知らないと恥ずかしい!インフレとデフレの基礎知識

知らないと恥ずかしい!インフレとデフレの基礎知識

インフレとデフレの基礎知識

「デフレ脱却」が叫ばれて久しい現代の日本経済ですが、何気なく使っている「インフレ」や「デフレ」という言葉について、皆さんはどの程度詳しくご存知でしょうか?新聞やニュースなどで頻繁に耳にするため、なんとなく分かっているような気になってはいませんか?今回は、インフレとデフレの違いについて詳しくご紹介したいと思います。

インフレとは?

インフレとはインフレーション(inflation)の略で、物価が持続的に上昇し、貨幣価値が下がっていく状態のことを言います。日本語で「通貨膨張」と訳される場合もあります。大きく分けて、「ディマンド・ブル・インフレーション」と「コスト・プッシュ・インフレーション」の2種類に分類することができます。
ディマンド・ブル・インフレーションとは、物価が上昇すると消費者が感じた場合に「価格が上がる前に買おう」という気持ちが強まり、需要が需要を呼ぶ形で物価の上昇が引き起こされるケースを言います。消費増税前の駆け込み需要を想像すれば分かりやすいでしょう。コスト・プッシュ・インフレーションとは、供給力の不足によって物価が上昇するケースを言います。災害による生産力の低下や、資源の高騰や人手不足による供給力の低下の他、消費者のインフレ期待による売り手側の売り惜しみによる物価の高騰などがあります。

インフレとはどんな状態になること?

インフレの状態になると、物価の価値が上がるため企業としては利益が大きくなることになります。企業の利益増えれば従業員に支払われる給料も上がり、消費者の消費行動は促進され、経済が発展していきます。物価の上昇と聞くといいイメージではありませんが、景気が良い時には、物価は徐々に上がっていくのが通常なのです。
1980年代後半から1990年代初頭の「バブル」と呼ばれた時代は、正にインフレの時代だったと言うことができます。

インフレになるとどんな影響がある?

土地や株式など資産を持っている人にとっては、物価が上がることによる値上がり益が増えるという恩恵を受けることができます。また、インフレの時には借金をしやすいということも言えます。極端な例ですが、給料が15万の時に10万円の借金をするのは負担が大きいですが、インフレによって給料が倍の30万円になれば、負担も半分に減ることになります。また、同じ1,000万円の借金でも、インフレによって貨幣価値が2分の1になれば、実質的には500万円の借金となり、返済負担も目減りすることとなります。
一方、コスト・プッシュ・インフレーションのようにコスト増によるインフレの場合、生産者や販売者がその増えた分のコストを価格に転嫁することになるので、給料は上がらずに物価だけが上がる状態となり、経済の停滞と物価の上昇が併存する「スタグフレーション」を引き起こす可能性もあります。全てのインフレが好景気に繋がるわけではないのです。

インフレの有名な事例は?

極端なインフレの結果、経済的に悪影響を及ぼした例があります。1988年、アルゼンチンでは1年間で物価が5,000倍にもなるインフレが発生しました。このような急激な物価の上昇はハイパーインフレと呼ばれています。
1960年代の産業構造の転換の失敗と2度に渡るオイルショック、そしてフォークランド紛争の敗北によって経済が立ち行かなくなり、ハイパーインフレが引き起こされました。当時は、トイレットペーパーを買うよりもお札でお尻を拭く方が安かったため、トイレにお札が積んであったそうです。
ハイパーインフレの状況下では、貨幣価値は猛烈な勢いで減少しますので、文字通り、お札を一瞬にして紙くずにしてしまう極限状態に陥ることとなるのです。

デフレとは?

一方デフレとはデフレーション(deflation)の略で、インフレとは反対に物価が持続的に下降し、貨幣価値が上がっていく状態のことを言います。日本語では「物価収縮」と訳される場合もあります。消費者側の需要不足が原因となるデフレと、供給側の企業努力や競争力低下などによるデフレの2種類に分類することができます。
需要不足によるデフレとは、所得の低迷や将来の生活不安といった景気低迷の影響によって消費を控えることから起こるケースのことです。供給側に起因するデフレは、現在の日本における中国やアジア諸国産製品のように、海外からの安価な輸入品が大量に流入してくることなどによる価格競争によって引き起こされます。

デフレとはどんな状態になること?

デフレの状態になると、不景気でモノが売れなくなるため、企業の業績は悪化します。企業の業績が悪化すれば、従業員の給与が下る他、倒産やリストラにより失業が発生することとなります。収入の減った消費者は購買行動を控えることとなり、企業はさらに商品の価格を下げるため物価の下落を招きます。このように、デフレは経済活動を縮小させてしまうのです。
また、物価の下落が不況を招き、さらに物価が下落するということを繰り返す悪循環を「デフレ・スパイラル」と呼びます。

デフレになるとどんな影響がある?

デフレ不況によって業績が悪化したからと言って、従業員の賃金を引き下げることは簡単にはできません。その結果、企業は正規雇用をできるだけ控え、非正規雇用を増やすことで人件費を抑制しようとします。非正規雇用者が増えることよってさらに労働者は不安定な立場となり、消費意欲はさらに減少することとなります。
また、インフレとは反対に、借金の返済もしづらくなると言うことができます。こちらも極端な例ですが、500万円の借金がデフレによって貨幣価値が2倍となれば、実質的に1,000万円の借金となってしまいます。
デフレ脱却に躍起になっている現在の日本で起こっていることを想像すれば、デフレの影響は分かりやすいでしょう。

デフレの有名な事例は?

1929年のアメリカに始まった世界大恐慌は、歴史上最大のデフレ不況と言うことができます。1920年代のアメリカは第一次世界大戦後の戦後復興需要と国内の都市化における住宅需要、そして自動車産業の追い風により、空前のバブル経済でした。その様子は「永遠の繁栄」とも呼ばれ、ごく普通の一般市民までは株や不動産などに投資していました。
それが1929年10月24日、有名な「暗黒の木曜日」に株価が大暴落。人々は株の大損を穴埋めするかのように消費を極端に控えるようになり、失業率は25%にまで達しました。
このような証券パニックによる極端なデフレ状態が要因となり、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、ソ連、中国、そして日本など世界各国を巻き込む大恐慌となったのです。