まとめ
ブラック企業の31つの特徴
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ブラック企業と見極めるための特徴
「ブラック企業」という言葉は2000年代後半ごろから聞かれ出したものですが、現在では社会的にすっかり定着しています。労働者の権利が法律で規定されているにも関わらず、それを無視するような仕事を課された結果、さまざまな障害が起きていることが問題となっています。過酷な労働環境で体を壊し、辞職を余儀なくされたり、最悪の場合命を奪われることも少なくありません。こうしたブラック企業の問題は、なくなるどころか次々に新しく報道されているのが現状です。これから就職活動しようとする学生や、転職を考えている社会人にとっては、ブラック企業に出くわさないかどうかが気になるところでしょう。それでは、ブラック企業を見抜くにはどんな点に注意すればよいのでしょうか。ここでは、ブラック企業によく見られる特徴について、主なものを5つ挙げてみましょう。
残業時間が長い
ブラック企業と言えば、「残業時間の長さ」が取りざたされることが多くなっています。ある程度の残業であれば一般の会社でも珍しくありませんが、ブラック企業となると、毎晩のように深夜近くまで残業させられるという話が聞かれます。そもそも労働基準法においては、1週間の労働時間は40時間までと規定されています。1日にすると8時間ですから、本来9時始業の会社であれば、休憩時間をはさんで18時までには退社しなければなりません。しかし労使協定による取り決めをすることで、一定程度の残業が可能となります。ただしこれにも上限があり、1週間に15時間を超える残業は認められないことになっています。つまり1日平均で3時間までの残業となり、遅くとも21時までには退社しなければならないわけです。この時間を超えることが常態化していると、ブラック企業と認定される可能性が高くなります。もちろん繁忙期などでは、深夜近くまでの残業が重なることもあるでしょうが、それ以外でも常に22時を回るまで働かされるという場合、ブラック企業の疑いが濃いと言えるでしょう。
残業代が支給されない
ブラック企業のもう一つの大きな特徴が、「サービス残業を強いられる」という点です。前述のように、残業自体は法律でも認められている行為です。これは労働基準法36条に規定されていることから、通称「サブロク協定」などとも呼ばれますが、このサブロク協定があっても、もちろん残業代の支払いは行われなければなりません。しかし、ブラック企業の場合では、残業代のない残業を強要されることが多くなっています。いわゆる「サービス残業」と言われるものですが、例えば先にタイムカードを押して定時退社したことにさせ、残業時間をごまかしたり、仕事を持ち帰らせて自宅で残業させる他、最悪の場合では、最初から労働時間の管理をしていないという会社も見られます。こうした工作によって残業代の支払いを免れることは、労働基準法37条に違反する行為として、「懲役6ヶ月以下、または30万円以下の罰金」を課される恐れがあります。このような行為が慣行として常態化している場合は、ブラック企業と認定される可能性が高いでしょう。
離職率が高い
ブラック企業かどうかを判断する基準として、「離職率の高さ」も挙げられます。上記の様に極端に残業が多く、しかも残業代の支給もないとなれば、過酷な労働環境に耐えられず、離職してしまう人が続出するのは当然でしょう。離職率や平均勤続年数を公表している企業も多くありますが、もしも事前にブラック企業かどうかを知りたいという場合は、こうした数字を参考にすることもできます。一般的には、入社後3年以内に離職した率が3割を超えていれば、ブラック企業と認定される可能性が高まるとされています。例えば3年前に12人採用されたとして、3年後に4人以上やめている会社であれば、ブラック企業の疑いがあるということになります。この「3年離職率」が大きくなればなるほど、その疑いは膨らむと言えるでしょう。また、平均勤続年数もブラック度数を計る基準となります。ブラック企業では比較的若い社員が多くなる傾向があり、ほとんど社員が勤続年数の低い若手で占めれている場合、ブラック企業の疑いが濃くなるので注意しておきましょう。
新入社員の採用数が多い
これは上記の離職率の高さからくるもので、ブラック企業は常に人員を補充しなければならない状態にあります。そこで、会社の規模に不釣り合いなほどの新入社員を採用したり、常時求人広告を出しているというような場合、ブラック企業である疑いが強いといえます。毎年多くの新入社員を確保するのは、その多くがやめるのを前提としており、いわば社員の使い捨てといった状況が当たり前になっているためです。社員が辞職するか、あるいは自動的に首を切るまでは、厳しい労働環境で酷使して、使えるだけ使ってしまおうという発想です。ですから、毎年大量に社員を採用しているにもかかわらず、全体の社員数が増えていないという場合は、ブラック企業を疑ってみたほうがよいでしょう。
精神論が振りかざされる
ブラック企業の特徴としてよくあるのが、「精神論が持ちだされることが多い」ということです。精神論自体については一概に悪いというものでもありませんが、ブラック企業の場合、やたらと「精神力」「気合」「やる気」といった言葉が振りかざされる傾向があります。例えば、サービス残業について「やる気があるなら当たり前」であるとか、「やりがいを感じていれば乗り越えられる」「社会人ならこれくらいのつらさは当然」など、感情的な言葉で正当化しようとするのがこれに当たります。前述のように、残業については法律できちんと規定されており、それに対する対価も支払うことが義務づけられています。これを精神論でごまかそうとするのは、ブラック企業にありがちな特徴と言ってよいでしょう。きちんと社員の権利を尊重しつつ、士気を鼓舞するような言動なら問題ありませんが、問題を正当化しようとして持ちだされる精神論には注意した方が良いでしょう。
辞めさせてくれない
入社するとなかなか辞めさせてもらえないというのも、ブラック企業の特徴の一つです。ブラック企業は、過酷な労働環境ゆえに社員が追いつめられやすくなっていますが、辞めたいと思っても簡単には辞めさせてくれません。前述のように、社員は使えるだけ使ってしまおうという考えがありますから、余力のあるうちに辞めようとしてもそれを許さないわけです。また、これも前述のように、ブラック企業は離職率が高くなっていますから、常に人材不足に陥る可能性があります。新しい社員を入れる余裕や時間のない場合、会社側は辞めようとする社員を強引に引き留めてきます。会社が社員を辞めさせない手口としては、誓約書を書かせる、退職届を数ヵ月前までに出させるなどがあります。しかし、こうしたやり方に法的な根拠はありません。法律では2週間前に通知すれば、会社を退職できるようになっています。退職届が受理されなくても、内容証明郵便で送るだけで法律的な効力が発生しますから、無理に働き続ける必要はありません。
パワハラ・モラハラが多い
パワハラやモラハラといった言葉は、近年良く聞かれるようになりましたが、ブラック企業ではこれらの問題も頻繁に発生する傾向があります。会社におけるパワハラとは、上司から頻繁に暴言を吐かれる、嫌味や当てこすりを言われるといった言葉の攻撃や、無茶の仕事やノルマを課されるといったいやがらせ、また、言葉を交わさなかったり連絡事項を伝えないといった、コミュニケーションの遮断などがあります。例えば、「お前は使えない」とか「もう来なくていいよ」などの言葉を日常的に言われたり、怒鳴られる、罵声を浴びせられるといったことがパワハラに当たります。一方、モラハラは立場に関係なく、個人に対し精神的な攻撃を加えることを言います。例えば、社員間で一人だけ無視される、頻繁に陰口を叩かれる、あからさまな軽蔑の態度を取られるといったことがモラハラになります。ブラック企業では、こうした精神的・肉体的なダメージが積み重なり、心や体を病んでいく人が多くなっています。
異常にノルマが厳しい
上でも述べましたが、ブラック企業では厳しいノルマが課される傾向があります。何度も言うように、ブラック企業ではそもそも人材を育てようという意識はありません。次々に使いつぶし、役に立たなくなれば次の人間を入れるといったやり方を取っています。ですから、あらかじめ過酷なノルマを課して、達成するよう厳しいプレッシャーをかけ続けることが日常茶飯事です。社員は何とか与えられたノルマをこなそうと頑張りますが、当然達成できない場合も多く出てきます。その場合、上司から激しい罵声を浴びせられたり、数時間にわたって説教をされるといったいやがらせを受け、場合によっては肉体的な暴力を受けることもあります。こうした過酷なノルマに苦しめられ続けた結果、精神を病んだり、自ら命を絶つといったケースも少なくありません。辞めたくても、前述のように辞めさせてくれなかったりするため、肉体や精神の限界まで酷使させられてしまうという問題があります。
就業規則などのルールが整っていない
就業規則とは、会社と従業員との間に設けられた、さまざまなルールのことを言います。例えば、労働時間や休憩時間、賃金や退職金、休日や休暇、定年や退職、解雇に関する規定などが定められています。労働基準法の第89条では、10人以上の従業員を雇用している会社の場合、就業規則を作成するのが義務となっています。これは、アルバイトやパートが含まれる会社も例外ではありません。しかし、ブラック企業の場合は、この就業規則が作られていないか、あっても誰も見られないようにしているいことが多くなっています。これは明らかに法律に違反する行為で、前述のように就業規則は法律で作成が義務付けられていますし、従業員への周知も行われるよう法律で規定されています(労働基準法第106条)。就業規則は労働者の権利を守る意味合いが強いのですが、これを周知させると会社側が強権を振るいづらくなるため、ブラック企業は就業規則などのルールを作りたがらない傾向があります。
深夜も窓が明るい
前述したように、ブラック企業は残業の量が多く、深夜まで業務をこなさなければならないことが多くなっています。そのため、会社の照明は遅くまでつけられており、夜遅くでも外から見ると、煌々と明かりが灯っているのが目につきます。こうした状況が一時期だけでなく、毎夜のように続くのがブラック企業の傾向です。ですから「いつ通りかかっても、窓が明るい」というオフィスの場合、ブラック企業を疑った方が良いでしょう。就活生などは、気になる会社に関して、何回か窓の明かりをチェックしておいた方が良いかもしれません。もし、いつも深夜でも明るく電気がついていれば、ブラック企業の確率が高いと言えます。
「アットホームな職場」を自称する
社員募集の広告などで、「アットホームな職場です」というコピーを目にすることがよくあります。しかし、もしかするとこれはブラック企業のサインかもしれません。ブラック企業がアットホームを売り文句にするのには、いくつかの理由があります。まず一つは、それぐらいしかアピールするところがないという事情です。短所を言い換えるのは、長所を作り出す常套手段ですが、この場合もそれにあたります。ブラック企業は常に人手不足の問題を抱えているため、ギリギリの人数で運営しているところも少なくありません。そうした小規模体制を、ポジティブに言い換えた文句が「アットホーム」というわけです。二つ目は、これも短所の言い換えに当たりますが、会社に規律がなく、道理より無理が押通るような雰囲気を、良い方に読み替えているというものです。こうしたなあなあの空気が漂う会社は、命令系統もあやふやで、無茶な仕事も「お願い」の一言で押し付けられてしまう危険があります。ホームページで社員同士がじゃれ合う写真を載せているなど、過剰にアットホームをアピールする会社には気をつけた方がよいでしょう。
12.ブラック企業は年間の休日が少ない
休日が取りにくいというのも、ブラック企業の特徴の一つです。平均的な年間休日の日数は大体120日ですが、ブラック企業ではこれが二けたに落ち込むことも珍しくありません。これは残業が多いこととも関連しますが、ブラック企業はとにかくノルマ優先のため、規定の仕事量に達しない場合は、就労時間を無理やり延ばすという手段を取ります。そのため、土日や祝日であろうとも、ノルマを達成するまで仕事を強いられてしまうわけです。ブラック企業ではこれが常態化しているため、社内全体の空気がそれを当たり前として諦めているという傾向があります。それゆえに、1人だけ定時で退社したり、休日出勤を拒んだりといったことはしにくくなっています。まして有給休暇を取るなどは困難ですから、ますます年間の休日日数は減ってしまうことになります。年間の休日数が100日程度であれば、ブラック企業の疑いが強いと言えるでしょう。
昇給しない
会社によって額は異なりますが、勤続年数が多くなるにつれ、給料も上がっていくのが一般的です。しかし、ブラック企業の場合はほとんど昇給しないか、してもほんのわずかであるという特徴があります。ブラック企業の社員は、初任給からほとんど給料が上がることはなく、ボーナスすら支給されないといったことも珍しくありません。ブラック企業は、給料を安く抑え、社員を酷使して利益を上げようという姿勢のため、社員がどれだけ頑張ろうと、報酬面で報いようという気はありません。社員が薄給で酷使される一方、経営者が利益を独占しているという傾向があります。昇給率がどれくらいかということは、将来の収入を計算する上で重要な要素ですが、ブラック企業ではそもそも昇給自体がまれなため、将来像を予測できないという問題があります。ですから、求職の際は定時昇給が約束されているかどうか、事前にしっかり確認しておきましょう。
若い先輩がいない
これも何回も述べていることですが、ブラック企業はとにかく人材を使いたいだけ使い、育成などは最初から考えていないという特徴があります。そのため離職率が高くなり、まだ勤続年数も浅いのに辞めてしまう社員が続出することになります。その結果、ブラック企業の中には3年以上勤めている人間が極端に少なくなり、新入社員にとっては比較的年齢の近い、若い先輩がほとんどいないという状況が生まれます。その新入社員も、大半は一年ももたずに辞めてしまうため、さらに若い先輩が減るというサイクルが続いていくわけです。ですから、周りを見た時に若い先輩が極端に少ないようであれば、ブラック企業を疑ってみた方が良いかもしれません。
いつも求人広告が出ている
これもまた、離職率が高いことによるブラック企業の特徴の一つです。繰り返し述べているように、ブラック企業は人材を使い捨てるのが基本的な姿勢です。そのため慢性的な人手不足に直面しており、常に人員を補充する必要に迫られています。そのため、求人募集の広告が常時出されることになるわけです。求人誌を見ていると、同じ会社の募集広告が長期間にわたって掲載されていることがありますが、こうした場合はブラック企業の可能性が疑われます。就職活動や転職活動の際は、このようなサインも見逃さないよう気をつけた方が良いでしょう。
ネットの口コミでブラックな評判だらけ
ブラック企業の特徴の一つとして、「掲示板などの口コミサイトにおいて、悪評が非常に多い」というものもあります。そもそもブラック企業という呼称が広まったのは、ネット掲示板での議論がきっかけだと言われています。ブラック企業が評判になりだした2000年代後半は長い不況の真っただ中で、過酷な労働を強いる会社の実態が、インターネットの匿名議論によって表面化されるようになりました。匿名が基本となるネットでの口コミは、普段口に出して言えないような不満を告白しやすいという面があり、会社での勤務状況についても率直な意見が交わされています。この傾向は現在も続いており、ブラック企業に対しては容赦のない悪評が飛び交うのが通常です。ですので、就活中の方は入社を希望する会社に対し、一度こうした口コミサイトをチェックしてみた方が良いでしょう。ただし、このようなネットの意見には多分に主観や偏見が混じっている可能性がありますので、くれぐれも判断は慎重にした方が良いでしょう。
アルバイトの比率が高い
ブラック企業は、正社員の数が少なく、非正規社員の率が高くなる傾向があります。これは人件費をなるべく抑えようという意向で、低賃金のアルバイトやパートを多く雇い、正社員はできるだけ少なくしようとするわけです。仕事の内容としては、正社員とアルバイトに差はなかったとしても、支払われる賃金には大きな格差があります。アルバイトが辞めてしまっても、次々に新しく補充していくので、正社員と非正規社員の比率はほとんど変わりません。もちろん、アルバイトから正社員に登用されることもまずないといってよいでしょう。中には、募集要項に「正社員募集」と謳っていても、アルバイトや契約社員、業務請負といった形で雇用しようとする会社もあります。こうした点についても気をつけた方が良いでしょう。
基本給が高い
ブラック企業の中には、意外なほど給料をを高額に設定しているところも少なくありません。一見すると好条件のようですが、これにはからくりがあります。実際には基本給に残業代が含まれているため、初任給でも高額に見えるというわけです。こうしたみなし残業代が給与に含まれること自体は珍しくありませんが、ブラック企業の場合は、みなし残業代分よりもはるかに多い残業を強いられることが多くなっています。ですので、一見高給に見えたとしても、実際は労働時間に見合わない安い報酬額であるということになります。例えば支給額が25万円であっても、そのうち基本給は10万円で、残りがみなし残業代ということもあり得ます。こうした実質的な基本給についても注意しておきましょう。
社長の精神論が多い
前述の特徴と重なりますが、会社のトップである社長が、何かというと精神論を押し付けてくるというのは、ブラック企業によくある光景です。ブラック企業の社長は、説明会や入社式はもちろん、毎日の朝礼においても体育会的な精神論を振りかざしてきます。「気合」や「根性」といった語句を頻繁に用いたり、大声を出させる、目標を言わせる、失敗したときに全員の前で反省の言葉を述べさせるなど、社員にひたすらがむしゃらさを求める傾向があります。全てにおいて「元気の良さ」が優先され、前述のように理屈や道理は二の次といったことになりがちです。これはひとえに、サービス残業など過酷な労働に対し、文句を言わせない空気を作るという目的があります。こうした空気に慣らされた結果、無理な仕事量でも黙々と従ってしまうことになるわけです。ですから、もしも説明会などで社長の精神論的な言葉が目立つようであれば、ブラック企業を警戒した方が良いでしょう。
面接のハードルが低い
ブラック企業が常に人材難に直面していることは、これまで何度も述べてきた通りです。そのため、とにかく人員を確保したいという意識から、ブラック企業は採用を急ぐ傾向があります。応募から面接、採用までの流れが異常に早く、選考後間もなく内定が出たというような場合、ブラック企業の疑いが強いでしょう。また、ブラック企業は新入社員を逃したくないため、内定承諾を急かすことも多くなっています。何度も電話がかかってきて内定承諾を迫られたという場合、やはりブラック企業の可能性があります。特に、内定辞退を受け入れない、その場で承諾を迫るなどといった場合は、限りなくブラック企業の疑いが強いと言えるでしょう。中には、内定を辞退すれば損害賠償を請求すると脅す会社も存在します。もちろん、内定を断ったからといって損害賠償しなければならない根拠はありません。通常の企業であればこういった強引な手法は取らず、ある程度の時間をかけて内定を出すはずです。内定が出るのが早すぎたり、無理に承諾を迫られるなどの際には、十分気をつけた方がよいでしょう。
試用期間が長い
入社後、社員に対し一定の試用期間を設けている会社も多くあります。試用期間を通じて仕事の適正を観察し、本採用に向けて問題がないかどうかチェックするための制度ですが、ブラック企業の場合、この試用期間が非常に長いという特徴があります。試用期間中は給料が抑えられていることが多く、長く続けるほど会社側にはコスト面のメリットがあるためです。また、中には本採用まで社会保険をつけないというブラック企業もあり、やはり試用期間を長く取ることで、会社側のメリットが大きくなります。しかし、実際には、使用期間中でも労働者の権利は保証されており、社会保険への加入も義務付けられていますから、このような待遇は違法にあたります。こうしたブラック企業では、ひどい場合になると、試用期間の終了と同時に解雇というケースも見られます。もしも試用期間が半年以上や1年に及んだり、社会保険の加入がないといった場合には、ブラック企業の可能性が高いでしょう。
労働雇用契約書を発行しない
労働基準法では、雇用者は労働者に対し、契約期間など労働条件の明示をしなければならない旨が記載されています。労働契約書はこれを書面化して、労働者が署名・捺印したものを言います。場合によっては通知書などの形でも良いとされていますが、ほとんどの企業では、労働契約書を作ることが一般的となっています。それに対し、ブラック企業の場合、この労働契約書を作成しないケースが多くあります。契約書はおろか、書面での通知もないという場合も少なくありません。こうした契約書の提示がないと、労働者は雇用条件を確認できないことになります。ブラック企業は雇用条件が劣悪なため、事前に条件を提示してブラックであると知らさないようにしているわけです。もし内定が出てからも雇用契約書などの提示がない場合は、こちらから問い合わせて見ましょう。それでも契約書を出さないようであれば、かなりの割合でブラック企業であると言えます。
休日でも駆り出される
ブラック企業が極端に休日の少ない職場であることは、前に説明した通りですが、例え休日であっても無理に出勤させられることもあります。たまの休日でも、上司からの電話で呼び出されたり、仕事を言いつけられるといったことが珍しくありません。また、呼び出されないまでも、時間外に業務連絡を入れられたりすることが頻繁にあります。過労死に至った事例の多くでは、このような休日の呼び出しや、時間外の連絡を日頃から受けていたことが明らかとなっています。こうした時間外の勤務はもちろん、単なる仕事上の連絡であっても、労働基準法では休日出勤とみなして賃金を支払うよう義務付けられていますが、ブラック企業にはこうした意識はありません。まして、時間外の連絡などはお構いなしというのが実情です。ですので、このように就業時間がなし崩しになりがちな職場の場合、完全にブラック企業であると言ってよいでしょう。
冠婚葬祭に出られない
休日がない、または休日でも休ませてもらえないというのは、これまで見て来たとおりブラック企業にありがちな特徴です。このため、冠婚葬祭の場合であっても休暇などは取らせてもらえません。例え親族の葬儀や友人の結婚式があったとしても、ブラック企業は休日を許可しないことがほとんどです。結婚式などは土日に行われることが一般的ですが、先に見た通りブラック企業は土日出勤も当たり前ですから、式よりも仕事を優先するよう強要されてしまいます。仮に出席を認められたとしても、その後出勤しなければならないということが珍しくありません。冠婚葬祭で休暇を取らさなければならないという規定はありませんが、普通の企業であれば、まず認められるのが一般的です。もしも冠婚葬祭ですら休めないという会社の場合、かなりブラック企業の疑いが濃いと言えるでしょう。
うつやノイローゼになりやすい
これまで見てきたように、ブラック企業は過酷な勤務形態が日常化しています。毎日残業が深夜まで続き、休日もなくプライベートもほとんどないという状況に、心や体を病んでしまう人も少なくありません。職場でうつやノイローゼを発症した同僚が複数いるならば、ほぼ間違いなくブラック企業と言えるでしょう。まわりにうつが広まることで、ますます職場の空気は悪化していき、活力もそがれます。最悪の場合には命に係わることもありますから、取り返しがつかなくなる前に、相談機関などへ連絡してみましょう。もしも仕事が原因で精神病などにかかった場合は、労災に認定されることもありますから、普段から日々の仕事の状況を記録しておいた方がよいでしょう。
利益が上げられないと自己都合退職にさせられることも
ブラック企業は、とにかく利益を上げることを最優先にしています。そのため、例え新人でも利益を出せなければ、過酷なノルマを与えて自己都合退職に追い込むことも珍しくありません。例えば、営業経験がない新入社員に無理やり飛び込み営業をやらせ、ノルマを達成できなければ辞めさせるといった具合です。現在では労働基準法の改正により、会社が社員を勝手に辞めさせることはできません。そのため、ブラック企業は社員にプレッシャーをかけて、自ら辞めるようにしむけます。とてもこなせないような膨大な量の仕事を与えられたり、暴言、罵声を浴びせられるなど、肉体的・精神的に徹底的に追い込んで、自己都合退職に追い込もうとするわけです。ノルマが厳しく、達成できなければ暗に辞職を迫ってくるような職場であれば、ブラック企業と言ってもよいでしょう。
自腹で購入させられることも
ブラック企業が利益最優先であることは上でも説明した通りですが、このせいでノルマを達成できない社員に対し、自腹で購入を迫るケースも見られます。具体的な例としては、アパレルメーカーで自社製品の購入を強いられたり、居酒屋など飲食店で商品を購入させられる、保険のノルマ未達成分を給料から引かれるといったものがあります。さらに、トラック運転手など運送業においても、荷物事故などの場合自腹での補填をさせられることがあります。こうした自腹での商品購入は、労働基準法に違反する行為です。労働基準法第24条では、従業員には給料を全額支払わなければならない旨きちんと明記されています。こうした自腹購入を強要される場合は、まずブラック企業といって間違いないでしょう。
書類等の管理がずさん
会社にはさまざまな重要書類が保管されています。顧客情報や取引先の情報などといった機密性の高い書類は、厳重に保管しなくてはなりません。しかしブラック企業の場合、こうした秘密文書を含めた書類全体の管理が、ずさんになりがちな傾向があります。外部流出を避けるべき書類が、誰の目にも触れるような場所に置いてあったり、他の文書に紛れて重要な書類を紛失してしまうというケースも見られます。こうした書類管理のずさんな会社は、コンプライアンスの意識もあまり高くありません。顧客情報をいいかげんに扱ったり、従業員の個人情報に対しても適当な扱いになりがちです。ですから面接の際などは、オフィスの状況をそれとなくチェックしてみましょう。もしもあちこちに書類が散乱しているようであれば、ブラック企業の疑いがあります。
近隣の評判も悪い
ブラック企業は近隣の住民や、地域全体からの評判が悪いということも多くなっています。迷惑を無視した強引な営業や、家に何度も押し掛けるといったケースもあるため、周りの住民から良く思われないことも少なくありません。また、ブラック企業は職場の雰囲気が殺伐としており、社員同士の仲が悪いという特徴もあります。こうした空気は周囲にも伝わりますから、ますます近隣から嫌がられることになります。夜遅くまで騒がしく働いている、しょっちゅう罵声が聞こえる、周囲にタバコの吸い殻などのゴミが散乱しているなど、素行の悪さが周囲から伝わってくるようであれば、ブラック企業の疑いが強いと言えるでしょう。
過労死や自殺者を出している
「ブラック企業ではうつやノイローゼになる人が多い」ということは前に見ましたが、最悪の場合死に追いやられることもあります。過労死のニュースは毎年のように話題となっていますが、実際のところ、過酷な労働を強いられた結果死に至るというケースは珍しくありません。毎月の残業時間が200時間を超えるなど、限度を超えた労働のために心臓や脳に負担がかかり、心筋梗塞や脳梗塞、くも膜下出血といった疾患で命を落としてしまいます。例え死を免れたとしても、後遺症が残ってしまうケースも少なくありません。また、過労が原因での死亡には、自殺のケースも含まれます。過労自殺についても近年話題になることが多く、深刻な社会問題として扱われるようになっています。社員に過労死や過労自殺を遂げた人がいる場合、ブラック企業といったよいでしょう。
短期間で管理職になる
「名ばかり管理職」というのは、近年よく耳にする言葉ですが、ブラック企業ではこうした手法を用いてコストを削減することが多くなっています。前述のように、会社は労働者に対し、残業した分の給料を支払う義務があります。それに対し管理職は、労働基準法では「管理監督者」に当たり、残業代を支払う必要がないとされています。この点を利用して、ブラック企業は入社間もない社員を無理やり管理職として登用し、残業代の支払いを免れようとするわけです。実際には権限はほとんどないにもかかわらず、管理職の肩書を与えられている場合は名ばかり管理職に当たります。これは単に長時間労働をさせやすくするためのトリックにすぎず、こうした手法を取る会社は、限りなくブラックであると言ってよいでしょう。
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