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ビジネス知識

日本の経済損失25選

日本の経済損失

日本の経済損失

世界中を襲ったコロナ禍は、各国・地域で多くの人の命を奪っただけでなく、巨額の経済損失を生み出しました。また、東日本大震災や気候変動など様々な要因によって巨額の経済損失が発生し続けており、成長の足かせとなっています。

本記事では、そうした日本で見られる主な経済損失の例について紹介していきたいと思います。

コロナ:10兆円~50兆円

コロナ:10兆円~50兆円

コロナ禍による日本の経済損失は、経済産業省のリポートでは約30兆円以上とされます。

損失の大きな要因となったのが、移動の制限や外出の自粛による需給双方への影響です。人々が外出しなくなったことで、対面のサービスを受ける機会が減り、観光業などは大きなダメージを被りました。供給面においても、製造や販売に必要な人材が足らず、財やサービスの提供がしにくい状況が起こっています。

一方、世界全体での経済損失は、1,000兆円以上にのぼると推定されています。

https://job.mynavi.jp/career_tanq/articles/?id=85

東日本大震災:約16兆9000億円

東日本大震災:約16兆9000億円

東日本大震災による被害総額は、約16兆9000億円となっています(内閣府推計)。

損失の内訳を見ると、最も大きいのが住宅や工場などの建築物で、約10兆4000億円です。そのほか、社会基盤施設(河川や港湾など)が約2兆2000億円、農林水産関係(農地や水産関係施設)が役1兆9000億円などとなっています。

なお、推計の対象となったのは震災と津波による被害で、原発事故の影響によるものは含みません。

https://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-21870220110624
https://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr11/chr11020201.html

阪神・淡路大震災:約9.6兆円または約9.9兆円

阪神・淡路大震災:約9.6兆円または約9.9兆円

阪神・淡路大震災による日本の経済損失は、国土庁推計で約9.6兆円(兵庫県推計では約9.9兆円)とされます。

主な内訳を見ると、住宅・宅地などの建築物等の損失が約6兆3000億円(兵庫県推計約5兆8000億円)、水道・ガスなどのライフライン施設が約6千億円、河川・道路などの社会基盤施設が約2兆2000億円となっています。

https://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr11/chr11020201.html

新潟県中越地震:3兆円

新潟県中越地震:3兆円

2004年10月の新潟県中越地震による日本の経済損失は、約3兆円(新潟県推計)であるとされます。

被害額の内訳は、建築物等の損失が約7000億円、ライフライン施設が約1000億円、社会基盤施設が約1兆2000円億円、農林水産が約4000億円、中小企業の損失などが約3000円億円、その他(学校・病院施設など)が約3000億円となっています。

https://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr11/chr11020201.html

東京オリンピック無観客開催:1.4兆円

東京オリンピック無観客開催:1.4兆円

2020年開催の無観客での東京オリンピックによる日本の経済損失は、1.4兆円にのぼると推計されています。

損失で最も影響が大きかったのが、観戦客のチケット収入や移動・飲食・宿泊などの消費の消失です。観戦客がいなくなったことで、900億円ほどのチケット収入が消えたとされます。さらに試算では、観戦客なしでのオリンピック開催によるGDP押し上げ効果は、約0.3兆円ほどにまで縮小したという結果が出ています。

https://www.tokyoupdates.metro.tokyo.lg.jp/post-581/

南海トラフ巨大地震:220兆円

南海トラフ巨大地震:220兆円

太平洋「南海トラフ」を震源とする巨大地震による想定被害額は、最大で220兆円にのぼると見られています。

これは内閣府の専門家作業部会の試算です。想定される被害額の内訳は、直接被害が169兆5000円億円(うち民間部門約148兆4000億円)、間接被害(生産・サービス停止の影響)が約44兆7000億円となっています。

https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1802L_Y3A310C1000000/

気候変動:95兆円(世界:約2360兆円)

気候変動:95兆円

デロイト・トーマツ・グループの作成した報告書によると、気候変動に対処しないままの場合に日本が被る経済損失は、95兆円とのことです。

同報告書では、このまま炭素排出の大幅な削減を実行に移さない場合、2070年までに地球温暖化は平均3℃進むとされています。セクターごとの内訳では、サービス業で41兆円の損失、製造業で17兆円の損失、小売業・観光業で15兆円の損失となっています。

一方、1990年代初めから現在までに気候変動が世界経済へ与えた損失は、約2360兆円にのぼるとされます(科学誌「Science Advances」掲載の研究)。

https://bizzine.jp/article/detail/6682
https://forbesjapan.com/articles/detail/51535

渋滞:年間12兆円

渋滞:年間12兆円

国土交通省の計算によると、全国で年間に発生する渋滞損失は、約38.1億時間とのことです。

これは1人あたり年間30時間の時間損失であり、日本全体の経済損失に換算すると、約12兆円にのぼります。交通集中による渋滞は、サグ部(下りから上りにかかる時の凹部分)や長い上り坂で起こりやすく、個々のドライバーのスピード調節で避けやすくなるとされます。

https://www.webcartop.jp/2020/10/595043/

片頭痛:年間推定2兆円

片頭痛:年間推定2兆円

片頭痛の問題を抱える人は、日本全国に約840万人いるとされています。このうち72%が日常生活に支障をきたす状態にあり、経済活動にも影響を与えています。

埼玉国際頭痛センターのセンター長がある会社で行った調査では、片頭痛による1人あたりの経済損失は年間25万円、会社全体で64億円の損失となったとのことです。
また、日本全体での経済損失は、年間2兆円にのぼるとの推計もあります。

https://president.jp/articles/-/52432

出産退職:1.2兆円

出産退職:1.2兆円

株式会社第一生命経済研究所がまとめた政策提言によると、2017年における出産退職者数は20万人で、これによる所得減は6350億円にのぼります。

企業活動の付加価値の減少分で計算した場合、経済損失は1兆1741億円になります。
さらに、正社員が60歳まで就業した場合と比較すると、12.1兆円の機会費用が失われる計算となります。

https://www.dlri.co.jp/pdf/ld/2018/news1808.pdf

不妊治療退職:1345億円

不妊治療退職:1345億円

「NPO法人Fine(ファイン)」は、2020年にまとめた政策提言の中で、「不妊退職の経済損失」の試算を行っています。

それによると、不妊退職による損失(企業活動の付加価値の減少分)は1345億3363万円にのぼるとされます。
さらに、退職者に費やした育成費用と、新規採用とその育成費用を加えると、損失は2083憶271万円に達するとの試算もあります。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55914180R20C20A2000000/

冬眠人脈:120億円/企業

冬眠人脈:120億円/企業

日本国内で年間に流通する名刺の数は、およそ22億枚であるとされます。しかし、名刺交換で活用される人脈はその一部で、実際は61%の人脈が未活用の状態にあると見られています。

この冬眠状態の人脈を1企業あたりの経済損失に換算すると、約120億円にのぼるとのことです。
業種別に見た場合、経済損失が大きい順番は、「製造業」「卸売業・小売業」「医療・福祉」「建設業」「運輸業・郵便業」となります。

https://www.manegy.com/news/detail/632/

社員の不健康:年間2.4億円

社員の不健康:年間2.4億円

「株式会社エイテック」が全社員に対して行った調査に基づく試算によると、社員の不健康状態(体の痛みや睡眠不調など)に起因する生産性低下による経済損失の額は、会社全体で年間2.4億円(社員1人あたり約200万円)にのぼるとのことでした。

同社ではこうした不健康状態を解消するため、運動・睡眠・食事の改善にアプローチする健康増進アクションプランを策定するなどの取り組みを行っています。

https://www.kk-atec.jp/blog/2019/04/786/

DXの遅れ:年間12兆円

DXの遅れ:年間12兆円

経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」によると、日本企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れを放置したままの場合、「市場の変化に対応できずデジタル競争の敗者になる」「システムの維持管理費が高額化する」などの経営面の損失が続くと予想しています。

それによる経済損失は、2025年には最大で12兆円にまで達するとされます。

https://souken.shikigaku.jp/4333/

インフルエンザ:6,628億263万円

インフルエンザ:6,628億263万円

関西大学の宮本勝浩名誉教授は、2019年に「インフルエンザによるマイナスの経済効果」について発表しています。
これはインフルエンザの治療費や、罹患した子供の世話で親が仕事を休むことによる収入減、国や自治体の公的負担などの費用を分析したもので、合計で6628億263万円の経済損失になると推定しています。

このように日本全体への影響が大きいことから、同教授はインフルエンザを流行させないための予防の重要性を訴えています。

https://resemom.jp/article/2019/11/28/53578.html

睡眠不足:年間15兆円

睡眠不足:年間15兆円

日本人の睡眠時間は世界的に見てかなり少ないことが知られますが、米シンクタンクの調査によると、日本人の睡眠不足を原因とする経済損失は、GDPあたり約3%(15兆円)にのぼるとのことです。

これは、先進5ヵ国(アメリカ、フランス、ドイツ、日本、英国)の中で最悪の数値にあたります。逆に言うと、日本が睡眠不足の問題を改善すれば、3%のプラス成長が見込めることになります。

https://dot.asahi.com/aera/2023020900102.html?page=1

ビジネスケアラー(働きながら介護する人)9兆1792億円

ビジネスケアラー(働きながら介護する人)9兆1792億円

仕事をしながら家族を介護する「ビジネスケアラー」が増加しており、この問題を放置した場合、離職や労働生産性低下などの問題が深刻化するとの指摘が出ています。

2030年にビジネスケアラーは日本全国で300万人を突破し、それによって9兆1792億円もの経済損失が発生すると見込まれています。

経産省はこの問題への対策として、介護サービスの充実などに取り組むことを検討しています。

https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000291484.html

月経不調:年間4911億円

月経不調:年間4911億円

少子化による出産回数の減少などをきっかけとして、女性の生涯における月経回数は増える傾向にあります。それに応じて、月経不調を抱えつつ仕事に携わる女性も増加しており、これが企業経営にとっても生産性低下などのマイナスを引き起こしています。

女性の月経不調による労働損失は、年間4911億円にのぼるとの試算もあります。

https://project.nikkeibp.co.jp/HumanCapital/atcl/column/00073/080500002/?P=3

タバコ:2兆500億円

タバコ:2兆500億円

厚生労働省が2018年に発表した研究によると、タバコによる害は社会全体に大きな損失をもたらすとの結果が報告されています。

2015年度の医療費や介護、火災など、タバコに関連して生じた損失を合計すると、2兆500億円を超すと推計されています。

内訳を見ると、がんや脳卒中などタバコが原因の病気の医療費が1兆6900億円、これらの病気により必要となった介護費が2600億円、タバコによる火災などの関連費が1000億円となっています。

https://www.med.or.jp/forest/kinen/loss/

ワキ汗:月間3,120億円

ワキ汗:月間3,120億円

ワキ汗で悩む人は多く、特にその原因の1つである原発性腋窩多汗症は、日本人のおよそ20人に1人が患っているとされます。
このワキ汗の悩みは医療費などの金銭的負担をもたらすだけでなく、心理的負担による生産性の低下という経済損失も引き起こします。

これらの負担から試算されたワキ汗の経済損失は、日本では1ヵ月で3120億円にのぼるとされています。

https://wakiase-navi.jp/news/202206_nikkei.pdf

ムダな会議:年間15億円

ムダな会議:年間15億円

パーソル総合研究所と立教大学・中原淳教授が行った長時間労働の調査では、日本企業の会議の実態も分析されています。

それによると、無駄な会議時間が生む損失(人件費)は、従業員1500人の規模の企業で2億830万円、従業員1万人規模の企業で15億2740万円という結果が出ました。

無駄な会議が比較的多い職種は企画・クリエイティブ系で、答えの出ない議論に多くの時間を割く傾向があるようです。

https://diamond.jp/articles/-/184723

アルコール:年間4兆1483億円

アルコール:年間4兆1483億円

厚生労働省研究班の推計によると、アルコールの飲み過ぎによる社会的損失は、年間で4兆1483億円に達するとされます。

肝臓病やがんなど飲み過ぎがもたらす病気・けがの患者は約24万人、死者は3万5000人増えたと推計されます。
これによる治療費は1兆226億円にのぼり、69歳まで生きた場合に受け取ったはずの賃金1兆762億円が失われたと見積もっています。このほか、病気などによる労働損失と生産性低下などの雇用損失が合計3兆947億円、自動車事故・犯罪・社会保障などが約283億円にのぼります。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO92832200V11C15A0NZBP00/

更年期ロス:年間6300億円

更年期ロス:年間6300億円

日本では、更年期症状のせいで仕事に悪影響が出る「更年期ロス」の問題が指摘されるようになっています。特に「更年期離職」が深刻で、専門家の調査によると、女性では更年期ロスのうち仕事を辞めた人の割合が最も高いという結果でした。

この更年期離職による経済損失は、年間で約6300億円にのぼるとされています。

これは男女の合計で、内訳は女性がおよそ4200億円、男性がおよそ2100億円となっています。
同調査では、更年期ロスは「自分のせい」と考える人が多く、また誰かに相談しづらいという問題も浮かびあがっています。

https://www.nhk.or.jp/gendai/comment/0029/topic042.html

花粉症:2215億円/日

花粉症:2215億円/日

パナソニックが2020年に行った花粉症に関する調査によると、8割近くの人が「花粉症の症状がコンディションに影響を与えている」と回答しています。

仕事のパフォーマンス低下を感じる時間は1日平均2.8時間で、これらのデータから導かれる労働力低下による経済損失は、1日あたり約2215億円との推計となりました。

花粉シーズンを2月中旬~4月中旬の60日間とした場合、経済損失は13兆2900億円にものぼる計算です。これは、日本のGDPの2.4%にあたります。

https://weathernews.jp/s/topics/202002/270095/

自殺とうつ病:約2兆7000億円

自殺とうつ病:約2兆7000億円

厚生労働省などが行った調査によると、自殺とうつ病による休業・失業を原因する社会的損失の額は、約2兆7000億円(2009年の1年間)にのぼるとのことでした。

その具体的な内訳は、亡くならなかった場合得られた生涯所得が1兆9028億円、うつ病による失業者への生活保護給付の減少額が3046億円、うつ病がない場合の医療費の減少額が2971億円などとなっています。
うつ病と見られる症状で病院を訪れた患者数は、2008年の厚生労働省の調査では104万人にも達しています。

https://toyokeizai.net/articles/-/5022

日本の経済損失

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