社会人のためのビジネス情報マガジン

  • フェイスブック
  • ツイッター
  • RSS

ビジネス用語

「M&A」「合併」「買収」の違い

「M&A」「合併」「買収」の違い

監修者

弁護士:村岡つばさ(よつば総合法律事務所千葉事務所)

よつば総合法律事務所千葉事務所

弁護士 村岡つばさ

よつば総合法律事務所の弁護士の村岡と申します。日常生活や会社を運営する中で気になる法律の問題を分かりやすく解説します。

「M&A」「合併」「買収」の違いとは

「A社がB社のM&Aを考えている」「A社とB社が合併した」「B社が大手のA社に買収された」等、ビジネス関連のニュースやドラマで、「M&A」「合併」「買収」等の単語を耳にすることは多いです。
金融機関や証券会社にお勤めの方や、M&Aの仲介会社にお勤めの方は、これらの単語の正確な意味を理解されておりますが、それ以外の方は、耳にしたことはあるけど、正確な意味は分からない、という方も多いかと思います。

そこで今回は、「M&A」「合併」「買収」という3つの言葉について、その意味や違いを説明していきたいと思います。

M&Aとは

M&Aとは、「Mergers and Acquisitions」の略語です。Mergersとは「合併」を意味する英語で、一方のAcquisitionsは、「買収」を意味しています。つまりM&Aは、「合併と買収」という意味の英語を略したものになります。
このように、M&Aは企業が他の企業と合併したり、あるいは他の企業を買収することを指しています。また、これに加えて、会社を「分割」することも、M&Aの一種に含まれます。

「合併」「買収」といっても様々な手法があります。
例えば、「合併」には、吸収合併と呼ばれるものと、新設合併と呼ばれるものとがあります。
また、「買収」の手法としては、株式を買い受けるケース(株式譲渡)もあれば、事業そのものを買い受けるケース(事業譲渡)もあります。
そのため、「A社とB社がM&Aする」というフレーズ1つを取っても、様々な場合が想定されるので、少し注意が必要です。

なお、M&Aにはいろいろなメリットがあります。
例えば、株式譲渡の場面で見ると、株式を譲渡する側(売主)としては、会社の価値に応じて金銭等を受領することができますし、後継者問題を解消することもできます。また、株式を買い受ける側(買主)としては、その会社の経営権を取得できるので、1から会社を作るのではなく、既に出来上がった会社をそのまま経営できるというメリットがあります。
ただし、M&A後に、買主・売主との間でトラブルとなってしまうことも珍しくありません。

合併と買収との違いについては、以下で見ていきましょう。

合併とは

合併とは、複数の会社が1つになることを意味する言葉です。
それまで個々に独立して経営されていた2つ以上の会社が、1つに統合されることを意味します。会社の統合によるシナジー効果や、会社規模の拡大によるスケールメリットを得ること等を目的に、合併が行われることが多いです。

先に見た通り、「合併」には、吸収合併と呼ばれるものと、新設合併と呼ばれるものとがあります。
吸収合併とは、その名の通り、ある会社が他社を「吸収」する形で合併するものです。例えば、A社がB社を吸収する形で合併する場合、A社は規模を拡大する形で会社自体が存続しますが(存続会社と言います)、吸収されるB社は会社自体が無くなります(消滅会社といいます)。
他方、新設合併とは、新しい会社を「新設」する形で合併するものです。例えば、A社とB社が合併して、新たにC社を作る場合です。この場合、A社、B社は、いずれも会社自体が無くなることとなります。

買収とは

買収とは、一方の会社が他方の会社の経営権や事業を取得することをいいます。
先に見た通り、株式を買い受けるケース(株式譲渡)もあれば、事業そのものを買い受けるケース(事業譲渡)もあります。
先に見た合併とは手続やメリット等も異なりますが、一番違うのは、「消滅する会社があるか」という点です。合併の場合、吸収合併でも新設合併でも、会社の消滅を伴います。他方、買収の場合、株式譲渡でも事業譲渡でも、会社自体は(どちらも)そのまま残ります。

「M&A」「合併」「買収」の違い

この記事が気に入ったら いいね!しよう

最新の情報をお届けします