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まとめ

面白い!ユニークな条例16選

面白い!ユニークな条例16選

面白い!ユニークな条例

「条例」とは、市や町などの地方公共団体が、自治立法権に基づいて決める独自の法規のことです。「青少年保護条例」や「公害防止条例」といったものがよく知られていますが、実はそうした一般的なものだけではなく、一風変わったユニークな条例を制定するケースも全国にはたくさんあります。そのような条例には、各地方に特有の問題などが関係していることが多く、それについて知ることで、さまざまな興味深い事情を学ぶことができます。

本記事では、そうした日本全国の面白い条例をいくつか集めて紹介してみました。

牛乳で乾杯条例(北海道標津郡中標津町)

牛乳で乾杯条例(北海道標津郡中標津町)

全国の面白い条例、1つ目は、北海道標津郡中標津町の「牛乳で乾杯条例」です。正式な名称は、「中標津町牛乳消費拡大応援条例」になります。

中標津町は酪農を基幹産業として発展してきた町で、この条例は同地域で生産された良質な牛乳のことを、広く町民にアピールする目的で制定されました。会食等の乾杯が行われる場面に際して、「1杯目の乾杯は地場産牛乳で」を合言葉として掲げることから、この通称で呼ばれています。

条例の施行後は、実際に町のお祭りなどにおいて、乾杯の場面で牛乳を掲げる人が続出しているようです。

朝ごはん条例(青森県鶴田町)

朝ごはん条例(青森県鶴田町)

続いてのユニークな条例は、青森県鶴田町の「朝ごはん条例」です。こちらは、「ごはんを中心とした食生活の改善」などの基本方針に基づいて、町民の健康や長寿を目指そうという趣旨の条例になります。

この条例が制定されたきっかけは、平成12年に町の平均寿命が男女ともに全国平均を下回ったことにあります。さらに、全児童の1割強が朝食を食べないなど食生活の乱れが明らかになったこともあって、町民の長寿や子供たちの健康のために、正しい食習慣を身につける重要さが注目されるようになりました。

平成16年4月の施行後、学校給食ではパンや麺類が全面廃止され、代わりに保温ジャーを導入して温かいごはんを提供するなどの取り組みが行われています。

ネット・ゲーム依存症対策条例(香川県)

ネット・ゲーム依存症対策条例(香川県)

続いて紹介するのは、香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」です。こちらは2020年4月1日に施行された、県民のインターネットとコンピューターゲームの利用時間を規制する条例になります。

対象となるのは18歳未満の未成年で、ゲームの利用時間は1日60分、休日は90分までと定めています。一方、スマートフォンの利用は中学生以下が21時までで、それ以外は22時までという目安を設けています。

学習目的の利用を例外として認めたり、違反しても罰則がないなど、実効性はそれほど高いとは言えません。また一部では、プライバシー権に対する不当な干渉などの問題も指摘されています。

福祉給付制度適正化条例(兵庫県小野市)

福祉給付制度適正化条例(兵庫県小野市)

全国のユニークな条例、4つ目は、兵庫県小野市の「福祉給付制度適正化条例」です。こちらは、生活保護や児童扶養手当の不正受給・浪費などの問題を防ぐことを目的として制定され、2013年4月1日に施行されました。

この条例の一番の特徴は、市民に対し、問題のある受給者についての情報提供を求めている点にあります。具体的には、給付金をギャンブルなどの遊興に費やしたり、偽りなどの不正な手段で受給していると疑われるケースについての情報提供が呼び掛けられています。

しかし、これに関しても、プライバシーの侵害であって憲法13条に違反すとする意見が一部で上がっています。

サル餌付け禁止条例(栃木県日光市)

サル餌付け禁止条例(栃木県日光市)

5つ目に紹介するのは、栃木県日光市の「サル餌付け禁止条例」です。こちらは文字通り、野生のサルに対する餌やりを禁止する条例で、平成27年6月5日に施行されました。

条例制定の背景にあるのが、サルへの餌付けが原因での、人間側の被害の多発です。サルが観光客などから餌をもらうことで野生を失い、人に噛みついたり、人家へ侵入するなどのケースは全国で起きていますが、日光市の被害も深刻なものでした。

条例によって餌やりを禁じることで、サルを本来の野生状態に戻らせて、人間との適正な距離を保とうとする狙いがあります。

「食べてだあこ」名張のお菓子でおもてなし条例(三重県名張市)

「食べてだあこ」名張のお菓子でおもてなし条例(三重県名張市)

こちらは三重県名張市で2016年12月から施行されている、菓子産業の振興とPRを目的とした条例です。「食べてだあご」とは、「食べてください」という意味の地元の方言になります。

名張市は、古くは関西と伊勢神宮を結ぶ宿場町として栄えており、旅人をお茶やお菓子でもてなしたという歴史を持っています。名産品としてはせんべいの「かたやき」や「丁稚ようかん」などがあり、条例の施行によって、こうしたお菓子の魅力を伝えるための施策を講じるとしています。

梅干しでおにぎり条例(和歌山県みなべ町)

梅干しでおにぎり条例(和歌山県みなべ町)

続いて紹介する面白い条例は、和歌山県みなべ町の「梅干しでおにぎり条例」です。こちらは全国初の、梅干しを使ったおにぎりを奨励する条例になります。

みなべ町の特産品は紀州南高梅ですが、全国の梅干しの購入量は、ピーク時の2002年に比べて3割ほど落ち込んでいます。同条例はこうした状況を受け、紀州南高梅を使ったおにぎりや梅の製品の普及を目的として提案され、平成26年9月26日に町議会で可決、翌10月に施行されました。
条例制定後は、町立小中学校において給食時間に、子供たちが梅干しおにぎりを自分で作って食べるなどの取り組みが行われています。

子どもたちのポケットに夢がいっぱい、そんな笑顔を忘れない古都人吉応援団条例(熊本県人吉市)

子どもたちのポケットに夢がいっぱい、そんな笑顔を忘れない古都人吉応援団条例(熊本県人吉市)

こちらの条例は、いわゆる「ふるさと納税」に関するもので、平成20年10月1日に施行されました。

制定の目的は、「人吉市のまちづくりに賛同する市民などによる寄付金を財源とし、これらの人々の意向を反映した政策の実施により、さまざまな人々の協働による個性豊かで夢と活力のあるまちづくりとふるさとづくりに資すること」であるとしています。

特徴的なのは条例に付された前文で、「人吉をふるさとだと思っていただいているすべての方々に伝えたい」という導入から、詩的な文章が5段に渡って書き連ねられています。

京都市清酒の普及の促進に関する条例(京都府京都市)

京都市清酒の普及の促進に関する条例(京都府京都市)

こちらは京都府京都市で平成25年1月15日から施行されている、清酒普及のための条例になります。「乾杯条例」と呼ばれる類のもので、主に乾杯の際に地域特産の清酒を用いることを推奨しています。

京都は日本有数の日本酒の産地として知られますが、その京都から清酒による乾杯の習慣を広めることにより、清酒の普及を通してさまざまな伝統産業のすばらしさを見つめなおし、ひいては日本文化の理解の促進に寄与することを目的としています。

光害防止条例(岡山県美星町)

光害防止条例(岡山県美星町)

続いてのユニークな条例は、岡山県美星町の「光害防止条例」です。こちらは夜間の人工光の抑制によって美しい星空を守るための条例で、1989年に制定されました。

美星町は高原地帯にある「星の郷」を謳う町で、鎌倉時代には3つの流れ星が落ちたとの伝説も残っています。同条例では、夜10時以降の屋外照明の消灯促進や、光害防止対策費用の補助措置などが定められています。

こうした取り組みが評価されたことで、美星町は2021年11月に、国際認証制度である「星空保護区」に認定されています。

りんごまるかじり条例(青森県北津軽郡板柳町)

りんごまるかじり条例(青森県北津軽郡板柳町)

こちらの条例の正式名称は、「りんごの生産における安全性の確保と生産者情報の管理によるりんごの普及促進を図る条例」になります。消費者が安全なりんごを食べられるシステムを整備することで、りんごの普及促進を図ろうという趣旨の条例となっています。

条例制定のきっかけとなったのが、2002年に話題となった「無登録農薬問題」です。農薬取締法に登録されていない農薬を使用したとして、当時りんごのイメージが大きく傷つきましたが、この条例はその克服のために作られました。

同条例の制定により、消費者は生産者の情報や、生産過程の適切さなどをチェックできるようになっています。

雪となかよく暮らす条例(秋田県横手市)

雪となかよく暮らす条例(秋田県横手市)

全国のユニークな条例、続いて紹介するのは、秋田県横手市の「雪となかよく暮らす条例」です。

こちらの条例は、暮らしにうるおいを与える自然の恵みとして雪を積極的に受け入れ、魅力的な雪国を創ることを目的として制定されました。条例に基づいて設置された市民委員会が、雪を利用した生活や、雪に強いまちづくりに関することなど、さまざまな提案を行っています。

また横手市では、独創的な雪国の暮らしを創意工夫する個人や団体を、「雪国マイスター」として表彰・認定する取り組みも行っています。

静岡市めざせ茶どころ日本一条例(静岡県静岡市)

静岡市めざせ茶どころ日本一条例(静岡県静岡市)

こちらは、静岡のお茶に関する産業の振興および市民の豊かで健康的な生活の向上を図ることを目的とした条例になります。平成21年4月1日に施行されました。

静岡市では、古くから「養生の仙薬」と呼ばれるお茶の栽培が盛んでしたが、近年は生活様式の変化などもあり、お茶を取り巻く環境が厳しさを増しています。この条例は、こうした危機的な状況に対し、静岡市を日本一の茶どころとして育て次代に引き継ごうとする狙いで制定されました。

具体的な施策としては、「茶どころ日本一計画」の策定や、「お茶の日」の制定などが行われています。

留萌市かずの子条例(北海道留萌市)

留萌市かずの子条例(北海道留萌市)

「留萌市かずの子条例」は、かずの子の消費拡大と地産地消の推進、地域経済の活性化などを目的とした条例です。平成28年9月の定例会で可決・制定されました。

留萌市は、ニシンの加工技術を活かした水産加工品の生産が昔から盛んで、特に「塩かずの子」は、国内シェアの50%を占めています。同条例は、この留萌のかずの子を全国にアピールするために作られました。かずの子の普及や消費を積極的に行うよう、議会や市民の役割について定めています。

またこれに関連し、毎年5月5日の「かずの子の日」にかかわるイベントを地域の公園などで行うといった取り組みも実施されています。

あついぞ! 熊谷お祭り条例(埼玉県熊谷市)

あついぞ! 熊谷お祭り条例(埼玉県熊谷市)

埼玉県熊谷市の「あついぞ! 熊谷お祭り条例」は、平成26年6月定例会に提出され全会一致で可決、同年7月1日に施行されました。熊谷市の祭りや伝統行事を次世代に引き継ぎ、魅力あるふるさとの活性化に資するという目的があります。

熊谷市は2007年8月16日に当時の日本最高気温である40.9℃を記録し、「暑いまち」として知られることから、その暑さを気持ちの熱さにつなげる意味合いでこの名称が付けられました。同条例では、市民、事業者、市に祭りへの参加や協力が促されています。

トマトで健康づくり条例(愛知県東海市)

トマトで健康づくり条例(愛知県東海市)

日本全国の面白い条例、最後は愛知県東海市の「トマトで健康づくり条例」です。こちらは、市民の健康づくりに対する意識の向上と健康の増進に寄与することを目的として制定されました。

なぜ「トマト」なのかと言うと、東海市がカゴメ株式会社と深いつながりを持つことに由来しています。東海市の名誉市民でもある蟹江一太郎氏は、明治32年に荒尾町でトマトの栽培に挑戦し、発芽を見たことでカゴメ株式会社が始まりました。

同条例の制定により、毎月10日を「トマトの日」と定めて、トマトを活用した健康づくりへの関心強化といった取り組みが推進されています。

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