上司・部下
部下の褒め方のコツ9選
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部下の褒め方のコツ
部下を管理・指導する立場になると、コミュニケーションでいろいろな壁に直面します。叱ることもそうですが、それと同じくらい難しいのが、「褒める」という行為でしょう。一見楽にできそうですが、いざやってみようとすると、わざとらしさやぎこちなさなどが気になってしまうものです。また、下手な褒め方では、返って相手の気分を損ねることにもなりかねません。
ここでは、部下を褒める際に踏まえるべきコツについて詳しく解説していますので、効果的な褒め方について悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
具体性が大事
部下の褒め方のコツ、1つ目は、「具体的に褒める」ということです。
「頑張ったな」「よくやったぞ」といった抽象的な褒め方でも、うれしいと感じる人はいるでしょう。しかし、こうした褒め方は、何度も使うと大抵空々しく聞こえてしまうものです。定型的すぎて心に響かなくなってしまうわけですが、これを避けるには、具体的なポイントを添えることが有効になります。
例えば、「段取りのしっかりしたプレゼンでよかったよ」「わかりやすい資料を作ってくれてありがとう」といった具合です。もちろん、売上などで目覚ましい成績を残したのであれば、その数字を挙げるのも良いでしょう。褒め言葉にこうした具体性を持たせることで、部下としては「きちんと見てくれている」という気分になり、モチベーションもアップするはずです。
タイミングよく褒める
部下を褒める際は、タイミングを逃さないことも大事なコツの1つです。
褒め言葉に限らず、相手に何か伝える場合は、タイミングが重要になります。例えば謝罪する時でも、すぐに謝るのと、問題がこじれてから謝るのとでは、効果がまったく違います。褒めるのも同様で、事が起こった後しばらく経ってから褒められても、相手としてはピンとこないでしょう。
人間の脳には、「同時に起こったものごとを関連付ける」という性質があります。つまり、タイミングよく褒めることで、部下としては「仕事で成果を出したこと」と「褒められたこと」がイコールとして結びつき、より成果を出すことへの意欲が上がりやすくなるわけです。ですから、部下が結果を出したら、間を置かずに褒めるよう心がけましょう。
見過ごされがちな部分を褒める
部下を褒める際のコツ、3つ目は、「あまり注目されない部分を褒める」ということです。
人間には、誰でも目につきやすい部分とそうでない部分があります。目立つ部分には大勢の注意が向き、そのことへの言及が多くなりますが、目につきにくい部分について人から何か言われることは、あまりありません。褒め言葉についてもこうした傾向があり、ぱっと見で目立つ外見や態度などばかり褒められるといったケースがよくあります。
しかし、こうした誰でも発する褒め言葉には、本人としてはあまり感激できないものです。逆に、細かくて見えにくい部分、例えばちょっとした気づかいや機転といった点を褒められると、「ちゃんと評価されている」という気分になり、仕事への意欲も湧きやすくなります。
他人との比較は避ける
「他人と比較しない」ことも、部下を褒める際のコツになります。
褒められること自体は、大抵の場合、誰にとっても悪い気はしないものですが、「他人との比較」で褒められた場合は、かなり複雑な気分になります。例えば「君はA君よりだいぶ真面目だな」などと言われた場合、言った側は素直に褒めたつもりでも、言われた側としては、言葉通り単純には受け取れません。「なぜわざわざAの名前を出したのか」と疑問に感じ、「皮肉では?」などと疑いたくなるものです。また、「自分の名前も同じように、誰かを褒める時のダシに使われているのではないか」と疑心暗鬼になるかもしれません。
相手を褒める場合は、他人を意識させるような言葉を使わないのが基本です。「君のこの部分が良い」とシンプルに伝えることこそ、相手のやる気を引き出すポイントになります。
過程に言及する
続いての部下の褒め方のコツは、「行動の過程を褒める」ということです。
ビジネスでは結果が求められますから、どうしても具体的な成果にばかり注目が集まりがちですが、部下のやる気を引き出すには、そこまでの過程についても見逃さずに言及することが大事になります。例えば、「よくあきらめずに1年も交渉を続けた」とか、「細かいリサーチに基づいたアプローチが功を奏したな」といった具合です。こうして結果に至るまでのプロセスに注目することで、部下としては「日々の仕事ぶりもちゃんと見てくれている」と気が引き締まり、モチベーションもアップしやすくなります。
これは、目標が未達であった場合でも同様です。「未達」という結果ばかり伝えるよりも、そこまでの行動で良かった点を褒めることの方が、ポジティブな影響を生みやすくなっています。
否定語は使用しない
部下を褒める際には、「否定語を使用しない」こともコツとして踏まえておきましょう。
脳の性質の1つに、「否定語を理解しにくい」というものがあります。どういうことかと言うと、例えば「猫を思い浮かべないでください」と指示された場合、その通り全く猫を思い浮かべないですむ人は、ほぼいないということです。これは、一般的な脳の働きとして、一度猫を思い浮かべた後に、その猫を消そうとするプロセスを踏んでしまうためです。つまり、脳は否定的な言葉より、肯定的な言葉の方を受け止めやすいと言えます。
ですから、「~しなくて良かったな」と言われても、相手にすれば、褒め言葉としてはピンときません。そうではなくて、「~できて良かったな」などと肯定的な表現にした方が、より褒められた感が強くなると言えます。
質問形を使う
部下を褒める際の具体的なコツとして、「質問形を使う」ということも挙げられます。
誰でも褒められることはうれしいものですが、反面気恥ずかしさも感じがちです。特に日本人は、やたらと褒め言葉を並べられると、返って反応に困ってしまう人も多くなっています。ですから、例えばいつも作業が早い部下に対し、「○○はいつも仕事が早くてすごいな、さすがだよ」とストレートに褒めても、人によっては恐縮する気持ちの方が勝ってしまうこともあります。
そういう時に便利なのが、「褒め言葉を質問形に変換する」というテクニックです。前述の例で言えば、「どうやってそんなに手際よく仕事を片づけてるんだ?」などと聞く形にすると、相手としてはさりげなく褒められた気がしてうれしい上に、具体的な返事も返しやすいというメリットがあります。
周囲にわかる形で褒める
「周囲にわかる形で褒める」ことも、部下の褒め方のコツの1つになります。
部下のモチベーションを上げる上では、1対1の場面で褒めることも効果的ですが、そうしたケースばかりだと、相手によっては物足りなさを感じる場合もあります。人間には誰でも「承認欲求」というものがあり、多かれ少なかれ「大勢の人に認められたい」という気持ちを抱くのが通常です。こうした気持ちが強い部下に対しては、うまくその欲求を満たしてやることがポイントになります。具体的には、他のメンバーの前ではっきり褒めることにより、その部下の自尊心や仕事への意欲を高めることができます。
また、こうした手法は自信をなくしている部下についても有効です。公の場で褒められることで、前向きな気分で仕事に取り組めるようになります。
本人不在の場で褒める
部下の褒め方のコツ、最後に紹介するのは、「本人のいない場面で褒める」ということです。
もちろん、部下に対し直接褒めることは大事ですが、そればかりが評価の手段ではありません。場合によっては、むしろ本人不在の場で褒めた方が、相手にとっては心に響くこともあります。心理学では、あることを直接言われるより、第三者を介して伝えられた方が内容についての信ぴょう性が増すことを、「ウィンザー効果」と呼んでいます。つまり、直接褒めただけだと「単に形式的なものだろう」と受け止められかねないところ、第三者を介して褒めた事実を伝えることで、褒め言葉についての真実味を増せるというわけです。それだけでなく、周囲にも良い評価を広めてくれたということで、喜びの効果はさらに倍増することになります。
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