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法務・法律

「懲役」「禁錮」「拘留」の意味と違い

「懲役」「禁錮」「拘留」の意味と違い

監修者

弁護士:村岡つばさ(よつば総合法律事務所千葉事務所)

よつば総合法律事務所千葉事務所

弁護士 村岡つばさ

よつば総合法律事務所の弁護士の村岡と申します。日常生活や会社を運営する中で気になる法律の問題を分かりやすく解説します。

「懲役」「禁錮」「拘留」の意味と違いとは

刑事事件に関するニュースを聞いていて、「〇〇容疑者に懲役〇年が言い渡されました」などと、「懲役」という単語を耳にすることは多いと思います。また、頻度は多くありませんが、これも刑事事件に関するニュース等で、「禁錮」「拘留」という単語が使われることもあります。

「懲役」という単語はなんとなくイメージがつきやすいですが、「禁錮」や「拘留」という単語は、馴染みのない単語で、全くイメージがつかない方も多いかと思います。

今回は、「懲役」「禁錮」「拘留」の意味と違い、使い分けのポイントなどについて詳しく解説していきたいと思います。

「懲役(ちょうえき)」とは

懲役

「懲役(ちょうえき)」とは、日本の刑法で定められた刑罰の一種で、「刑事施設に拘置して所定の作業を行わせること」を意味します。単に刑事施設で過ごすだけでなく、「所定の作業を行う」ことがポイントです。

刑事施設で行う作業は「刑務作業」などと呼ばれます。刑務作業には、生産作業、社会貢献作業、職業訓練、自営作業など、様々なものがあり、受刑者の製作した物品が「矯正展」などで販売されることもあります。
刑務作業の中の「職業訓練」を通じて取得した免許・資格を活用し、出所後に仕事につく受刑者も多く存在します。刑務作業について興味のある方は、法務省のホームページ(http://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei_kyouse10.html)もご覧ください。

なお、懲役には、期限が定められている「有期」の懲役と、期限が一切定められていない「無期」の懲役があります。もっとも、「無期懲役」の場合でも、一定期間経過後で、改悛の状がある場合には、出所を認める「仮釈放」という制度があります。法務省が公開しているデータによると、平成22年から令和元年までの10年間で、計77名の受刑者(無期刑を言い渡された者)が、仮釈放されていることが分かります。なお、どの年度も、平均受刑期間は30年を超えています。

次に見る「禁錮」と「懲役」は、いずれも刑事施設において、受刑者の身体的自由を拘束する刑罰という点では共通していますが、刑務作業の有無について違いがあります。

「禁錮(きんこ)」とは

禁錮

「禁錮(きんこ)」とは、日本の刑法で定められた刑罰の一種で、「刑事施設に拘置すること」を意味します。上で見た通り、「懲役」は刑務作業を行うのに対し、「禁錮」では、このような作業を行うことは義務ではありません。この点が懲役と禁錮の違いであり、一般的には、懲役よりも禁錮の方が軽い刑とされています。ただし、受刑者が希望する場合には、禁錮であっても、作業に従事することが可能です。

禁錮刑を定めている犯罪は、実はそれほど多くありませんが、身近な犯罪としては、名誉棄損罪、公務執行妨害罪、過失運転致傷罪等では、懲役刑、罰金刑だけでなく、禁錮刑も予定されています。

なお、禁錮も、「有期」「無期」の2種類がある点では、「懲役」と共通しています。
また、懲役も禁錮も、いずれも「執行猶予」の対象になり得るという点でも共通しています。

「拘留(こうりゅう)」とは

拘留

最後に、「拘留(こうりゅう)」も日本の刑法で定められた刑罰の一種です。「刑事施設に拘置すること」という点で、禁錮と共通しますが、拘留は、1日以上30日未満という、極めて短期間の拘置を意味します。

懲役と拘留とでは、刑務作業が義務であるかという点が、拘留と禁錮とでは、拘置される期間の長さという点が、それぞれ違いとして挙げられます。
また、拘留は、期間が極めて短いこともあり、執行猶予の対象とはならないという点で、懲役・禁錮と異なります。

なお、拘留を定めている犯罪は非常に少なく、刑法上だと、公然わいせつ罪、暴行罪、侮辱罪の3つしかありません。法務省が出しているデータでも、拘留が言い渡された件数は非常に少なく、例えば2019年度は、拘留が言い渡されたのは、年間で僅か3件とのことです。

「懲役」「禁錮」「拘留」の意味と違い

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