なぜ給与の3倍稼ぐ必要があるのか

なぜ給与の3倍稼げと言われるのか

「一人前の社員は給与の3倍稼ぐ」という言葉を聞いたことはありませんか?
特に営業職の場合などはよく上司から言われるかもしれません。
分かりやすく言うと「25万円の給与をもらうのであれば、自分の仕事でその3倍の75万円の売上を上げなさい」ということです。
でもなぜ「3倍」も稼ぐ必要があるのか?
それを理解するには、会社が売り上げたお金を何に使っているのかを理解するが必要があります。
社員が稼ぐお金はどのように使われるのか具体的に見て行きましょう。

会社が利益を出すには各種費用が必要

会社が営業を続けて行くには、会社が利益を出す必要があります。
しかし、売った金額の全てがそのまま利益になるわけではありません。
事業を行って利益を出すためには、様々な費用が必要となります。

大きなものとして、「人件費」や「原材料」、各種「経費」があります。
「人件費」・・・従業員に支払う給与
「原材料」・・・販売する物を作るための費用
「経費」・・・営業に必要な交通費、通信費や事務所の家賃、広告費など、営業を行うために必要な各種費用

会社が稼ぐ総額(売上)から、これらの金額を引いたお金が会社の純利益となります。
これだけを考えても、社員の給与は会社の売上のごく一部であり、稼ぐ金額から色々なお金が引かれてようやく事業が行えることが分かります。
この各種費用の内訳は、業種や会社により大きく異なります。

「人件費」は「給与」だけではない

もちろん社員に支払われる「給与」が「人件費」に当たります。
しかし、「人件費」の内訳は「給与」だけではありません。
給与の他に福利厚生費、社会保険などの各種費用、交通費、通信費、教育費、事務経費などの各種費用がかかっています。

「3倍」稼ぐことで「商品を売る」準備ができることを理解しよう

「原材料」や「経費」は社員に支払われる給与と同様、事業を行う上で当然必要となります。
社員が商品を売るのには、「売るものがある」「売れるよう準備ができている」ということが前提となります。

例えば手作りのお菓子を作ったらとても美味しかったので、それを販売することにしましょう。
まずは「原材料」費をかけて売る商品(お菓子)を作る必要があります。
そして商品ができても、目の前に置いておくだけでは売れません。
販売する店舗も必要ですし、お客さんが買いにきてくれるように「経費」をかけて宣伝することも必要です。

また、販売するために人手が必要なので、社員を雇って売ってもらう必要もあります。
会社は社員が商品やサービスを売れるように、たくさん商品を用意します。
よりよく売れるためには、よりよい材料を使ったり、新商品の開発に力を入れたりして品質を向上することも必要でしょう。
そして、チラシを用意したり店内ポップを用意したりして、よりたくさんのお客さんに来てもらい、商品を購入してもらうキッカケを作る必要があります。
そこまで準備をして初めて社員が販売活動を行い売上を上げることができます。

社員の給与として支払われるお金の他にこのような費用がかかっているからこそ、商品を販売して稼ぐことができます。
社員が給与を手にする前には、このような前段階があるのです。

直接販売に関わらない社員の給与もあります

会社全体で考えた時、人件費には直接人件費と間接人件費があります。
直接人件費は実際に販売に関わる業務を行う社員の人件費です。
しかし、会社で働く人の全てが直接販売に関わるわけではありません。
経理部門や総務部門など内勤部門は、直接販売に関わることなく、会社を支える働きをしています。
このように売上に直接関係ない業務を行う社員の人件費を、間接人件費といいます。
この割合は、会社にもよりますが、直接売上を上げることを業務とする社員はこの間接人件費も稼ぎ出す必要があります。

「3倍稼ぐ」の根拠は?

「3倍稼ぐ」の根拠は?

給与以外の各種費用があり、それをまかなえるよう稼ぐ必要があるのは分かっていただけたと思いますが、この「給与の3倍稼ぐ」には色々なパターンがあります。
人件費や費用を差し引く前の「売上」をベースにする場合と、それらを差し引いた後の「利益」をベースにする場合の言い方があります。
・給与の3倍の売上が出るよう稼ぐ
・給与の3倍の利益が出るよう稼ぐ
また、3倍でなく5倍とする場合もあり、
・給与の5倍の売上が出るよう稼ぐ
・給与の5倍の利益が出るよう稼ぐ
のパターンもあります。

これは、業種や会社により人件費や各種費用の内訳が大きく異なるためです。
特に、業種ごとに人件費にかかるとされている割合は異なります。
小売業は販売する商品にお金がかかるので人件費は抑えめ、サービス業は人件費が高めになるという傾向があります。
小売業であればおおむね15%〜多くて30%、サービス業だと30%〜60%、という感じでかなり幅があります。

そのため、この「給与の3倍稼ぐ」は一例として捉えるのがいいと思います。
稼ぐ金額の全てが販売した社員の取り分ではない、という認識を持つためのひとつの指針としての言葉です。

具体的に計算してみよう

具体的なケースを上げて、どれくらいかかっているか確認しみましょう。
以下の条件で会社負担や会社の人件費率を考えて、どれだけ稼ぐことが必要か計算をしてみます。

・ある社員の月給が300,000円とします。

・社会保険料、厚生年金、雇用保険料の半分を会社が負担し、その割合は給与の15%
  ・・・会社負担 45,000円/月

・賞与は1年当たり給料の1ヶ月分
  ・・・会社負担 25,000円/月

・5人に1人間接人員がいる
  ・・・直接人員1人が稼ぐ必要がある、間接人員の給与分 92,500円/月

※売上=利益とします。

ここまでの合計が、300,000円の給与を支払う場合、実際に必要な1人当たりの人件費の総額となります。
→300,000 + 25,000 + 45,000 + 92,500 = 462,500円

・材料費や各種経費など、人件費以外にかかる経費を考え、人件費を50%として計算し、必要な売上額を出します。

→462,500 ÷ 0.5 = 925,000円

お分かりいただけたでしょうか?
ざっと計算して、給与300,000円とした場合、稼ぐべき売上は925,000円となりました。
約3倍です。ここでは分かりやすくするために人件費のみで計算していますが、実際には宣伝費用や家賃、光熱費なども別途かかってきます。
もちろん売上高に対する人件費の割合や間接人員の人数などは会社により異なりますが、少なくとも300,000円の給料をもらうのであれば会社はこれくらいの金額を人件費として計算する必要があるのです。

実際に自分がもらう金額の何倍の費用が、会社の運営にかかっているのか?
それを気にするようになれば、社員として一人前と言えるのではないでしょうか。