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最終更新日:2021-03-25

ハローワークでの職員採用、応募者が増えるテクニック大公開

  • 2021/03/25
ハローワークでの職員採用、応募者が増えるテクニック大公開

職員の採用でハローワークに求人票を作成する際に、求人票の書き方(見せ方)を工夫するだけで、応募者を増やすことができる。そこで、会計事務所向け人事労務相談サービスを展開する「スポット社労士くん社会保険労務士法人」に、注意すべきポイントや表現のテクニックなどについて解説してもらった。

1.ハローワークはこう使え

ハローワークは人がこないという求人企業のお決まりのパターンはこうです。従業員が欠員したので慌ててハローワークに行き、職員の言う通りに杓子定規な求人票を作成して後はほったらかし。結果、応募者はないか、あっても期待通りの応募者ではありません。やはりハローワークは求人媒体として使えないのでしょうか。

(1)急募から通年採用へ

従業員の突然の退職、独立は予測できません。辞める従業員と同じレベルの人材をすぐに雇いたいと、その時点で急な求人をしても、タイミング良くいい人材を採用できるとは限りません、それどころかほぼ不可能です。

よく耳にするのが、本当に欲しい人材ではなかったが欠員補充でしかたなく採用したところ、これが問題社員で、事務所を散々に引っかき回されたという話です。

採用の世界にはプラス・マイナス理論というのがあって、人手が足りているプラス状態のときはマイナス人材にすぐ気付けますが、人手が不足しているマイナス状態にあるとマイナス人材がプラスに見えて誤って採用してしまうというものです。

したがって、欠員に対して急いで募集する「急募スタイル」は絶対に避けなければならず、人手が十分なときに新しい仕事を準備して本当に欲しい人材が応募してくるのを待つ「通年採用スタイル」こそが採用の成功法則です。

弊社がハローワークの採用をお手伝いした会計事務所もご多分にもれず「急募スタイル」でしたが、まさに入れては辞めを繰り返す求人地獄に陥っていました。

(2)ハローワークの強み

一年中求人情報の掲載を継続することを考えたら、どの媒体が適切でしょうか。採用にかけられる予算があれば有料媒体も選択できますが、一般的には考えにくい話です。誰が考えても無料で掲載できるハローワークしかありません。にもかかわらず、これまで多くの企業がハローワークの強みに気付けなかったのは、その採用スタイルが「急募スタイル」だったからと考えられます。

(3)これからの採用戦略

いい人材を待つ「通年採用スタイル」を基本戦略とし、ハローワークの求人票はいつでも誰かが目にする看板みたいなものと考えましょう。いい人材を採用し、その人がしっかり定着してこそ採用が成功したといえます。そのためには、人手不足でくたびれた職場ではなく、新しく入った人を育てる余裕のある職場であることが必要です。

弊社がお手伝いした会計事務所では、「通年採用スタイル」の考え方が浸透してきました。今では、9時―5時のほぼ「No残業」の会計事務所になっています。つまり、辞める人がいなくなりました。

2.事務所の看板「求人票」の作成ポイント

世の中にはたくさんの看板があり、目立たずに見過ごしてしまう看板もあれば、「あれ何だろう?」と見る人の関心を引く印象深い看板もあります。「求人票」はまさにこうした看板です。求職者が仕事を探すときにまず見るのが、多くの求人企業が掲げている「求人票」という看板です。求職者がどの部分を見ているかを知りそれに丁寧に応えてあげることができれば、「求人票」の7割は成功したようなものです。

(1)職種

求職者は自分が希望する職種の中から企業選びを始めますが、そこにはたくさんの企業が看板を掲げています。その中から求職者が目に留めるのは、同じ並びの中にありながら他所とは異なる「職種」を記載した求人票です。

例えば、「事務」の求人票を出す会計事務所の場合であれば、以下のような具合で「職種」を記載しているケースがよく見受けられます。

会計経理事務、会計スタッフ、税理士事務所の事務、税理士業務・税理士業務補助等々ぱっと見、どれも同じように見え、スルーしてしまうのではないでしょうか。こうしたフレーズの中に次のような「職種」が混じっていたらいかがでしょうか。

コロナの時代に輝くデジタル事務、AI時代でも生き残れるMASコンサルタント

誰もが「これ何だろう?」と目が留まるはずです。まずは、「職種」で求職者の関心を引き付けるところが第一関門です。参考までに「職種」は1行28文字が使えます。 弊社がお手伝いした会計事務所では、以前は「税理士事務所の事務」としていましたが、アドバイス後は「AI時代でも生き残れるMASコンサルタント」と変更しています。

(2)仕事の内容

「職種」に目が留まった求職者は、続いて「仕事の内容」に視線が移動することになります。会計事務所でよくある「仕事の内容」は、次のような箇条書きパターンです。

  • 会計ソフトへの入力業務
  • 税務申告書作成業務
  • 決算申告業務

そんなのわかっているという内容ではないでしょうか。それでは、次のような「仕事の内容」が記載されていたらどうでしょう。

MAS(経営支援業務)を中心業務とする先進的な事務所です。経営者の意思決定に欠かせない財務・税務の情報提供と親身の提案で、経営者の成功を共に喜び、社会に貢献していることを実感できます。 

読ませる内容になっているだけでなく、「仕事の内容」から仕事に対するやりがいや意義が伝わってこないでしょうか。皆さんが優秀な人材を採用したいというときに、どちらの「仕事の内容」に反応する応募者が欲しいと思うでしょうか。このように「職種」と「仕事の内容」は求人票で一番力を入れなければいけない作成ポイントとなります。

ところが、ハローワークの窓口で担当者の方に相談すると、「たくさん書いても読まれませんよ」とか「箇条書きの方がいいですよ」と真逆のアドバイスをされます。世の中の「求人票」がどの企業も同じような作りになっているのは、ハローワークの担当者の

リーディングによるところが大きいと思われます。だからこそ、ハローワークの特徴や求人票の作成ポイントを知っている企業にとっては、他社と差別化できるチャンスがあるわけです。

弊社がお手伝いした会計事務所のアドバイス前後の「仕事の内容」が上記事例です。参考までに「仕事の内容」は、1行30文字×12行の文字数が使えます。したがって、この文字数を目一杯使って仕事の魅力を伝えることが求職者に関心を持ってもらうポイントです。なお、インターネットでの求人票の検索結果一覧では、「仕事の内容」は3行目までしか見えないので、3行目で完結させず、あえて途中で切れる形にして続きを読みたいと思わせるような工夫も腕の見せどころといえます。上手に作れば必ず詳細ページへと進んでもらえます。

(3)ホームページ、就業場所、求人に関する特記事項等

詳細ページに入ると、求職者に知ってもらいたい情報を提供できる欄がいくつかあります。まずは「ホームページ」のURLの欄です。ハローワークを看板として上手に活用している企業は、「ホームページ」の採用情報を詳細かつ魅力的に作成し、より多くの会社情報を伝えています。次に「就業場所」や「求人に関す特記事項」です。 求人票では10枚の写真を説明付きで掲載できます。「就業場所」では職場風景だけでなく、会社近くのコンビニやお勧めランチの店の写真を紹介したり、「求人に関する特記事項」では皇居ジョギング倶楽部や食事会といった余暇や会社の福利厚生制度の写真を見せたりと、入社してからの会社生活のイメージを伝えることができます。

(4)スカウト機能

新ハローワークの使い勝手という点では、「スカウト機能」も見逃せません。求人企業から特定の求職者へアプローチできる無料のサービスです。現在、全国20万人以上の登録者が登録していますが、例えば、「簿記2級」といった条件で検索をかけるとマッチした求職者を発掘することができます。この求職者をスカウトしたいときに、ハローワークから「求人票」を送ってもらえるのがスカウトサービスです。月並みな「求人票」では求職者にスルーされてしまいますが、今回説明したような差別化した「求人票」を送ることで応募確率を格段に高めることが可能になりました。

ここまで賃金や労働時間・休日について触れてきませんでしたが、会計事務所ならどこも同じような労働条件で大きな差はないと思います。実は、賃金等の労働条件は低くなければ求職者もそれほど関心を持つところではありません。どうしても賃金を決めかねる場合は、管轄ハローワークが提供する「求人・求職バランスシート」が参考になります。

採用にかけられる予算は貴重です。今こそハローワークを軸とした採用戦略を検討してみましょう。まずは会計事務所の皆さまがハローワークでの採用に成功していただくこと、そして採用に困っている顧問先に良いアドバイスをしていただけることを願っています。

スポット社労士くん

顧問料が『無料』の社労士サービスです。社会保険・労働保険の各種手続から就業規則作成、労務トラブル、助成金対応までスポット&明朗料金にてお手伝いしています。各種のお手続きは、手続きの専門チームが対応します。

スポット社労士くん社会保険労務士法人 http://spot-s.jp

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