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最終更新日:2021-03-10

「リリーフ経営者 紹介します!」 人材難に悩む企業を救う人材バンク立上げ

  • 2012/10/01
  • 2021/03/10
「リリーフ経営者 紹介します!」 人材難に悩む企業を救う人材バンク立上げ

一般社団法人 日本中継ぎ経営者協会
理事長 皆木和義氏

経営者の急病などでトップ不在になった中小企業に、短期間だけ経営を任せる人材を紹介する、一般社団法人「日本中継ぎ経営者協会」がこのほど発足した。
税理士や公認会計士、中小企業診断士、企業経営者経験者らをトップ候補として常時登録させ、人材を紹介。
トップ不在時に限らず、一時的に外部から経営者を受け入れて次の経営者を育成したい企業や、事業を拡大したいけど子会社の経営を担う人が不足している企業などの利用も想定している。
話題性のある新事業の内容と将来性はいかに・・・

事業を立ち上げたきっかけは。

大学生時代から経営に関心があり、在学中に財界の官房長官と呼ばれた名経営者の故今里廣記日本精工元会長に師事、経営・リーダーシップ等を研鑽して参りました。
その後、コンサルタントとして企業の成長戦略、企業再生、事業承継、ベンチャー育成など、様々な角度から活動を続けてきました。
その中で、現経営者以外に経営をかじ取りできる人材に乏しい中小企業においては、経営者の後を継ぐ人材の実力不足で、会社が立ち行かなくなるといった最悪のケースを目の当たりにすることもありました。

こうした状況を、野球に例えればリリーフとしてしっかり抑えに繋ぐという中継ぎ的な存在の経営者がいたら、経営者も安心できるのではないかと。
自ら「中継ぎ役」としてハードオフコーポレーションの社長を9ヵ月間務めた2007年当時、そうした想いを強く抱くようになりました。
そこで、仲間のコンサルタントからの応援もあり、自分のライフワークとして、このビジネスアイデアの事業化を考えたわけです。

その後、およそ2年~3年かけてプランを練り、同志を募ってこの9月に一般社団法人「日本中継ぎ経営者協会」として、正式に船出しました。

なるほど。ご自身の中継ぎ経営者としての経験が事業のヒントになったと。

中継ぎ経営者とはどうあるべきかを深く考える、いい経験になりましたね。
多くの企業や経営者との交流等を通じて、良き経営者による素晴らしい経営のバトンリレーこそが、企業の永続的発展を実現させるキーになると確信しました。
万が一、良き経営や事業承継のバトンが上手く渡せず、途絶えたり混乱するような事態が起こると、経済や地域の損失に留まらず、ひいては国家的損失にもつながる重要なことでもあるわけです。

中小零細の同族企業においては、若い後継者がいても現社長との間で世代が開きすぎているパターンが結構存在するものです。
私どもの協会が、世代間を埋めるリリーフ的な経営者を求める企業のお助け役になり、また、中小企業の経営のセーフティーネットとなり、安心して経営のかじ取りをサポートするための人材の供給を行うことで、中継ぎ経営者というマーケットが日本に徐々に定着していけばいいと考えています。

新しい視点での事業展開として、早くも反響で出ていますね。

実に有難いことで、発足早々、中堅企業などから事業に関するお問い合わせを頂戴しています。
「中継ぎ経営者」を紹介する仕組みはもちろん、後継者のナンバー2、ナンバー3といった経験感覚に優れる良い人材を紹介して欲しいといったご相談も受けています。
当初から急病などによる短期間の「リリーフ経営者像」は想定していましたが、経営をバトンタッチできる後継者の右腕、左腕を求めている企業ニーズというのは、まさに想定外でした。

人材バンクというスタイルで運営する新事業。紹介はどんな流れで行われるのでしょうか。

一般社団法人 日本中継ぎ経営者協会
理事長 皆木和義氏

そういうイメージに捉われやすいですが、当協会は人材紹介やヘッドハンティングの会社ではありません。
「中継ぎ経営者」を希望する企業様から、電話あるいは協会のホームページを通じてお問い合せがあった場合、中継ぎ役に必要な経験や待遇などの諸条件について綿密に相談の上、方向性を決定します。
希望条件に合う候補者がいれば、企業に迎い入れてもらう。その人材の供給方法ですが、税理士や公認会計士、中小企業診断士、企業経営経験者など、常時約100人規模のトップ候補者を協会に会員登録してもらいます。
会員登録者は、厳正な審査を実施した上で決定され、人材の供給は基本的にその厳選された登録者の中から行う予定です。

また、中継ぎの期間ですが、ケースバイケースで一般的には1年間くらいが多いのではないでしょうか。
若手の後継者が外部で修行している場合などのように、“ロングリリーフ”になる場合も想定されます。

「中継ぎ経営者」の候補人材が、税理士、公認会計士というのは頷ける話ですが…

公認会計士で税理士登録されている方や税理士法人の補助税理士など、すでに登録されている方もおられます。
企業のホームドクターのような存在で、経営指導を行われておられる先生方ですから、現経営者とすでに信頼関係があり、適切な経営を行えるのではないかという点で、優れた適任者と言えます。
ただ、経営知識が有能な税理士であっても、経営者として優秀かどうかは何とも言えないところでもありますので、協会は優能な経営人材を育てていくインフラ、プラットフォームになればいいと。
そして、登録者らが活躍できる場面をご提供していくことが協会の役目でもあります。

経営に関する知識や知恵を利益に変えていく。そうした観点が強く求められます。

おっしゃる通りです。
それに加え、人を動かすいわゆる“人間力”も備わって欲しいですね。
中継ぎ経営者の条件はいくつかありますが、私心をなくして職責を全うして頂ける方が理想です。

ところで、気になる企業が支払う報酬の形態と税理士らの登録料については?

いろいろなパターンが考えられますが、大きくは二つです。
一つは依頼企業と協会がトータルで業務委託を結んで報酬を支払って頂くケース。
これについては、協会と登録会員が依頼企業へ定期的にコンサルティングを実施して、順次バトンタッチしていく。
もう一つは、中継ぎ候補者と依頼企業がダイレクトに契約してもらうケースです。

一方、税理士ら個人の方が会員登録する際には、入会金5万円、年会費3万円と、極力リーズナブルな価格設定としました。

今後の展開についてはいかがですか。

正直なところ、ものすごい利益をあげられるようなビジネスではないと思いますので、社会貢献の志の高い方々からの賛同を待っています。
既に全国からオファーが来ていますので、まずは、公募による登録会員の募集を行い、当初のコアメンバーを50名程度早急に集めたい。
たとえ経営経験が“初心者マーク”の税理士の先生方でも、協会が実施する「セットアップマネージャー養成講座」等で、様々な経営に関する研鑽を積んで頂き、経営感覚や経営能力のレベルアップを図ってもらいたい。
同志的な立場で参画していただき、事業承継や後継者育成など、企業が直面する様々な経営課題に対して、ワンポイントでもいいから悩める企業を救う指導力を発揮してもらいたいと思います。

一般社団法人 日本中継ぎ経営者協会
理事長 皆木和義氏

「リリーフ経営者 紹介します!」 人材難に悩む企業を救う人材バンク立上げ

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