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マーケティング

1秒に○個売れているとは?計算や実例・心理効果

1秒に○個売れているとは?計算や実例・心理効果

「キャッチコピー」は、マーケティングにおいて非常に重要な位置を占める要素です。どういった言い回しをするかで、商品・サービスの売れ行きも大きく左右されますが、最近よく見るコピーの形式に、「1秒に○個売れている」というものがあります。さまざまな商品の紹介で目を引くこの表現は、一体どういう特徴を持つのでしょうか。詳しい仕掛けなどが知りたいところです。

本記事では、「1秒に○個売れている」というコピーの計算式や実例、含まれる心理効果について解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

計算式

「1秒に○個売れている」という表現は、どのような計算に基づいたものなのでしょうか。具体的な式で見てみましょう。

たとえば、「1日で1秒に1個売れている」というキャッチコピーの商品があるとします。このコピーが成り立つ場合の単純な式は、

86,400秒(1日)×1個=86,400個

ということになり、1日に86,400個の商品が売れている計算となります。
つまり、「1日で1秒に2個売れている」といった場合には

86,400秒(1日)×2個=172,800個

となります。

また、「1週間で1秒に1個売れた」という場合は、

604,800秒(1週間)×1個=604,800個

となり、単純にみると、1週間に604,800個の商品が売れていることになります。

さらに「1ヶ月で1秒に1個売れている」「1年で1秒に1個売れている」の場合には

2,592,000秒(1ヶ月:30日間)×1個=2,592,000個

31,536,000秒(1年:365日)×1個=31,536,000個

となります。

実例

さまざまな分野の商品で見かける「1秒に○個売れている」というキャッチコピーですが、具体的な使用例としてはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、「1秒に○個売れている」を実際にコピーとして使用している商品の例を、いくつか取り上げてみました。

ファミリーマートの「ファミから」

コンビニチェーンのファミリーマートでは、2022年5月31日から新商品の唐揚げ「ファミから」を発売しました。これが6月6日までの1週間で、累計販売数540万個を突破したということで、「1秒に約9個売れています」という文句を添えたプレスリリースを発表しています。

ファミリーマート

ロッテ「のど飴シリーズ」

続いての例は、ロッテの「のど飴」です。1985年に販売開始された商品で、2022年6月現在で6種類がラインナップされています。新商品発売のタイミングで出されたプレスリリース(2021年10月5日)において、やはり「1秒に1個売れているロッテのど飴シリーズ」と紹介されています。

ロッテ

ファミリーマートの「ファミチキ」

こちらもファミリーマートの商品で、フライドチキンの「ファミチキ」です。ファミリーマートの看板商品として知られており、2020年の10月には、販売開始から15周年を迎えました。2020年6月30日のプレスリリースでは、「1秒に約3.5個売れてます」と紹介されています。

ファミリーマート

心理効果

上で見た通り、「1秒に○個売れている」というコピーはあちこちで使われていますが、これが多用されるのは、消費者に与える心理効果が大きいためです。以下の項目では、このコピーに含まれるいくつかの心理学的な効果について解説していきましょう。

バンドワゴン効果

「1秒に○個売れている」という表現が持つ心理効果の1つに、「バンドワゴン効果」と呼ばれるものがあります。

「バンドワゴン効果」とは、「多数がある1つの選択肢を選ぶ状況がある場合、それがさらに同じ選択肢を選ぶ者を増やす効果」のことです。言い換えると、「人は“大勢に選ばれている”という印象を持つものほど、選んでしまいやすい」ということを表します。1つの流行が生まれると、同じものに飛びつく人が増えるのは、この心理に由来しています。

「1秒に○個売れている」という表現は、「大勢に選ばれている」というイメージを与える上で大きな効果があるため、コピーとして多用されると考えられます。

アンカリング効果

もう1つの心理効果は、「アンカリング効果」です。

これは「認知バイアス」の一種として知られるもので、最初に与えられた数字を意思決定の基準としてしまう心理効果を指します。たとえば通常価格1,000円とされている商品があり、同じ商品について「通常価格30%オフ」の700円の値段が提示されると、後者の方が断然お得に感じられます。実際には、700円がその商品の適正価格という可能性もあるのに、そう考える人はそれほど多くないのが実情です。

「1秒に○個売れている」というコピーも、決して実際の売れ行きの良さや、商品の優位性を保証するものではありません。しかし、これを最初に提示することで、消費者の意思決定に強い影響を与える効果が得られます。

フレーミング効果

3つ目に挙げられるのが、「フレーミング効果」です。こちらは、ある問題のどの部分を強調して表現するかでその問題に対する印象が変わり、意思決定が影響されてしまう効果を指します。

以下のような2つの文章を例に取ってみましょう。

「この薬は、80%の人に効果があります」

「この薬は、20%の人には効果がありません」

2つの文は、同じ事実を切り口を変えて表現しただけのものですが、互いから受ける印象は全く異なります。

「1秒に○個売れている」という表現も、単に「△月△日~×月×日までの間に□□個売れた」と表現するのとは、まったく異なる印象を与えることができます。後者より格段に「売れている」印象が強くなり、消費者の購買意欲を引き出しやすくなります。

1秒に○個売れているとは?計算や実例・心理効果

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