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有給休暇の16の基本(消滅・期限・買取・拒否・退職・理由・計算など)

有給休暇の基本(消滅・期限・買取・拒否・退職・理由・計算など)

有給休暇を取得するなら知っておきたい消滅・期限・買取・拒否・退職・理由・計算などに関する知識

「有給休暇を取得したいけど自分の有給休暇が何日あるのか分からない」と言った方や「どうしたら消滅してしまうのか分からない」と言った方もいると思います。
また、中には有給休暇を申請したら拒否された、買取を依頼したのに拒否されたと言った方もいるとも思います。

有給休暇は労働基準法によって定められているため明確なルールが存在しています。
ここでは有給休暇の基本についてご紹介していきます。

有給休暇とは

正式には年次有給休暇と呼ばれる有給休暇は、簡単に言うと取得しても賃金が減額されない休暇のことです。

つまり会社を欠勤した場合には通常、休んだ日数に応じて給与が減額されますが、有給休暇で会社を休んだ場合には給与が支給されます。
また、1ヶ月間休まず出社すると皆勤手当などが支給される会社もあるかと思いますが、この皆勤手当も有給休暇を取得した場合でも支払われるものでなければなりません。さらに、有給休暇の取得によって評価を下げたり、ボーナスを減額させるなどの行為も違法となります。

そのため実際は休んでいるものの労働しているのとほぼ同じ意味を持つのが有給休暇です。

有給休暇は労働基準法で定められている労働者の権利である当時に、会社は有給休暇を社員に与える義務があります。

社員の身体をリフレッシュさせるのが目的

社員の身体をリフレッシュさせるのが目的

有給休暇は休日などとは別に休暇を与えることで精神的にも肉体的にリフレッシュしてもらうことを目的に定められている制度となります。

そのため上記でも記載したように休んでも給与や賞与、さらには評価などにも影響を及ぼしません。

有給休暇は入社当初は付与されていない

有給休暇は入社当初は付与されていない

労働基準法により有給休暇は正社員であれば誰にでも付与されますが、入社した日から有給休暇が付与されている訳ではありません。
具体的には下記の2つの条件を両方ともクリアすることではじめて有給休暇が付与されます。

1.会社が労働者を雇い入れた日から6カ月が経過していること
2.全労働日の8割以上出勤していること

前者は比較的分かりやすいと思いますが、後者の条件は休日などを除く労働日の8割以上を出勤してしなければ有給休暇が付与されないと言うことになります。
そのため、最初に有給休暇が付与されるには雇われた日から6ヶ月が過ぎ、かつその6ヶ月間の労働日の8割以上を出勤していなければ付与されません。

また、詳しくは後述しますが、その後は最初の6ヶ月が過ぎ、無事に有給休暇が支給されると次の付与は1年単位となるため1年の全労働日の8割以上を出勤しなければ次の有給休暇が付与されません。

ただし、有給休暇の付与条件を上記の2つの条件よりも厳しく設定することはできませんが、ゆるく設定することは可能で、就業規則にそのような条件が記載されていれば上記以下の条件で付与されることもあります。
もちろん、就業規則は会社ごとに定められているためどういった条件で付与されるかは会社によって異なりますが、「3ヶ月を経過すれば付与する」や「全労働日の出勤割合に関係なく付与する」などと設定することが可能です。

勤続年数に応じて有給休暇は多くなる

勤続年数に応じて有給休暇は多くなる

上記で記載した2つの条件をクリアすると最初は10日間の有給休暇が付与されます。そしてそこから1年毎に付与される有給休暇の日数が増えていきます。
また、契約社員も正社員と同様に取り扱われるため上記の2点をクリアすれば下記の通りに有給休暇を取得することができます。

雇い入れの日から起算した付与される有給休暇の日数表

雇い入れの日から起算した付与される有給休暇の日数表

さらに消化しきれなかった有給休暇は2年が経過すると自動的に消滅してしまいます。
しかし、反対に考えれば2年以内であれば有給休暇を繰り越すことが可能ということになります。

有給休暇の日数表

つまり1日も有給休暇を使用しなければ最長で38日分の有給休暇を保有することができます。

使用される有給休暇の消化順位には注意

使用される有給休暇の消化順位には注意

有給休暇を繰り越している場合には注意が必要です。有給休暇は古いものから消化されていくと思っている方も多いと思いますが、必ずしもそうとはかぎりません。
会社側は新しく付与した本年度分の有給から消化させていくことも可能です。

ただし、その場合には必ず就業規則にその旨を記載しておく必要があり、ない場合には新しく付与された本年の有給休暇ではなく、前年度の繰り越されている有給休暇から消化するとなるのが一般的です。

条件を満たせば正社員だけでなくアルバイトやパートでも付与される

条件を満たせば正社員だけでなくアルバイトやパートでも付与される

有給休暇と言うと正社員や契約社員だけに付与されるものと思っている方も多いと思いますが、条件さえクリアすればアルバイトやパートと言った雇用形態の方にも正社員と日数は異なるものの付与されます。

アルバイトやパートの付与条件は下記の通りです。

1.週の労働時間が30時間未満
2.週に4日以下または1年に48日~216日勤務している

アルバイトやパートの有給休暇付与条件

例えば週に3日の勤務をしている方であれば雇用されてから3年6ヶ月目に8日の有給休暇が付与され、週に4日間の勤務をしていれば1年6ヶ月目には同じく8日間の有給休暇が付与されます。

取得理由を会社に伝える義務もない

取得理由を会社に伝える義務もない

「ゲームをやりたいから」「旅行に行きたいから」「ゴールデンウィークを長くしたいから」と言った目的はもちろん、単に「疲れたから」と言った理由でも有給休暇を取得することができます。

また、有給休暇を取得する上でその理由を会社に述べる義務は労働基準法の観点からもありません。もちろん理由を伝えても問題はありませんが、言いたくない場合には「所用のため」「私用のため」と言っても問題ありません。

時季変更権は取得日の変更ができるだけ

時季変更権は取得日の変更ができるだけ

経営者によっては有給休暇を会社側の都合で拒否してもいいと思っている経営者の方もいますが、基本的に社員から申請された有給休暇を会社側は拒否することはできません。

会社は時季変更権を行使することで労働者側から提出された有給休暇の取得日を変更することができますが、あくまでも時季変更権は取得する日を変更できるだけの権利です。そのため取得をさせないと言ったような拒否権が会社側にある訳ではありません。

また、会社には配慮義務があり、配慮義務とは有給を取得できるように配慮を行わなければならないと言った物になります。
つまり、単に「忙しいから」と言った理由はもちろん「繁忙期だから」「人手が足りないから」と言ったような理由では配慮義務を怠っているだけですので、時季変更権を行使することはできません。
「忙しい」や「人手が足りない」と言ったことが事前に分かっているのであればアルバイトなどを短期的で雇い従業員が有給を取得できるように配慮したり、休んでいる間は変わりの人員を配置につけるなどの配慮を行う必要があります。

また、過去の判例で会社が設けた技能者養成訓練のための研修中に有給休暇を申請した社員に対して上司である課長がその日の有給休暇を認めず時季変更権を行使した事件に対して最高裁はその時季変更権は違法行為であると認めています。
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/07826.html

つまりよほどのことがないかぎり時季変更権は認められず行使することができません。

さらに、冒頭でも記載したように有給休暇は社員やアルバイト(労働者)に与えられている権利です。そのため「休ませてやっている」「みんなに迷惑をかけていることを自覚しろ」と言った発言や行動はパワハラとなる可能性があります。

当日の有給休暇の申請は拒否できる

当日の有給休暇の申請は拒否できる

しかしいつでも有給休暇が申請できる訳ではありません。

当日に有給休暇の申請を行った場合には会社が保有している時季変更権を行使して有給休暇の取得日を変更できるというのが一般的な認識です。
労働基準法では深夜の0時を持って前日と当日が変わります。そのため定時出社の1時間前はもちろん、夜中の1時期に有給休暇の申請を行っても取得できる可能性は低いと言えます。

ただし日付の変わる1時間まである前日の23時であれば取得できるのかというと判断が難しいですが、最低でも前日の日中に申請すれば取得できるのが一般的な解釈です。

基本的には就業規則に申請期限が記載されていますので、申請を行う前に確認するようにしましょう。
記載がない、または就業規則自体がない場合には上記で記載したように最低でも前日に申請すれば取得できますが、前日よりも早ければ早いほど有給休暇を取得できる可能性は高くなります。

事後報告による有給休暇の振替は基本的にNG

事後報告による有給休暇の振替は基本的にNG

会社を病気や体調不良によって欠勤したものの後から有給休暇に振り替えて欲しいと言ったこともあるかと思いますが、上記で記載したように基本的に有給休暇は事前に申請する必要があるため会社としては後から申請された有給休暇を認める義務はありません。

もちろん、会社が事後報告でも「問題なし」と認めれば有給休暇として消化することができます。

退職時に有給休暇を全て消化できる

退職時に有給休暇を全て消化できる

上記で記載したように会社側が保有しているのは取得日を変更させる権利のみとなります。そのため、退職日までの全ての労働日に対して有給休暇の申請を行った場合には、退社する日を超えて時季変更権を行使することができないため、「引き継ぎの時間がない」や「後任が見つかっていない」などの理由があったとしても有給休暇の申請日を変更させることはもちろん、拒否することもできません。
また、有給休暇の取得を理由に退社日を延期させることも違法行為となります。

つまり最長の38日間を保有していていれば退職日の約2ヶ月間を有給消化で休んだ後に退職することも可能となりますし、有給休暇をちょうど消化しきれる前日に退職届を提出すれば次の日から出社せずに退職日を迎えることが可能となります。

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有給休暇の買取は原則できないが、例外もある

有給休暇の買取は原則できないが、例外もある

労働基準法では基本的に有給休暇の買取を禁止しています。

しかし退職日が近づいており消化しきれずに消滅してしまう有給休暇や在籍中でも繰り越しできずに消滅してしまう有給休暇などに関しては有給休暇の買取を認めています。

ただし、こういった場合、有給休暇の買取は会社の義務ではないため消滅するからと言って買取をしてくれるとはかぎりません。
また、上記でも記載したように基本的には買取と言ったことが禁止されているため、買取を前提に社員の有給休暇を拒否したり変更させたりすることはできません。

有給休暇の申請を拒否された場合

有給休暇の申請を拒否された場合

有給休暇を不当に拒否したり、有給休暇中の賃金を支払わないなどの行為は違法行為となります。
そのため有給休暇を不当に与えないなどの違法行為がなされた場合には労働基準法第119条より「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が課される可能性があります。

また、申請をしたものの上司から「休まず働け」や「旅行に言っている暇があるなら仕事をしろ」と言ったような発言により拒否されるようなことがあればパワハラにも該当する可能性が高くなります。

そういった場合には労働基準法に相談することで、調査が行われ法令違反が発見された場合には是正勧告書が交付され、法令違反を是正するよう勧告されることになります。
是正勧告されるということは警察署同様に逮捕権を持つ労働基準監督署に目をつけられると言ったことになりますので常識のある経営者であれば、まず有給休暇を認めてくれるはずです。

特別有給休暇を付与している会社もある

特別有給休暇を付与している会社もある

上記で紹介した労働基準法による有給休暇以外にも特別な有給休暇を与えている会社もあります。
結婚記念日休暇やアニバーサリー休暇(誕生日休暇)など特別有給休暇は会社によって様々なものがありますが、この場合でも給与や評価に影響なく休むことが可能です。

ただし、労働基準法によって定められている有給休暇とは異なるため、一般的には就業規則にその取得条件やその時の待遇などが記載されており、取得の際になどにはその内容に従う必要があります。

就業規則を確認することが大切

就業規則を確認することが大切

何度も記載しているように有給休暇に関しては就業規則を確認することがまず第一となります。
就業規則に取得の条件や買取、振替などの記載がある場合には原則その内容に従う必要があります。もちろん、「有給休暇は10年以上勤めた社員にのみ付与する」「会社の都合で有給休暇を拒否することができる」など労働基準法に触れる内容は無効となりますが、労働基準法に触れない限り就業規則の記載内容に従って取得することになります。

有給休暇を取得させることは会社にもメリットがある

有給休暇を取得させることは会社にもメリットがある

有給休暇の取得をすることで社員の労働日数が減るため、単にデメリットしかないと考える経営者の方も多いと思いますが、有給休暇をしっかりと与えることで離職率が低下するなどメリットが生まれる可能性があります。
離職率が低下すれば採用のコストはもちろん、研修や教育と言ったコストの削減にもつながります。

また、近年の新卒者は仕事内容や給与よりも有給休暇を含めた福利厚生を重視する傾向にあるため有給休暇の取得率が高ければ採用コストの削減や優秀な人材の募集にもつながるなどのメリットが生まれます。