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まとめ

日本で所得格差が生まれる・広がる原因10選

日本で所得格差が生まれる・広がる原因

日本で所得格差が生まれる・広がる原因

現在、世界的に議論の的となっているのが、格差の問題です。ごく一部の富裕層が、全体の富の大部分を所有し、一般的な労働者との間で深刻な所得格差が生まれています。
日本においても、そうした問題は日に日に増大し、重大な社会問題となりつつあるのが現状です。では、こうした所得格差の問題は、なぜ起こってしまうのでしょうか。ここでは所得格差の発生と拡大の原因について、10のポイントを挙げて説明していきます。

世帯年収の差から生まれる教育の格差

日本で所得格差が広がっていく原因として、富裕層と貧困層との教育の格差が挙げられます。
周知のように、日本には義務教育制度があり、現在小・中学校までは、誰でも無償で教育が受けられるようになっています。しかし、よりレベルの高い教育を受けようとすると、決して少なくないお金が必要になってきます。
裕福な家庭であれば、そうした出費も可能なため、子供は幼いころから恵まれた教育環境に身を置くことができますが、貧困家庭の子供はそうしたわけにはいきません。

こうして高い教育を受けた裕福な家庭の子供は、その分高収入な仕事に就ける機会が増え、一方、教育のレベルが限られる貧困家庭の子供は、そうしたチャンスを失うことになります。そして、このサイクルが世代間で繰り返されることにより、所得格差が固定化・拡大してしまうというわけです。

少子高齢化

所得格差の拡大の要因、2つ目は少子高齢化です。
現在我が国では、出生率の低下による少子化とともに、高齢者人口の増加が問題となっています。日本では60歳ごろから定年となる会社が主流ですが、言うまでもなく、定年後は年金が収入の大半となります。

つまり、年金に頼る高齢者は、必然的に低所得者となってしまうわけです。その一方で、一部には会社役員などに就任し、高齢でも高い収入を維持し続ける人もいます。こうしたことが、日本で格差が広がってしまう原因の1つになっています。
しかも、前述のようにこうした高齢者層はどんどん増加しており、今後も増え続ける見通しです。高齢化率は、65歳以上の人口が総人口に占める割合のことですが、2040年がそのピークになると言われています。このため、高齢化社会の進行と共に、ますます所得格差が広がっていくと思われます。

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年功序列

年功序列の構造も、日本で所得格差が広がる原因の1つとなっています。

年功序列とは、簡単に言うと、年齢が上がるにつれて役職や賃金が上がるという制度です。日本の経営における特徴的な制度であり、終身雇用などと共に戦後から行われてきました。そして現在でも、依然として日本では年功序列が維持され続けています。

こうした制度は、戦後のある時期には有効に機能していましたが、現在では弊害も多いとされています。年齢と共に収入が上がるという仕組みから、若い年代の収入が、相対的に低いままに抑えられててしまうためです。他国経済の成長や少子化によって、競争がますます厳しくなっている現在、年功序列の制度は、若年層の貧困を助長する一因になっていると言えます。これに加え、若年層は高齢層のための社会保障費の負担増にも直面しており、さらなる収入の低下を余儀なくされています。こうした世代による収入格差の固定化も、問題の大きな割合を占めていると言えます。

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労働派遣法の緩和による非正規社員の増加

所得格差が起こるのは、非正規社員が増えたせいでもありますが、その原因は労働派遣法の緩和に求められます。

日本の労働派遣法は、1986年に施行されましたが、当時は16の業種に限定されていました。しかし、1996年になると、その数は26に拡大されます。そして99年には、26業種以外の派遣も可能となり、派遣業務は原則自由化となりました。その後も緩和の波は続き、現在にまで至っています。

こうした規制緩和により、企業側は安価で柔軟な人材確保が可能になり、国際的な競争力も向上しました。しかし、その一方で、労働者側の状況は厳しくなっていきます。正規雇用が減ったことで、非正規社員が増加し、その分所得も減少することとなりました。仕事の内容は変わらなくても、正社員と非正規社員とでは、収入や待遇にかなりの格差が生まれてしまっています。こうして、正社員になれない労働者が増えていくことで、ますます所得格差が広がってしまうというわけです。

地域格差

第6の問題点が、地域による経済格差ですが、ここで注目されるのが教育の格差です。日本の中でも都市部と地方の間に見られる教育格差は、所得の問題と深く結びついています。

都市部と地方の間に教育格差があることは、以前に行われた調査でも明らかでした。1961年実施の「全国小学校学力調査」では、「住宅市街地域」と「へき地」との間で、平均点に大きな乖離があることが判明しています。また、2008年に民間の教育機関が実施した、全国の小学5年生を対象とするテストにおいても、正答率は都市部になるにつれて高く、地方になるにつれて低いという結果でした。1961年当時よりも差は縮まってはいるものの、依然として、地域間で教育の格差が存在することが浮き彫りとなっています。

この結果からわかるのは、地方に住む子供は都市部の子供に比べ、ハイレベルな教育を受ける機会が相対的に少ないということです。前述のように、教育の程度は所得レベルと密接に関係していますから、この点で地域間の所得格差が生まれる原因となってしまいます。

新卒の就職

国内で所得格差が広がる原因として、新卒の就職に関する問題も挙げられます。

我が国では、新卒で一括採用した社員を数年かけて育成し、年功序列と終身雇用の制度でほとんど一生涯雇い続けるというシステムが一般的です。しかし、逆に言うと、新卒で就職に失敗した者は、そのラインから外れやすいということでもあります。何等かの理由で就職のタイミングを失ってしまった若者は、その後正社員になれる機会が減ってしまうため、年功序列による賃金上昇の恩恵も得られず、低収入に陥ってしまうケースも少なくありません。

このように、日本において就職のタイミングは、生涯の所得に深くかかわっています。新卒一括採用に偏ったシステムは、若者から再チャレンジの機会を奪い、格差を固定化、拡大する要因になっていると言えます。

所得税率の変化

7つ目の原因として、所得税率の変化も挙げられます。詳しく見てみましょう。

日本では、所得税の制度は累進課税制となっています。これは簡単に言うと、所得の高さに比例して課税額を大きくするという制度です。つまり、高収入の人ほど所得税は高くなり、収入が低いほど、税金は低くなるという仕組みになります。これは、本来であれば、貧富の差の拡大に対する抑止機能となるはずなのですが、しかし、現実にはその機能は、決してうまく働いているとは言えません。

1974年の段階では、累進制の最高税率は、75%にも及んでいました。しかし、その後は徐々に税率の緩和が進み、1987年には最高税率が70%に、2015年に至ると、最高税率は45%まで低下することとなります。つまり、高所得者にかけられる税金は、一貫して下がり続けているわけです。

所得税率が下がったことにより、単に富裕層の収入が増えただけでなく、貯金額も増え、それを基とした副収入も増大する結果となりました。これが、国内の所得格差がますます拡大する要因となっています。

勤務先の企業規模

日本の所得格差の拡大には、働いている企業の規模も大きく関係しています。

中小企業庁が発表した、2016年版の「中小企業白書」によると、中小企業の正社員と大企業の正社員の給与額の差は、おおよそ8万円ほどであるとされています。この給与差は、実に20年間も埋められていません。1ヶ月に8万円の収入差が生まれるとなると、1年では大体100万円の差となります。これは、かなりの金額と言うことができるでしょう。
さらに生涯賃金に換算すると、より格差が明確になります。生涯の勤続年数を40年として計算した場合、8万円×40年では、3,840万円にも上ります。一生涯だと、実に4,000万円近い金額差が、企業規模の違いによって生まれる原因となってしまうわけです。4,000万円あれば、家やマンションを購入することも可能ですから、非常に大きい格差と言えるでしょう。

ひとり親世帯の増加

9つ目の所得格差拡大の原因は、ひとり親世帯の増加です。

実は、日本におけるひとり親家庭の相対的貧困率は、先進国でも最悪の水準にあります。相対的貧困率とは、全国民を所得の多い順番に並べた際、真ん中に位置する人の半分未満しか所得がない人の割合を指します。つまり、相対的貧困率はその国の所得格差を示す割合ですが、日本のひとり親世帯の深刻な格差状況を示す証拠となっています。

日本のひとり親世帯の所得格差が激しい理由はいくつかありますが、1つには、母子家庭の母親が正規の仕事につきにくいという状況が挙げられます。多くの場合、女性は出産を機にそれまでの仕事を辞め、子育て中心の生活に入ります。しかしその後、離婚などで母子家庭となっても、子育てとの両立から正社員を諦める女性が少なくありません。こうした状況は子供の進学率にも影響し、ひとり親世帯の大学進学率は、23%ほどにとどまっています。

現在の年間離婚数は依然高いレベルにあり、今後もひとり親世帯の増加による所得格差拡大が続く可能性が高くなっています。

資本の違い

日本で所得格差が広がる原因の最後は、「資本の違い」に求められます。
従来の経済学の定説では、経済が発展するにつれ、労働者と資本家の所得の差は縮まっていくと考えられていました。しかし、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が2013年に発表した『21世紀の資本』では、そうした考えは誤りであるとしています。

その理由は、富の蓄積のスピードにあります。この本が証明したところでは、労働によって得られる富よりも、株などの不労所得で得られる富の方が、速く蓄積されてしまうのです。つまり、経済が成長しても両者の所得差は縮まることはなく、返って開いてしまうことになります。これは、r(資本収益率)>g(経済成長率)という式で表すことができます。

要するに、資本主義の経済システムである限りこうした格差はなくならず、むしろ世代が進むにつれて開いていく一方というわけです。

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