みなし残業(みなし労働時間制)の正しい理解

残業代を給与に含むみなし残業とは?損をしないように正しい理解を!

みなし残業とは?

求人の情報や面接、入社時の説明で「みなし残業」という言葉を聞くことがあります。
「みなし残業ってなんだろう?」と思いながらよく確認しないで入社する、ということもあるのではないでしょうか。
頑張って残業したのに、思ったより給料が少ない・・・そう思って上司に聞いてみたら、「みなし残業だから残業代はつかない」と言われて戸惑ったことはありませんか?

みなし残業代は、あらかじめ給料に一定の「残業代」が含まれる給与形態のこと。
もしかしたら、みなし残業で損をしてしまっているかもしれません。
今回は、「みなし残業」について詳しく確かめてみましょう。

みなし残業とは?

みなし残業とは?

みなし残業は、正確には「みなし労働時間制」といいます。
例えば「月給に15時間分の残業代が含まれる」というように、あらかじめ支払われる給与に「残業代」が含まれている給与形態です。
月給に15時間分の残業代が含まれるのであれば、月に規定の労働時間を超えて15時間までは残業をしても、それ以上の給与が支払われることはありません。
月に20時間分の残業をした場合は、あらかじめ計算に入っている15時間分との差分の5時間分は残業代が出る、ということになります。

残業代を計算して、みなし残業代から引かれる計算をしてみよう

残業代を計算して、みなし残業代から引かれる計算をしてみよう

労働基準法では、1日8時間、1週間で40時間までの法定労働時間を超える場合には、超えた分の労働時間に対して割増率を加算して残業代を計上することが定められています。

法定労働時間を超えた残業では、「時間外労働」と「深夜労働」を考える必要があります。

・時間外労働・・・時給単価が25%割増
・深夜労働・・・時給単価が25%割増
・時間外労働かつ深夜労働の場合・・・時給単価が50%割増

月給制の会社の場合、時給計算で使用される「時給」は、次のように計算します。

・月給(円)÷1ヶ月当たりの平均所定労働時間(時間)

それでは、例を挙げて考えてみましょう。

・時給単価1300円、規定の就業時間が10時から19時(内1時間休憩)の8時間労働の場合

ある日、23時まで残業した場合、残業代は以下のように計算されます。

19時から22時までは、「時間外労働」が3時間分付いて、25%割増になります。

・1300(円)×125%×3(時間)=4875円

22時から23時までは、「時間外労働」と「深夜労働」が1時間付いて、50%割増になります。

・1300(円)×150%×1(時間)=1950円

そのため、この日に計上される残業代は以下のようになります。

・4875円+1950円=6825円

この日は残業代が6825円計上されました。
もしも、このように23時まで残業した日が月に10日あった場合には、68250円の残業代が付くことになります。

さて、給与として「みなし残業代」が毎月50000円含まれている場合どうなるでしょう。
この残業代68250円のうち50000円はすでに給与に計算されていることになります。
残りの18250円は、追加分の残業代として支払われることになります。

みなし残業で損していないか計算しよう

みなし残業で損していないか計算しよう

このみなし残業を導入している場合、みなし残業代を引いた基本給が最低賃金を下回っていないか確認しましょう。
例えば、「基本給20万円で、みなし残業代が6万円含まれる」という給与形態の場合、20万円からみなし残業代の6万円を引いた「14万円」が月の基本支給額となります。
この金額を出勤日数で割って、それが最低賃金に達している必要があります。
地域ごとに最低賃金が定められているので、確認してみましょう。

みなし残業代が含まれると総支給金額が多くなるため誤解しがちですが、その分残業代が含まれているわけですから、みなし残業代を引いた金額で判断する必要があります。

みなし残業にまつわるトラブル

みなし残業にまつわるトラブル

また、みなし残業時間を超える残業を求められる、というトラブルが発生することもあります。

元々、給料に残業代が含まれる、ということは、残業することが前提となっている、ということでもあります。
そのため上司がみなし残業を超えるサービス残業を求めてくるケースです。
「ウチはみなし残業なんだから残業するのは当たり前だ」という雰囲気があるため、みなし残業時間を超える分の残業も当たり前のように働かされてしまう、という状況です。
その場合は本来、みなし残業分を超過した残業代が支給されるべきなのですが、超えた分は残業代を出してもらえない、というパターンがあります。

みなし残業で損しない会社の選び方

みなし残業で損しない会社の選び方

みなし残業は、残業代を含めて一定の労働時間を働いたものとみなして賃金が支払われ、会社側からすると残業代の計算をしなくてもよいというメリットがあります。
一方、労働者としては、月にもらえる給料が多いように見えますが「残業するのが前提の勤務形態」とも捉えることができ、一概にメリットが大きいとは言えません。
残業代を一定にみなしたり、基本給の一部を残業代に置き換える、など、どちらかというと労働者が不利益を受けやすい給与制度といえます。

みなし残業を採用している会社の求人を見る時には、以下のことを確認しましょう。

基本給に含まれるみなし残業代、または時間が明示されているか

「基本給20万円(みなし残業含む)」などの書き方では、基本給のうちどれだけがみなし残業に当たるか分かりません。
「基本給20万円(みなし残業代50000円を含む)など、明記してある会社を選びましょう。

基本給に含まれるみなし残業代が極端に高くないか

基本給に含まれるみなし残業代を引いた金額が安すぎないか確認しましょう。
みなし残業代は、あくまで「残業代」ですので、それを差し引いた金額が最低賃金に達しているかどうかを確認する必要があります。

可能な限り、入社前に確認しておこう

可能な限り、入社前に確認しておこう

みなし残業は残業を前提にした給与形態で、決して労働者に有利な給与形態とは言えません。
みなし残業の会社で働くのであれば、しっかりと自分の残業時間を把握して、みなし残業を超えた分は支給してもらえるようにしなければいけません。

しかし、実際に働き始めてから超過分の残業代を申請するというのは難しい場合が多くあります。就職活動や転職をするに当たっては、みなし残業を採用しているかどうか確認し、面接の時にはみなし残業についてしっかりと確認をしておきましょう。
あいまいにしたり、言葉を濁したりする会社は要注意です。