含まれています。

医療・福祉業界

医療・福祉業界

人手不足が深刻な業界のランキング、一番目に紹介するのが、医療・福祉業界です。
現在、急速な少子高齢化が進む日本では、医療・福祉・介護分野の需要が高まる一方なのに対し、それを担う人材の不足は慢性化しています。その主要な原因としては、この分野の人材育成に時間がかかるため、就業者の人数がどうしても限られることが挙げられます。また、勤務時間などの待遇面が不十分とされることや、「きつい仕事」というイメージが広がっていることも、就業をためらわせる要因となっています。

運送・流通業界

運送・流通業界

物流の柱である、運送・流通業界の人手不足も深刻です。最大の原因は、近年のインターネットを通じた買い物の一般化や、フードデリバリーサービスなどの普及による物流の需要拡大に対し、人材の供給が追いつかないことにあります。また、ドライバーの劣悪な労働環境も、この状況に拍車をかける大きな要因となっています。
距離の長短を問わず、ドライバーは長時間の拘束と不規則な勤務を強いられがちで、十分な睡眠時間を取りにくいため、健康上の問題を抱えやすいと言われています。

建設・土木業界

建設・土木業界

深刻な人手不足に陥っているのは、建設や土木業界も同様です。建設業界では、1997年を境に就業者数が減り続けており、現在は有効求人倍率が7を超えることもあります。この一番の要因が、20~30代の若者の興味・関心の低下ですが、これにはこれらの業界の、「きつい」「きたない」「危険」といういわゆる「3K」のイメージが大きく影響しています。また、収入が不安定になりがちなことや、公的な資格がないことなどからくる離職率の高さも、人手不足の要因であると言われています。

IT業界

IT業界

IT業界も、業界全体が急速なスピードで成長しているのに対し、人材の育成や確保が追いつかない状態が続いています。今のところ、ほかの分野に比べそこまで深刻な状況ではありませんが、今後はさらなる業界の規模拡大とともに、人手不足も加速すると言われています。これは業界内の制度の変化が激しく、常に即戦力が求められるため、未経験者の就業が難しいことが大きく影響しています。また、イレギュラーな対応を迫られることが多く、プレッシャーやストレスで離職する人が多い点も、人手不足の要因となっています。

飲食・サービス業界

飲食・サービス業界

飲食やサービス業界でも、人手不足の状況が広がっています。有効求人倍率は1を超えると人手不足とみなされますが、2018年の「接客・給仕」の有効求人倍率は、2.96倍となっています。さらに、同年の「生活衛生サービス(美容院やクリーニングなど)」の場合は、4.40倍にも達します。これらの業界が敬遠されやすい一番の理由としては、「賃金の低さ」が挙げられるでしょう。また、こうした仕事の社会的地位が、一般的にあまり高くないとみなされがちなことも、人が集まりにくい理由の1つとなっています。

宿泊業界

宿泊業界

人手不足が深刻な業界ランキング、最後に紹介するのは、宿泊業界です。この業界は、「ホテル業」と「旅館業」の2つに大きく分けられますが、どちらの場合も非正規雇用の割合が高く、正社員との賃金格差が問題になることが多くなっています。さらに、意外に体力を使う業務が多く、勤務シフトが不規則になりがちなことも、就業を敬遠される要因となっています。特に、小規模のホテルや旅館は人手の確保が難しく、現従業員への負担が大きくなることから、さらなる離職につながるという悪循環に陥りがちです。

人手不足が起きている原因

上では人手不足が顕著な業界のランキングを紹介しましたが、そもそもこうした業界で人手不足が起きるのはなぜなのでしょうか。それにはさまざまな要因が関係していますが、この項目では、主な原因と呼べるものを4つ挙げて解説していきます。

少子高齢化から来る労働人口の減少

各業界で人手不足をもたらしている最も大きな原因が、「少子高齢化による労働人口の減少」です。
「少子高齢化」とは、出生率が下がり、若年者の人口比率が低下すると同時に、平均寿命が増大し、高齢者の人口比率が上昇していくことを指します。日本の少子化は1990年ごろから注目され始めましたが、その後も出生率の低下は止まらず、2019年には出生数が90万人を割り込んでいます。それに対し、高齢者(65歳以上)の人口に占める割合は3割近く、3人に1人が定年を向かえる勘定になります。

つまり、社会の中で若者の数が相対的に減り、かつリタイアする高齢者が増えることで、働き手の全体数が減少しているというわけです。さらにこうした状況は、今後も続いていくと見られています。

働き方改革による人材流出の加速

「働き方改革」とは、2019年に施行された労働に関する政策の通称で、簡単に言えば、今までの労働環境の在り方を見直そうとする取り組みになります。
具体的には、業務の効率化で長時間労働をなくしたり、テレワークや男女の育児休暇取得を推進したり、育児中の女性などの積極雇用を図るといったことがそれですが、この政策も、人手不足を引き起こす原因の1つとなっています。

本来は、上のような取り組みで人手不足による経営問題を解消しようというのが狙いですが、こうした考えが全体に浸透しきっているとは言えません。旧弊な姿勢から働き方改革が進まない業界や企業も多く、そうしたところでは、人材の流出が起こって人手不足がより深刻化しつつあるのが実情です。

景気低迷と労働環境の悪化

人手不足をもたらす原因としては、日本経済の低迷と、それによる個々の 企業の労働環境の悪化も挙げられます。

2000年代半ばごろから、「ブラック企業」という言葉が広まりはじめましたが、これは個々の従業員に過重な業務を負わせたり、異常に長い残業を強いたりする企業を指します。ブラック企業の存在は、近年日本経済の問題となっていますが、こうした企業の増加には、長引く景気低迷が関係しています。不景気で利益が上がらないため、そのしわ寄せで人件費が削られ、結果労働環境が悪化したわけです。

こうした企業や業界では、当然長く留まりたいと思う社員は少ないため、採用してもすぐに辞めてしまう者が多く、結果として人手不足の状態が常態化することになります。

雇用側と求職者側の需要のミスマッチ

雇用側が求める人材と、求職者側が求める仕事との間にズレがあることも、人手不足の状態を招く原因となっています。

前にも述べたように、多くの業界では、人材の育成に多大な時間と労力が必要となります。しかし、現在のように低調な景気が続く状況では、そうしたコストを払える企業は多くはなく、特に中小企業では、育成の必要がない即戦力を求める傾向が強くなります。
一方求職者側の多くは、そうした即戦力となるスキルを身につけてはいませんから、特別なスキルなしで働ける仕事を探さざるを得ません。これにより、企業側は求める人材を集めにくく、求職者側は求める仕事を見つけにくいという状況になってしまいます。結果として、求職者数を上回る求人数があっても、人手不足が起こるわけです。

対策

人手不足の原因だけでなく、その対策についても知っておきたいところです。人材の流出や求職の減少を食い止める手段には、一体どんなものがあるのでしょうか。ここでは、人手不足に有効と考えられる対策を7つ挙げて解説していきましょう。

外国人や育児中の女性の雇用を増やす

人手不足の対策の1つとして挙げられるのが、外国人や高齢者、育児中の女性の雇用を増やすということです。これは、上記の「働き方改革」の方針ともなっています。

その一環として、2019年4月に入管法が改正され、「特定技能ビザ」が新設されました。これは、即戦力となる外国籍の人材受け入れを活性化するための措置で、介護やビルクリーニング、素形材産業、建設といった分野の技能が対象となります。これによって、上のランキングで紹介したような業界の人材不足解消の一助となることが期待されています。

また、リタイアしたシニア世代を再雇用したり、育児中の女性の職場復帰を促すなど、見落とされがちな労働力の活用も重要視されています。このように、人手不足解消には、新たな人材層の発掘や働き方の多様化の促進が欠かせません。

賃金アップ

人手不足対策としては、「賃金のアップ」も有効です。

当然ですが、労働者は誰でも、より条件の良い職場を求めています。この場合の「条件」にはさまざまなものが当てはまりますが、中でも大きな比重を占めるのが、「賃金の高さ」でしょう。上でも述べたように、現在日本の企業の多くは、利益の低さを賃金カットでカバーしようとしていますが、このことが従業員のモチベーションを下げ、生産性を削ぐと同時に、人材流出の要因ともなっています。逆に言えば、賃金を上げて従業員のモチベーションを向上させることが、会社の業績アップや人材の固定にもつながるわけです。

人手不足の業界は「労働力を安く買う」という発想を捨てて、適切な賃金を支払うことこそ、重要なポイントであると言えます。

労働環境の改善

人手不足が常態化している業界や企業では、1人の従業員が辞めてしまうと、その穴を埋めるのは容易ではありません。また、離職率の高い職場の場合、1人が辞めればその分の仕事がほかの誰かに割り振られることになり、負担過重でさらなる離職者を生むという悪循環にも陥りがちです。

こうした悪循環を防ぐ対策としては、採用された人が、なるべく長く職場にとどまりたいと思う環境を作ることが必要になります。そのためには、まずは現状を正しく把握し、問題点を洗い出すことが先決です。また、従業員の要望や意見を聞き、それを対策にフィードバックしていくことも重要になります。時間もコストもある程度かかりますが、先を見据えれば必要な措置なのは間違いないでしょう。

業務の効率化

「業務の効率化」も、人手不足解消に向けた対策としては不可欠でしょう。

人材流出の大きな要因となっているのが、前にも述べたような、「長時間労働」や「業務の過重負担」です。煩雑な作業を人手に頼っているために、業務時間が長くなり、身体や心にストレスがかかって離職に至るケースが少なくありません。

この解決策として有望視されているのが、「業務のデジタル化」です。最近は、ITなどの先端技術の導入が各分野で流行していますが、これによって単純な作業をAIなどのシステムに任せられるようになり、個々の従業員の負担が減らせると期待されています。また、人の手が必要な業務についても、アウトソーシングすることで効率化できる場合があります。

事業の成長可能性の向上

「事業の成長可能性を高める」ということも、人手不足の対策法として挙げられます。

1つの会社や業界で長く働きたいと考える求職者が最も重視するのは、「将来性」です。どうせ働くのであれば、将来的に伸びていく業界・企業に入りたいと思うのが、自然な感情でしょう。逆に言えば、市場が先細っていくことが予想される業界には、人は集まりにくいということになります。こうした業界にある企業の場合、いかに事業の将来性を高めるかということが課題になりますが、それには自社の強みを活かした分野の見きわめと集中が必要になってきます。

なお、先のランキングに入っていた医療・介護や建設、ITなどの業界は、今後市場が成長していくと見込まれています。ですので、業務効率などの問題を解決することで、人が集まりやすくなると考えられます。

求人方法を見直す

人手不足を解消するには、求人方法についても見直す必要があります。有効求人倍率が高い業界の場合、いつまでも求職者からのアプローチを待つ受け身の姿勢を続けていては、人は集まりません。優秀な人材を確保したいと思えば、積極的な対策を打っていく必要があります。

例えば、企業が自ら求職者へアプローチする「ダイレクトリクルーティング」であれば、より自社にマッチした人材を獲得しやすくなりますし、うまく運用すれば採用のコストも下がります。また、社員に人材を紹介してもらう「リファラル採用」も、定着率などの上でメリットがあります。

そのほか、前述したような高齢者や育児中の女性、外国人などの人材層を求人の視野に入れることも、人手不足解消の方法の1つと言えます。

外注を活用する

上でも少し触れましたが、「外注の活用」ということも、企業や業界の人手不足対策としては効果的です。これまで紹介してきた対策は、「人を増やす」ことが主でしたが、こちらは「業務を減らす」ことを主眼に置いたものになります。

この場合、企業の売上に直接結びつく「コア業務」は自社で手がけ、それ以外の「ノンコア業務(経理、事務、コールセンター、ECサイトなど)」を外注に出すケースが多くなっています。それによって、これまでノンコア業務の担当だった社員もコア業務に集中することができ、限られたリソースでも業績の維持や向上が容易になります。

コストは場合によって異なりますが、比較的迅速に導入できる点も、アウトソーシングの利点の1つとなっています。